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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

『武器になる哲学』ビジネスパーソンが押さえるべき哲学理論3選。

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『武器になる哲学』ビジネスパーソンが押さえるべき哲学理論3選。

 

「哲学」というと堅苦しいイメージやどこかとっつきにくい印象を持っている人も多いと思います。

 

僕自身もそのようなイメージを拭いきれず、これまで避けて通ってきました。

一方で、どこかで時間を取って学ばなければならないという思いも同時に感じていました。

 

なぜなら、世の中で活躍するビジネスパーソンの多くは、哲学の知識をヒントにビジネスにおけるビジョンやバリューの着想を得ているということを見聞きしていたからです。

 

そんな時に手に取ったのが、山口周氏の『武器になる哲学』です。

 

この書籍は、入門者向けに哲学についての捉え方から触れられており、また時代を問わず普遍席的なエッセンスがコンパクトにまとめられている永久保存版の一冊です。

 

今回の記事では、ビジネスパーソンが哲学をどう捉えるべきか?という点と、

書籍の中でも、特に印象的な哲学理論に絞って紹介をしていきたいと思います。

 

ビジネスパーソンの哲学に対する捉え方。

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著者の山口氏は、歴史上の哲学者の論考を2軸によって整理しています。

 

  • 問いの種類 「What」と「How」
  • 学びの種類 「プロセス」と「アウトプット」

 

問いの種類をさらに分解していくと、

「What」…世界はどのように成り立っているのか?

「How」…私たちはどのように生きるべきなのか?

 

ここからが、我々が捉え方として注意すべき点です。

往々にして古代の哲学者が導き出した「What」に対する答えというのは、現代科学では既に証明されている当たり前のことだったり、はたまた間違っていることもあります。

 

つまり、もう一つの軸である学びの「アウトプット」に目が行き過ぎると、落とし穴にはまる可能性があるということです。

では、どうすべきか?というと答えは「プロセス」に目を向けるというアプローチです。

 

それは、定説を鵜呑みにせず、自分なりの論点を立てて、粘り強く思考を掘っていくような態度と刺激にこそ学びがあるということです。

 

山口氏にこの点に関してこのように語ります。

 

現代を生きる私たちにとっての学びを考えると、それは「プロセスからの学び」であって、最終的な結論としての「アウトプットからの学び」は、刺身のツマのようなもので、学びの「ミソ」はそこにはないということです。

 

ビジネスパーソンが哲学を学ぶ4つのメリット。

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続いて、より具体的にビジネスパーソンが哲学を学ぶことで得られるメリットを4つご紹介したいと思います。

1.状況を正確に洞察する力

目の前で起こっていることが、いったいどのような運動なのか、これから何が起きるのかを深く理解する為に、過去の哲学者が提案した思考の枠組みやコンセプトを知識として持っていることは大きな武器になります。

 

2.批判的思考力

企業で求められる永続的な繁栄とはまさに変化することです。

そして、変化とは過去を否定して、新しい取組みを行っていくことです。

その為には、哲学で連綿と引き継がれてきた「批判的に直す」という視点が非常に重要だと言えます。

 

3.課題設定能力

日本企業はイノベーションの停滞が叫ばれていますが、その最大の要因は「アイデア」や「創造性」ではなく、そもそも解きたい課題が無いという点にあります。

哲学のプロセスでもある「常識がなぜ常識になっているのか?」という考え方から学び、常識を疑っていくことが必要です。

 

4.悲劇を繰り返さない

過去の戦争等の悲劇は、「ごく普通の人々」の愚かさによって招かれています。

過去の哲学者が、どのような問いに向き合い、どのように考えたかを知ることは、我々がまた同じ過ちを繰り返さない為に、非常に価値のある学びだと言えます。

 

哲学者からの学び

アリストテレス

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プラトンの弟子であり、ソクラテス、プラトンとともに、しばしば西洋最大の哲学者の一人とされる。知的探求つまり科学的な探求全般を指した当時の哲学を、倫理学、自然科学を始めとした学問として分類し、それらの体系を築いた業績から「万学の祖」とも呼ばれる[2]。特に動物に関する体系的な研究は古代世界では東西に類を見ない。様々な著書を残し、イスラーム哲学や中世スコラ学、さらには近代哲学・論理学に多大な影響を与えた。また、マケドニア王アレクサンドロス3世(通称アレクサンドロス大王)の家庭教師であったことでも知られる。Wikipedia

 

アリストテレスからの学びは、「論理だけでは人は動かない」という人の行動に対する本質です。

 

ともすると、人を動かす為にはロジックがすべてと捉えがちなビジネスパーソンも多いと思います。

 

しかし、アリストテレスは『弁証術』において人を動かすための3つの要素について説いています。

  • ロゴス⇒論理
  • エトス⇒倫理
  • パトス⇒情熱

スピーチが重要な社会的役割を果たす欧米では、当然の知識とされていることですが、日本においては「倫理」や「情熱」という部分の希薄さを感じます。

 

リーダーという立場においては、特に意識しなければいけない要素です。

 

ジョン・ロック

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ジョン・ロック(John Locke、1632年8月29日 - 1704年10月28日)は、イギリスの哲学者。哲学者としては、イギリス経験論の父と呼ばれ、主著『人間悟性論』(『人間知性論』)において経験論的認識論を体系化した。また、「自由主義の父」とも呼ばれ[2][3][4]、政治哲学者としての側面も非常に有名である。『統治二論』などにおける彼の政治思想は名誉革命を理論的に正当化するものとなり、その中で示された社会契約や抵抗権についての考えはアメリカ独立宣言、フランス人権宣言に大きな影響を与えた。Wikipedia

 

ジョン・ロックからの学びは、「経験次第で人はどのようにでもなれる」という価値観です。

 

当時は、貴族の子に生まれれば貴族に、百姓の子に生まれれば百姓に、という人の人生は生まれながらにして決まっているという考え方が支配的でした。

 

その考えを否定するジョン・ロックの思想はかなり異端であると思います。

 

彼は『経験論』の中で、生まれた時の人の心は、「何も書かれていない石板=タブラ・ラサ」という主張をしています。

 

つまり、人は経験と学習によっていくらでも学ぶことができると言えます。

これは、人生100年時代と言われる現代においても学び直しという観点で、押さえるべき命題だと感じます。

 

エーリッヒ・フロム

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エーリヒ・ゼーリヒマン・フロム(Erich Seligmann Fromm、1900年3月23日 - 1980年3月18日)は、ドイツの社会心理学、精神分析、哲学の研究者である。ユダヤ系。マルクス主義とジークムント・フロイトの精神分析を社会的性格論で結び付けた。新フロイト派、フロイト左派とされる。Wikipedia

 

エーリッヒ・フロムからの学びは、「自由」に対する考え方です。

 

当時、ナチスドイツのファシズムの全盛期をいきたフロムは、全体主義に対する当時の人々の熱狂を鋭く、批判的に捉えました。

 

それは、過去の「一般市民」は自由を願い奴隷制度から解放を多大なる犠牲を伴いながら成し遂げてきたにも関わらず、ファシズム体制において自ら権力への隷属を願ったのも、また「市民階級」の人々であったという矛盾です。

 

そこからフロムが行った考察とは、「自由とは耐えがたい孤独と痛烈な責任を伴うもの」であり、そこから逃げた人々は、「権威に付き従うことを好む一方、自らも権威でありたいと願い」という人間を特性を捉えたものでした。

 

つまり、人間は自由というものが突きつけてくる重荷に対して、それに耐えるだけの「自我と教養」を持たなければいけないという教訓にもなります。

 

まとめ

哲学を知ることで、現代のビジネス書などでも語られるスキルやハウツーのバックボーンとしていかに哲学的理論がベースになっているものが多いかを実感しました。

 

また、同時に自分が日々のビジネスや生活で感じた疑問、ぶつかった壁なども、過去の先人たちがどのように考え乗り越えてきたのかという視点で考えることも興味深いと感じました。