外資コンサルが実践する『3D思考』を分解してみる。
目まぐるしいビジネスの世界で、
目の前の課題に対して、こんな風に感じたことはありませんか?
「何から考えていいのか?考えれば考えるほど、わからなくなってきた。」
「何度考えても、斬新なアイデアが全く浮かんでこない。」
そんな状態になって、仕事に対するモチベーションも下がってしまう。
誰にでも、経験があることだと思います。
この問題の解決の答えは、「視点を意識して、動かしてみる」というシンプルなものです。
外資系コンサルティングファーム出身で、株式会社アウトブレインを立ち上げた泉本行志氏が執筆する『3D思考』では、思考の質を高めることで、課題に対する視点の持ち方と、解決するための動かし方について語られています。
この記事では、その思考法を各要素に分解して解説していきたいと思います。
3Dとはどういうことか?
例えば、あるメーカー営業マンが
「自分が担当する商品が全く売れない。」
という課題があったとします。
そのようなピンチの状況に陥ってしまうと、
自分の意識が目の前の「売れていない」という事実にだけに集中してしまいがちです。
しかし、「商品が売れない!」と嘆くのは、
商品における「売上」という一面的な部分しか見えていないからです。
これを、視点を変えてみると少しヒントが出てくるのではないでしょうか?
- 会社としてその商品はどんな位置付けなのか?
- 顧客の立場になるとその商品はどう見えるのか?
- 販売時期は適切なのか?
これらの視点を加えることで、
もしかしたら、売れない原因が見えてくるかもしれません。
このように、多角的な視点で物事を捉えて考えることを、
「3D思考」と著者は名付けています。
3Dを形成する3つの要素
少しだけ抽象度を上げて
3Dを形成する要素とその詳細についてみていきたいと思います。
3D思考の全体像は以下のようになります。
- ・レベル(視点の高さ)
- ・ポジション(視点の幅)
- ・時間(視点の奥行)
1.レベル
レベル感とはどのようなことなのでしょうか?
海外では、よくレベルという言葉で抽象度の高さを表現する時に使うそうです。
抽象度が高い「企業理念」や「商品コンセプト」を
「レベルが高い」と表現し、
具体性が高い「実務」や「作業」を
「レベルが低い」と表現されます。
このレベル感の高さを意識することは、
ビジネスの現場でも非常に大切です。
小売店での顧客クレームが発生した場合を例にしたいと思います。
マネジメントレベル
⇒再発防止のための仕組みづくりについて対応する。
現場担当レベル
⇒迅速に顧客対応を行い、クレームを収める。
このように、事案一つでもレベルによって、
実施するアクションが異なってくることがわかります。
2.ポジション
自分の視点の高さを調整しながら思考する「レベル」に対して、
「ポジション」は自分の視点だけではなく、他者の視点も含めて横に展開しながら思考する際に必要な姿勢です。
このポジションの幅が狭いと以下のようなことが発生してしまいます。
- 性能やデザインにこだわるあまり、顧客の望まない商品を開発してしまう。
- 独断で計画を進めて、最後に協力者からの支援を断られてしまう。
- 他社の動向を考慮せず、多額の新規事業の投資が失敗する。
ポジションの幅を広く持つことによる成功事例として、
ある産業材メーカーA社の話があります。
A社は、顧客である「小売店」の視点をさらに超えて、小売店の顧客である「一般消費者」にまで視点を動かして、施策を打って成功している会社です。
つまり、一般消費者の視点から商品を提案し、開発をすることで、
取引先の商売を儲けさせて、結果として自分のところの商売繁盛につながる。
という考え方です。
3.時間
時間とは、3D思考における奥行の部分を形成します。
時間の概念については、
- 「短期・中期・長期」
- 「過去・現在・未来」
というような様々な捉え方をすることができます。
仕事をする上では、
一緒に働くメンバーの時間間隔を把握することが重要です。
例えば、マネジメントレベルにおいては、
長期的な未来の仕事に携わっています。
⇒仕事のスパンは四半期や年単位で考えることが多い。
一方、現場レベルにおいては、
短期的な現在の仕事に携わっています。
⇒仕事のスパンは1日、時間、分刻みで考えることが多くなる。
どちらのレベルの場合も大切なことは、
未来から逆算して現在を考えるということです。
それに伴う時間間隔の違いを理解した上で、
コミュケーションを取っていくことが、
自分の仕事を円滑に進めていく為に必要な考え方です。
まとめ
3D思考とは、「レベル」・「ポジション」・「時間」の3つの視点から物事を捉えること。
- 「レベル」⇒高い視点と低い視点を行き来しながら考える。
- 「ポジション」⇒他者の視点を取り入れて考える。
- 「時間」⇒目的に対する時間間隔の違いを理解して考える。