【クリエイティビティ】発想力を鍛えるために必要な3つの力。
「アイデアマン」や「クリエイティブな人」
って周りにいるでしょうか?
僕が会社で尊敬すべき先輩の一人に、
その言葉がぴったりの人がいます。
その方は、10年前に僕が新入社員で入社した時に、
既に5個年次が上の先輩でした。
独特な視点や感性を持っていて、
いつもみんながあっと驚くような仕掛けをつくるのが上手な人でした。
もともと、体育会系で昭和型組織の僕の会社には、
そのような人材は、非常に少なかった為、上の世代からは、
- 「あいつは変わったやつだ。」
- 「何を考えてるのかわからない。」
といった形で、少し煙たがられあまり評判は良くなかった記憶があります。
しかし、そんな逆境を物ともせず、
斬新かつ突拍子もないアイデアから社内でも成功事例を積み上げ、
今では、周囲からも認められ、社内の第一線で活躍しています。
そんな尊敬すべき先輩から、
3年間一緒に働いたことで学んだ発想力について、
この記事では触れていきたいと思います。
1.疑う力
固定概念を打ち破る
成熟した組織や集団では、「●●であるべき」。
という「べき論」がまかり通っています。
この「べき論」の危険性は、人を思考停止にさせるというものです。
社会の流れに合っていない過去の常識をそのまま引きずっていて、
誰も疑うことなく時代遅れなことをしているということが蔓延しています。
第三者目線からすると、「今どきこんなことしてるの?」と思うことでも、
集団の中に入ってしまうと、それが普通になってしまうのが、人間の怖さです。
この「べき論」を客観的に捉えて、
「本当に理想的な状態とは?」ということを考え続けることで、
固定概念を否定することが、大切なスタンスだと思います。
非常識である
固定概念を否定することは、
多くの場合、非常識だ。と叫ばれます。
しかし、常識に従い続けても、
一向に解決しない問題もあります。
こんな話があります。
なんの変哲もないある山道のカーブで、事故が多発していました。
その対策として、常識に従ってこんな対策が打たれました。
- カーブミラーを設置する。
- 標識を設置する。
- 道幅を広くした。
結果、事故は全く減少しませんでした。
しかし、この問題はある非常識なアイデアによって、
大幅に改善します。
そのアイデアとは、
「道路のセンターラインを消す」という極めてシンプルなアイデアでした。
センターラインを消したことで、通行する車が速度を落とすようになったのです。
事故の原因は、運転手の「このくらいのカーブならスピードを落とさなくて大丈夫だろう。」という慢心だったのです。
「なぜ?」「本当?」という2つのマジックワード
既存の固定観念を疑うためには、
2つのマジックワードを常に目の前の物事に対して、
投げかけることが大切です。
上記の例で考えると…
- 「なぜ?」⇒事故は発生してしまうのか?
- 「本当?」⇒対策は十分効果性があるのか?
2.抽象化する力
物事の本質を見抜く
物事の本質とは、具体的な一つのモノや事象から「機能」や「意味」を、
抽出することを指します。また、それは抽象化ともいわれます。
具体的な例として、
ボールペンのインクが切れてしまっていたとします。
ボールペンの本質的な「機能」とは「書く」ことです。
その本質を押さえて考えると、ボールペン以外の代替え提案ができます。
- 鉛筆
- 万年筆
- クレヨン
これが抽象化のアクションになります。
抽象化の3ステップ。
- 対象の特定
- 抽象化
- 具体化
自動車のフォードの例で、
見ていきたいと思います。
19世紀末の時代、人間にとって最も早い移動手段は、
「馬車」でした。
「速く移動すること」に対して人々は、
「どうやったら馬車をより速くできるか?」
という既存の「馬車」という概念に捉われて、
- 4頭立てから6頭立てにしよう。
- 荷台を軽量化しよう。
ということに躍起になっていました。
しかし、その既存概念を覆したのがフォードでした。
馬車(対象の特定)
↓
速く移動するもの(抽象化)
↓
自動車(具体化)
という考え方をして、当時はまだ一部の富裕層だけの乗り物だった自動車を、
安く庶民に供給できるような大量生産を実現し、大成功を収めました。
30通りの使い道を考える
簡単に抽象化と言っても、そのスキルというのは、
一朝一夕で身につくものではありません。
具体的な日々の「思考のクセ」を身に付けることが大切です。
その訓練の方法としておすすめなのが、
「1つのモノに対して30通りの使い道を考える」というものです。
例えば、新聞紙を例にしてみると…
- 情報を得るもの
- 情報を発信するもの
- 物体として使うもの
など…
そこから派生して、様々な使い道を考えることができます。
検討した使い道同士をグループ分けすることで、抽象化へ、
そして新しいアイデアを生み出す訓練になるのです。
3.セレンディピティ
偶然の発見を見逃さない
セレンディピティとは、「何か探しているときに、それとは別の価値あるものを偶然見つける力」という意味です。
つまり、それは「偶然を偶然として無視しない力」であったり、「偶然を何かに関連づける力」と言えます。
セレンディピティを語るうえで、有名な事例がアルフレッド・ウェゲナーの大陸移動説の話です。
ウェゲナーは、
アフリカの西側と南米の東側がパズルのようにぴったり合わさるのでは?
という事実にたまたま気が付きました。
他にもそれに気が付いていた人はいたかもしれません。
しかし、ウェゲナーはその偶然の気づきを「偶然として無視」しないで、
愚直に研究に邁進したのでした。
結果として、「大陸移動説」が立証され、人類史上のおける大きな発見となったのです。
「トヨタ生産方式のルーツ」
日本企業においても、
セレンディピティから成功事例を作った企業が存在します。
それは、自動車のTOYOTAです。
「トヨタ生産方式」は、自動車の組み立てに、必要な部品を必要な時に手元にある仕組みを確立することで、徹底的なムダの排除を実現したことで有名な生産方式です。
このルーツは、なんとTOYOTA社員がアメリカ視察で立ち寄ったスーパーマーケットで、お客さんが商品を購入すると、店員が棚に商品を補充していく様子がインスピレーションを受けたものだと言われています。
スーパーマーケットで、
「お客さんが必要としている商品が、必要な時に、必要なだけ供給されている」
という事実を発見したのです。
TOYOTAは日常の風景から偶然感じた気づきを、
自動車生産という自分たちの仕組みに転用したのです。
感性のレーダーを研ぎ澄ます
このように偉大な発見や、素晴らしいシステムもすべては、
日常からヒントを得たものということがわかります。
そこから得られる教訓としては、
仕事や生活などの日常において常に、素直に驚きや発見を得られる状態にしておくこと。
つまり、「感性のレーダーを働かせる」ということがセレンディピティとの出会いには必要かもしれません。
まとめ
発想力の源泉とは?
- ・固定概念を疑う
- ・抽象化の力を身に付ける
- ・偶然からの発見を無視しない
今回の記事では、これらの重要性について理解を深めていきました。
しかし、実際にサラリーマンにとっては、
日々、目まぐるしく訪れる仕事の山を前にしながら、
このような抽象概念と向き合うことが難しいです。
だからこそ、自分の中で「余裕を持つ」こと。
意識的に考える時間を持つことが、発想力を磨くための第1ステップではないか?
と思います。
その前提をクリアした上で
クリエイティブに磨きをかけていきたいですね!
参考書籍:『ズルい考え方』