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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

『イシューからはじめよ』で学ぶ本質にたどり着くための思考法。

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『イシューからはじめよ』で学ぶ本質にたどり着くための思考法。

 

思考法がテーマのビジネス書を読んだり、ビジネススクールの講義を受けていると必ず出てくるワードが「イシュー」です。

 

これまでの僕はその「イシュー」という言葉の意味することを十分に理解出来ていなくて、その先にある「MECE」や「ピラミッドストラクチャー」「3C」といったフレームワークばかりに目が行きがちでした。

 

結果、いくら時間をかけても思考は深まらず、物事の表層を右往左往してばかりという状況が続いていたように思います。

 

しかし、安宅和人氏の著作である『イシューからはじめよ』を読んで、物事を考える大前提として存在する「イシュー」の重要性を改めて認識させられました。

 

この1冊から学んだ本質にたどり着くための思考法について、今回の記事では紹介していきたいと思います。

 

そもそもイシューとは何か?

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簡潔にまとめると、「何に答えを出すべきなのか」についてブレることなく活動に取り組むことだと言えます。

 

安宅氏は、「何に答えを出すべきなのか」の重要性についてこのように語ります。

 

「世の中にある「問題かもしれない」と言われていることのほとんどは、実はビジネス・研究上で本当に取り組む必要のある問題ではない。世の中で、「問題かもしれない」と言われていることの総数を100とすれば、今、この局面で本当に白黒をはっきりさせるべき問題はせいぜい2つか3つくらいだ。」

 

つまり、知的な活動の目的地となるものが「イシュー」なのです。

 

イシューの見つけ方

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目の前で発生している、もしくは与えられている課題に対して、多くの人は「解決しなければならない」と考えがちです。

 

しかし、本当に大切なことは、本当に解くべき課題は何なのか?について考えることです。

 

例えば、残業時間が多いという問題に対して、目先の残業時間削減という課題だけに縛られてしまうと、

 

  • 定時になったらオフィスの電気が消えるようにする。
  • 残業をしたらペナルティが発生する。
  • 上司が先に帰るように習慣づける。

 

といった手段だけの解決策に終始してしまいます。

 

そうではなく、経営全体の方向性や仕事の仕組みそのものの課題に目を向けるということが大切だと感じます。

 

良いイシューの3条件

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本質を突くイシューの設定は、それ自体が影響を持ち周囲を奮い立たせることができます。

 

そのようなイシューに共通する3つのポイントがあります。

 

1.本質的な選択肢である

本質的な選択肢とは「右なのか?左なのか?」の結論によって、その意味合いが大きくかわるもののことを指します。

 

身近なビジネスの例だと、

 

ある食品メーカーにて商品Aが売れていないとします。

その場合、考えられるイシューとしては、以下のようなことが検討できます。

 

  • Aに商品力がないのか?
  • Aに商品力はあるが、販売方法が良くないのか?

 

この例のように、どちらかの選択肢を選ぶことで、その後の戦略の見直しポイントが大きく変わってくるような問いが重要であると言えます。

 

2.深い仮説がある

仮説を深める方法として安宅氏が教える方法は以下のような考え方です。

「一般的に信じられることを並べて、そのなかで否定できる、あるいは異なる視点で説明できるものがないかを考える。」

ということです。

 

歴史を振り返ると、地動説は「太陽が地球の周りを動いている」という過去の一般常識を疑い「実は地球が太陽の周りを動いているのでは?」という仮説を立てたことが、世紀の大発見の出発点だったと言えます。

 

本書の中では、この一般常識として語られることの正しさを構造的に確認するためのポイントを4つ挙げています。

 

  1. 共通性の発見
  2. 関係性の発見
  3. グルーピングの発見
  4. ルールの発見

 

3.答えを出せる

「本質的な選択肢」かつ「深い仮説」の上に成り立っていたとしても、最後に明確な手段やアプローチの提案ができない問題は、よいイシューとは言えません。

 

この点に関して、安宅氏はこのように語ります。

「ありふれた問題に見えても、それを解く方法がいまだにはっきりしない、手をつけないほうがよい問題が大量にある、というのが重大な事実だ。また、他人には解けても自分には手に負えない問題、というのもある。気軽に取り組んだはいいが、検証方法が崩壊した場合には、時間の面でも手間の点でも取り返しのつかないダメージになりかねない。」

 

つまり、僕らが求めるイシューの答えは「答えが出せる範囲でもっともインパクトのある問い」であると言えます。

 

まとめ

知的労働に携わるすべてのビジネスパーソンにとって、イシューは非常に重要な概念だと感じました。

 

せわしない毎日の中でも、1日に1つ目の前の問題に対して自分なりのスタンスを持って、考え抜く時間をもつことで、少しずつ物事の本質にたどり着けるのではないかと感じます。

 

それは、本書が「毎日の小さい成功からはじめよう」という章で締められていることからも言えると思います。

 

イシューベースの小さな成功。

すぐにでも、実践していきたいですね。