あなたは普段の生活や仕事の中で、
どのくらい「考える」ことをしていますか?
どんなことでも、新しくスタートをしたときは、
右も左もわからず、1つの1つの行動になぜ?なぜ?という疑問が湧き、
ひたすら考えていたと思います。
しかし、半年~数年を経て、自分なりの仕事のルーティーンが出来上がると、
これまでは疑問に思っていたことも、
「これはこういうものだ。」という割り切りをしてしまうようになります。
この固定概念や決めつけが、思考停止の最大の原因だと思っています。
自分自身も同じ職務を4年間継続して務めていたことがありましたが、
後半の2年は完全に思考停止状態でした。
経験と直感だけで働いていたので、今振り返ると、
全く「考える」ということしない絶望的な2年間でした。
その後、部署が大きく変わったことで、
僕はそれまでの過ちに気づきました。
そこでは、新しい部署では「これまでの経験や常識が全く通じない。」
ということを実感したからです。
それと同時に思ったことは、
これまで自分が頼っていたのは、「具体的な知識」であり、
それを「抽象的な知恵」まで昇華できていなかったということです。
「具体的な知識」は限られた場所ではとても有効に作用しますが、
応用が効きません。
一方、「抽象的な知恵」は幅広い場所で応用可能なのです。
そして、この「具体」と「抽象」の往復というアクションこそが、
「考える」ということ行為だと思います。
この悩みに対するソリューションとして、
とても参考になった本があります。
それが、寺澤伸洋氏の
『40歳でGAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ仕事に対する考え方』
という一冊です。
20代を複合機やプリンタ関連のメーカーの経営企画室で過ごした著者が、
GAFAの1社に部長として転職するまでに身に付けた思考スキルが、
体系的に語られています。
その中でも、特に僕自身に考えさせられた考え方について、
3つを抜粋してご紹介したいと思います。
全体像を捉えるのに必要な3つの視点。
「おいしいカレーの作り方は?」
こういうふわっとした質問ってありますよね。
「考える力」とは、このような質問に対して、
的確に相手が納得する形で答える力だと思います。
では、どうするのか?
その答えは、高い視点から全体像を俯瞰し、
それに関係する項目に分解していくということです。
まずは、全体像の捉え方について触れたいと思います。
①視野
⇒情報を集める領域を意識して広げること。
・異なる業界や全く関係がないジャンルの知識が参考になることもある
②視座
⇒意識して高い役職の視点から問題を見ること。
・従業員はマネジャーの視点、マネジャーは経営者の視点など
1つ2つ上の高さから物事を捉えること。
③視点
⇒一方向からではなく、多面的に物事を見ること。
・売る側だけでなく、買う側の視点を持つこと。
これらの3方向の角度から対象を捉えることで、
一言で片づけられていた「おいしいカレー」も様々な視点が考えられますよね。
「おいしいとは?」
- 材料が厳選されている。
- 食事をとる対象者の人間関係が重要。
- 提供方法にこだわりがある。
- 食器が高価。
- 食べる環境が特別。
要素分解する為に必要な4つの思考フレーム。
全体像を捉えることができたら、
次はいよいよ具体的な分解のステップです。
水平思考
水平思考とは、「思考を横展開する」思考方法です。
対象の類似性や関連性を考えることで、
視野を広げるイメージです。
Ex)陸上選手が速く走る方法は?
・水泳選手に関連させて考えてみる。
⇒水の抵抗を少なくするために水着を着る。
⇒足に負担の少ないスパイクを履く。
⇒飛び込みのタイミングが重要。
⇒クラウチングスタートに着目する。
垂直思考
垂直思考とは、「思考を深堀する」思考方法です。
手法としては、<MECE>と<5W1H>の2種類があります。
<MECE>
漏れなくダブりなく物事を整理する考え方です。
Ex1)筋トレが必要な部位は?
⇒「胸筋、腹筋、背筋、腕、足」
Ex2)スパゲッティの材料は?
⇒「麺・ソース・具材」
<5W1H>
[何を、なぜ、誰と、いつ、どこで、どのように]
を考えることです。
ポイントとしては、
前述の<MECE>で分解した項目に対して、
さらに具体的に掘り下げていくことです。
思考の高さ
先ほど紹介した「水平思考」と「垂直思考」の合わせ技です。
ここまでは、あくまで自分視点での思考の深堀です。
これらの視座を上げて、別の立場から再度考察してみるのです。
Ex1)筋トレをジムトレーナーの視点で考える。
⇒ストレッチなどの柔軟体操も取り入れる。
⇒栄養バランスを意識した食事やプロテインの用意。
Ex2)パスタの調理を一流レストランのシェフ視点で考える。
⇒雰囲気や食器にも配慮する。
⇒一緒に飲むお酒やドリンクの組み合わせまで考える。
時系列を意識する
対象について「過去・現在・未来」の3つの時系列で考えることです。
・「過去」に立ち戻って、
思考対象のルーツをたどってみること。
・「未来」に予測して、
思考対象が今後の在り方を考えること。
など、過去や未来に時系列を動かしながら、
新たに深堀をする項目を探していくことで、
思考を深めることができるのです。
考察
「考える」ということについて、
今回ご紹介した個別の考え方は、
非常に一般的で珍しいものではないと思います。
しかし、全体から個別の考えに整理をしながら、
落とし込んでいくプロセスになると、
急激に難易度が上がるのかなと思いました。
だからこそ、思考の迷路の迷子にならないように、
思考のフレームを道しるべに、
答えのないゴールを目指すことの大切さを実感した1冊でした。