カルロス・ゴーンとジョージ・ルーカスの失敗から学ぶ「万能感」の落とし穴について。
あなたの職場にも、こんなリーダーやトップはいないでしょうか?
- なぜかいつも自信満々で、人の言うことに耳を貸さない。
- 自己中心的で、周囲に威張り散らしてる。
僕が入社したころの自分の会社の経営層も、上記のような気質を持った人が多く、
あまり良い印象を持っていませんでした。(現在はだいぶ変わりましたが…)
さて、今回の記事は、そのような人々の特徴を心理学的に分析し、
それによる弊害やリスクを反面教師にすることで、
同じ失敗を繰り返さないようにするというのが目的です。
- カルロス・ゴーンとジョージ・ルーカスの失敗から学ぶ「万能感」の落とし穴について。
- 「万能感」とは?
- 「万能感」の失敗に陥った人々
- ジョージ・ルーカスの場合
- 「万能感」の落とし穴にはまらない為に。
- 考察
「万能感」とは?
- 何をやってもうまくいく。
- 何をやっても失敗しない。
こんな経験や感情が原因で生まれる感覚のことを指します。
特に、バブルの好景気を経験した世代や
年功序列組織でなんの苦労もせずポジションアップをしまっている世代に
多い印象です。(※これは偏見です。笑)
この万能感に支配されることの危険性は、
「自分は組織内で王であり、神であり、すべての権限を持つ支配者だ。」
「自分に意見するものは敵だ。」
と思い込んでしまうことです。
にもこの「万能感」を「自己愛性パーソナリティ障害」として、
以下のような項目で特徴が挙げられています。
- 「尊大で傲慢な行動、または態度。」
- 「共感の欠如。他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない。またそれに気づこうとしない。」
- 「対人関係で相手を不当に利用する。つまり、自分自身の目的を達成するために他人を利用する。」
- 「自己の重要性に関する誇大な感覚。」
- 「特権意識。つまり特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従うことを理由無く期待する。」
- 「かぎりない成功、権力、才気などの空想にとらわれている。」
- 「過剰な賞賛を求める。」
これらの条件を5つ以上満たすと、
「自己愛性パーソナリティ障害」と診断されます。
「万能感」の失敗に陥った人々
カルロス・ゴーンの場合
ブラジル出身の実業家。2004年に藍綬褒章を受章。ルノー、日産自動車、三菱自動車工業の株式の相互保有を含む戦略的パートナーシップを統括する「ルノー・日産・三菱アライアンス」の社長兼最高経営責任者(CEO)を務めていたが、2018年11月に東京地検特捜部に金融商品取引法違反の容疑で逮捕され、その後解任された。保釈中の2019年12月に日本から密出国によりレバノンに逃亡し、2020年1月2日に国際刑事警察機構により国際手配書(赤手配書)にて国際手配されている逃亡中の刑事被告人。
万能感の根源
彼がルノーから日産に送り込まれ行われた「日産リバイバルプラン」では、
短期間で2兆円の負債を黒字化するという偉業を成し遂げました。
一方、この黒字化改革の中で彼は「コストカッター」という異名で呼ばれていたことからも、目的の為には手段を選ばないという一面が垣間見えます。
金融商品取引法違反容疑での逮捕
上記のような成功体験と特権的意識が、何をやっても失敗しないという意識を生み、
周囲から全くとがめられることもなく、報酬改ざん行為につながってしまったのではないか?と推測します。
2018年11月19日、東京地検特捜部から役員報酬の過少申告の疑い(金融商品取引法違反)で逮捕されたカルロス ゴーン元会長の報酬額は、16億5,200万円だった。
内訳は、基本年俸16億4,700万円、その他の金銭報酬500万円。カルロス ゴーン元会長の基本年俸は、当初、取締役会で25億4,400万円と確定していたが、2018年11月22日付で会長職および代表職を解職されていた。
ジョージ・ルーカスの場合
『スター・ウォーズ』シリーズや『インディ・ジョーンズ』シリーズなどの世界的に大ヒットしたシリーズの製作で、非常に良く知られている。スティーヴン・スピルバーグ、ジェームズ・キャメロンと並んで、最も商業的に成功した映画作家の一人でもある。
万能感の根源
過去のスター・ウォーズの大成功で莫大な資金のあるルーカスには、
そもそも一般的な映画のように出資を募って製作をする必要がありません。
それにより、ルーカスは自身が作りたい映画を好きなように作ることができます。
しかし、一方でその欲求が強すぎるあまり、
まわりを自分のイエスマンだけで固め、
彼に率直に意見を述べていたプロデューサーも、
彼のもとを去ってしまったというエピソードもあります。
スター・ウォーズ新三部作の不振
まわりがイエスマンばかりになってしまった結果、
以下のような興行収入の不振の記事も散見されます。
19年12月20日に世界同時公開された映画「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」の客入りがいまひとつだ。日本でも米国でも前作の実績に及ばず、巨大市場の中国でもランキング上位に入れない。人気SFシリーズの第9話にして「完結編」をうたう大作に何が起こっているのか。不調の背景に、マニア依存の弊害、ライバルの登場、世界戦略のつまずきという3つの原因が浮かび上がった。
日本経済新聞:https://r.nikkei.com/article/DGXMZO53900410X21C19A2I00000?s=4
「万能感」の落とし穴にはまらない為に。
その答えは、「共感力」を身に付けることです。
「共感」とはまさに、「自己愛」との対義語に当たります。
その為には、
- 他人の言葉に耳を傾ける。
- 他人の気持ちを理解しようとする。
これらの姿勢が大切になってきます。
「相手の話に耳を傾けよう」という余裕こそが、
自分自身を救う行為になるのです。
考察
先日記事にした「自分の意見」を持つことはもちろん大切です。
しかし、その意見も決して万能な自分の中だけで形成されるものではなく、
「他人の意見を聞くことで形づくられていく」というプロセスを経ることが、
大切なのだなと感じています。