リーダーと呼ばれる人
組織の大きさに関わらず、自分が従えるべき人が一人いればその瞬間あなたはリーダーです。大企業であれ、中小企業や行政、バイトのチームであれ、それは同じことです。
そういった意味では、僕自身もある面においてはリーダーであると言えます。
リーダーの役割とは、結果を出し目指すべき目標を達成することです。
しかし、実際これが難しいです。
リーダーと肩書上呼ばれている人の中で、実際の結果を出している人は何割くらいいるでしょうか?
自分の会社を見ても情けないことですが、10%もいないのではないでしょうか。
残り90%の人は、リーダーという肩書に胡坐をかいてデスクに座って指示をしているだけです。
まるで、ヘリコプターから部下に対して「戦略を展開せよ!あの標的を狙え!」と指示をする軍隊の指揮官のようです。
一方、10%の人が何をやっているかというと、ガーデニングをするように部下に対して「水や肥料を与えたり、雑草を刈り取るなど」手入れをしっかりしているのです。
この手入れという名のコミュニケーションこそが、結果を出す人と出せない人の最大の違いです。
そのコミュニケーションの実践方法について、ダグラス・コナン氏の著書である『リーダーの本当の仕事とは何か』を引用しながら、言及していきたいと思います。
(ダグラス・コナン氏、「アメリカで最も尊敬すべき企業のひとつ」と言われるまで、食品メーカーであるキャンベルスープを成長させたCEOです。)
目次
タッチポイントの重要性
ダグラス氏は、コミュニケーションの出発点を「タッチポイント」と呼んでいます。
タッチポイントを活かしたリーダーシップには、ソーシャルネットワークに似た効果があり、筆者たちはこれを絶大な波及効果と呼んでいる。
あなたが接した人々はみな、蜘蛛の巣のような人間関係に組み込まれる。
タッチポイントでのあなたの言動はどんなものでもみな、たちどころに相手の知り合い五・六人に伝わり、そこからさらに、知り合いの知り合いへと次々に伝わっていくだろう。
大企業におけるコミュケーションを広大な庭園の手入れに例えると、その膨大な「水やり」や「雑草抜き」の作業を、タッチポイントの原理を使って行うことによって可能にしているのです。
しかし、この原理を聞いたとしても僕らはそんなうまくいく?と思ってしまいます。
よもやすると、手当たり次第にタッチポイントを拡大することだけが、リーダーの役割だという解釈にもなりかねません。
ダグラス氏は、タッチポイントにおける重要なキーワードとして「信頼を呼び覚ます」という表現を使っています。
この背景には、「従業員からの最高のアイデアや熱意をよせてもらおうとするなら、まず彼らの信頼を勝ち取らなくてはいけない」という氏の信念があります。
つまり、リーダーの仕事の成果とは、部下からの信頼にかかっているということです。
結果を出し続けるリーダーがすべき3つのコト
では、具体的に部下の信頼を呼び覚ますために、有効なコミュニケーションの手段について、内容を掘り下げていきたいと思います。
聞く
リーダーは部下の発言に対して、口を挟まずじっと聞く。ということがポイントです。
部下の意見は、的を得ている場合もあれば、リーダー自身の考えと大きく異なっている場合もあるかもしれません。
しかし、こちらが「だが」「しかし」と話を遮ってしまえば、もうそれ以上、部下の心情はわからないでしょう。
相手の心情の理解を深めるには、ひたすら聞くということが大切なのです。
大枠をつかむ
部下からの相談内容は、もしかしたら職場の中の様々な要素が混在しているかもしれません。業務に関すること、人間関係、キャリア設計、プライベートな悩み…
しかし、その絡み合った情報の中からより本質的な内容へ話を前進させていくために、大枠をつかむということが重要です。
せっかく、部下の話をしっかり聞けたものの、リーダーの頭が整理できていなかったら、意味がありません。
論理的に構造化して話を理解するというクセが大切です。
前に進む
大枠をつかむことができたら、最後は具体的に問題となっているテーマに関する話です。
ここでは、「どうしたらあなたの力になれますか?」という質問が、話を聞く上でのキラーワードです。
なぜなら、その質問によって以下の効果ができるからです。
- リーダーに気にかけてもらっていると感じる。
- 部下自身の頭で現在の状況と問題点を考える。
- 部下自身に判断する機会を与える。
そして、この質問をすることによって次に出会った時、
「その後、どうですか?」
という言葉をかけて、PDCAサイクルの回転を促す伏線になるからです。
考察
リーダーとしての仕事の成果は、タッチポイントごとに築くことができた信頼の数に比例して、大きくなっていくものだと考えます。
僕らは、仕事をしている日を振り返ると1日に何回タッチポイントがあるでしょうか。
その中で、何回「①聞く⇒②大枠をつかむ⇒③前に進む」のサイクルを回せているでしょうか?
意識していないと、
①もまともにできていないこと、
②まで行ったけどそこまで
というコミュニケーションがほとんどではないか?と振り返って思います。
ダグラス氏は、このサイクルを年間二万五千回まわしているというのです。
(とんでもないですね。)
まずは、1日3回は1周回すという小さなところからでも、積み上げていきたいですね。