【言いたいことが上手く言えない人向け】「自分の意見をつくる」ための方程式。
皆さんは「自分の意見」をはっきり言える方でしょうか?
僕自身はどちらかという、
自分の頭の中で考えていることを言葉にするのが苦手で、
リアルなコミュニケーションで損をしてしまうことが多い気がしています。
自分の意見をしっかりと言葉に出してアウトプットすることは、
コミュニケーションを円滑にするだけでなく、
自分の考えのアップデートにもつながります。
誤解してほしくないのは、
何でもかんでも口を挟むということが良い。
ということでは決してありません。
それでは、単なる「空気の読めない人」になってしまうかもしれません。
自分が重要だと思うのは、
しっかりと「意見」にした上で、
発言をするということです。
では、「自分の意見をつくる」とは、
どういうことなのでしょうか。
今回の記事では、
現役東大生でもある西岡壱誠さんの『「自分の意見」の方程式』を
参考にしながら解説していきたいと思います。
西岡壱誠さんとは?
まず、少し本書の著者である西岡壱誠さんについてご紹介したいと思います。
西岡さんは、偏差値35無名高校の成績ビリから2浪を経て、
東大合格というドラマチックな経歴な持ち主です。
東大合格後も以下のような活動で注目を集めています。
『講談社『モーニング』で連載中の「ドラゴン桜2」に情報を提供する東大生団体「東龍門」リーダーを務める。また全国4つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施、高校生に勉強法を教えており、静岡県沼津市にある誠恵高校では理事長付学習特別顧問を務める。著書『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)は19万部のベストセラー。コロナウイルスで休校になり学校に行けなくなった学生のために現役東大生が生配信で授業を行う「スマホ学園」を運営。
西岡さんの無名高校から東大合格までの、
思考プロセスの変遷を読んでいると、
「自分にもいけるんじゃね?」
という勇気をもらえる気がします。
「自分の意見」の方程式
方程式の結論からお伝えすると、
以下のように説明することができます。
意見=事実+問題+自分+提案
この4つの要素ですが、
具体的にはどのようなものが、
それを示すのでしょうか?
個別にみていきたいと思います。
■事実
- 出来事
- 数値データ
- 感情
■問題
- 悩みの分化
- 価値基準
- 多様化
■自分
- 立場
- 価値観
- 感情
■提案
- 推奨
- 改善
- 代替
この4つの要素がすべて満たされて構成されているものが、
「意見」であると西岡さんは語ります。
実際の主張や会話の場面では、
どう応用していけばよいのでしょうか?
書籍の中で使われている具体的な文例を引用したいと思います。
「日本は諸外国と比べて高齢化率が大きく、それが日本の財政を圧迫している。
これはこれからどんどん深刻化していく問題だと感じるので、私は、これからの日本のことを考えると、もっと日本が子どもを育てやすく、産みやすい国になるような施策が必要だと思う。」
これに、先ほどの4要素を当てはめていくと以下のようになります。
■事実
⇒日本は諸外国と比べて高齢化率が大きく、それが日本の財政を圧迫している。
■問題
⇒これはこれからどんどん深刻化していく問題だと感じる。
■自分
⇒これからの日本のことを考えると。
■提案
⇒もっと日本が子どもを育てやすく、産みやすい国になるような施策が必要。
東大生の指摘する「意見」になっていない「意見あるある」。
- 「で、どうしたの?」
- 「だから、なに?」
というツッコミが上司から入ってしまうことは、
ビジネスの現場でもよくあることです。
つまり、このツッコミは、
僕らが「意見」だと思って言っているつもりが、
「意見」として伝わっていない為に、
やらかしてしまうものだと思います。
これには、いつくかのパターンがあると、
西岡さんは書籍の中で指摘しています。
では、代表的な5つのパターンをみていきたいと思います。
1.穴の空いた意見
「この商品の生産を強化していきます!」
「webを強化していきます!」
これらの意見は、なぜ?それをやる必要があるのか?
という「事実」の部分が抜け落ちています。
例えば、
「商品を卸している小売店での欠品率が高い為、
この商品の生産を強化していきます!」
「競合がSNSに力を入れていて成果が出ている為、
自社でもwebを強化していきます!」
このような問題提起の前提となる事実を押さえることで、
穴を塞いでいくことが大切です。
2.意見がまとまらない。
何か意見を求められた時に、
「うーん…」「えーと…」
といった具合で言葉が出てこない。
このようなケースは、事実は押さえているものの、
それによって発生する「問題」を定義できていないことが、
根本的な原因としてあります。
例えば、
少子高齢化という事象に対しては、
以下のような事実があります。
- 高齢者の数が増えている。
- 結婚しない若者が増えている。
- 子どもを産む夫婦の数が減っている。
このように、1つの事象を取り上げても様々な事実があるのです。
それらの事実をどこの視点から切り取って、
「問題として定義するか」というのが意見を言う側の役割なのです。
すべての事実を真正面から受けてしまうことで、
「考えがまとまらない状態」に陥ってしまうのです。
3.何を意見すればよいかわからない。
「会社はこうあるべきではないでしょうか?」
新入社員時代、上司に対してこんな発言をしてしまい、
えらく怒られた記憶があります。
その後、自分の意見を持つことに対して
僕自身コンプレックスを持ってしまった経験でもあります。
しかし、この打開策は意外とシンプルです。
それは、「自分の立場」で語ることです。
当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、
先ほどの例でいえば、当時の僕の発言はまるで社長の立場であるかのようなものでした。
では、どうすればよかったか?
「新入社員として数週間働いてみて、
業務の中の〇〇な部分にわかりづらさがあり疑問を感じました。」
このような意見であれば、
新入社員目線では、そのように考えるのだなと上司も納得してくれたと思います。
4.提案のない意見
「今いっぱいいっぱいなんです。」
「みんなのモチベーションが下がっています。」
中間管理職になってみて、
このような部下からの悲痛な叫びを毎日のように聞きます。
しかし、それで僕自身が動いたところで、
得られる成果はほんの気休め程度のものです。
最も大切なことは、
その課題を抱えている部下自身に、
問題をクリアさせることだと思っています。
なので、いつも僕が聞くようにしていることは、
「で、その為にどうするの?」
ということです。
本人たちがそれぞれ抱える苦しい状況に対して、
そうすれば解決することができるのか?
ということを考えて提案するというプロセスは、
とても重要です。
5.「言わぬが花」タイプ
僕の以前の上司にこのようなタイプの方がいました。
慎重派で、こんなことを言う上司でした。
- 「少しでも余計なことを口にしたら、仕事が増えるだけだ。」
- 「自分が意見したところで、どうにもならない。」
- 「だから、お前も発言は控えろ。」
当時は、半信半疑でとりあえず頷いていましたが、
やはり、この考えはよくないでしょう。
このような日本に蔓延している「言わぬが花」的な考え方は、
やはり、世界経済のなかで日本が遅れをとってしまった大きな原因だと思っています。
教育学的にも、高い効果が証明されている<アクティブラーニング>も、
「生徒に自分の意見を求める」という学習方法がとられています。
つまり、自分の意見を持って自主的かつ能動的に物事を考えることが、
学びや考えることの本質だということです。
考察
意見とは、事実+問題+自分+提案。
僕自身、欠けていたな。と思うのは、圧倒的に「自分」の部分でした。
自分が意見すると、
「客観的で冷静だね。」
「なんか他人行儀だね。」
なんてことをよく言われている気がします。
つまり、事実と問題に基づいた提案はできている。
しかし、そこに「自分」を乗せられていないことで、
「自分だけの意見」になっていないのだなと感じました。
「自分」を意識することで、
「凡庸な意見」を卒業し、「自分の意見」を言えるように意識しなければいけません。
それが、自分の成長にもつながるのです。