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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

【書評】『人材マネジメント入門』に学ぶ企業別マネジメントスタイルの考え方。

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【書評】『人材マネジメント入門』に学ぶ企業別マネジメントスタイルの考え方。

 

現在僕は、マネージャーという役割で仕事をしています。

約50名の部下を持ち、現場の指揮系統としての役割を担っていますが、

その実務内容は非常に泥臭く、そして慌ただしい日々を送っています。

 

しかし、そのような日々に忙殺される中で感じることは、思考がどんどん「個人レベル」や「作業レベル」にシフトしてきてしまうということです。

 

つまり、「組織レベル」や「事業レベル」の全体感を意識せず、場当たり的な解決策を求めてしまいがちということです。

 

「俯瞰的な目線」が足りていないとも言えると思います。

 

そんな悩みを抱えている中、手に取ったのが『人材マネジメント入門』という1冊です。

本書は、人材マネジメントにおける基礎情報が体系的に網羅されたもので、

会社という大きな組織を「俯瞰的な目線」で捉え、そして現場の実務へ落としていくというプロセスを学ぶことができます。

 

そもそもマネジメントとは?

 

マメジメントの語源をさかのぼると、「自分の手でなんとかする」という意味合いであると言われています。

 

また、マネジメントの父と呼ばれるP.F.ドラッガーは、以下のように言及しています。

 

「組織をして成果をあげさせるための、道具、機能、機関がマメジメントである。」

 

つまり、社内における限られたリソースを使用して、目標達成に向けたパフォーマンスを上げることが、マメジメントの本質であると言えると感じます。

 

組織のマネジメントスタイルを切り分ける2軸

マネジメントの本質を踏まえた上で、そのアプローチには絶対的な正解はありません。企業の置かれている環境や、目指す方向性によって大きく異なってきます。

 

本書では、縦軸に「企業規模」(グローバル大手⇔ベンチャー中小)、横軸に「育成」(長期・育成⇔流動・排出)というマトリクスを用いて、具体的な会社の事例を交えてそれぞれのマメジメントスタイルが紹介されています。

 

  • グローバル大手×長期・育成⇒トヨタ自動車
  • グローバル大手×流動・排出⇒リクルート
  • ベンチャー中小×長期・育成⇒アカツキ
  • ベンチャー中小×流動・排出⇒サイボウズ

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引用:『人材マネジメント入門』

スタイル別4社の人材マネジメント事例

 

トヨタ

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トヨタ自動車株式会社(トヨタじどうしゃ、英文社名:Toyota Motor Corporation)は、日本の大手自動車メーカーである。通称「トヨタ」、英語表記「TOYOTA」、トヨタグループ内では「TMC」と略称される。豊田自動織機を源流とするトヨタグループの中核企業で、ダイハツ工業と日野自動車の親会社、SUBARUの筆頭株主である。TOPIX Core30の構成銘柄の一つ。

 

トヨタグループ全体の2018年の世界販売台数は約1,059万台で3位[2]、トヨタブランド単独では約886万台で世界第1位である[3]。

・売上高連結:29兆9,299億9,200万円

(2020年3月期)

・従業員数連結:37万870人

引用:Wikipedia

 

マネジメント

「モノづくりは人づくり」という理念のもと、中長期的視点から人材育成を行っています。上司の最も重要な役割は、部下の育成だと位置づけられ、基本業務を通じたOJTが徹底されています。

 

人材開発

社員が成長を望んだ時に、その情熱を真正面から受け止められる環境を用意することが、人材開発の中で重視されています。その為に、前述したOJTを通じた適切な評価とフィードバックの仕組みと人事異動がセットになって機能していると言えます。

 

組織開発

QC(クオリティ・コントロール)活動という、品質と生産性向上活動が行われています。国内でも、5000以上のサークルが存在し、10人程度のグループで、工程の見直しや工具の使用方法などのアイデアを出し合うといった自律的な活動が推奨されています。

 

リクルート

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主に人材派遣、販促メディア、人材メディア、ITソリューションを提供している。近年はITを駆使した事業分野に大幅に注力している[5]。社員全員が参加できる新事業コンペを導入し、自由に事業を起こすことができる社風であるという。出版する情報誌からフリーター、就職氷河期、ガテン系などの流行語が生まれている。

売上高連結:2兆3,107億56百万円

(2019年3月期)

従業員数連結:45,856名

(2019年3月31日基準)

引用:Wikipedia

 

マネジメント

「一人ひとりが起業家精神を持ち成長を続ける」という理念のもと、「自分はどう考え、何をすべきか?」という当事者意識が圧倒的に重視されています。

 

人材開発

個人に成長機会を与える仕組みが充実しており、スキル開発の選択型研修や、ビジネススクールでの学習など、様々な成長支援の仕組みがあります。

 

組織開発

リクルートでは、組織の活性化とは「カオスの演出」だと定義されています。

「一に採用、二に人事異動、三に教育、四に小集団活動、五にイベント」という組織活性化の機会が常に重視されています。

 

 

アカツキ

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東京都品川区上大崎に本社を置く日本のゲーム会社。ワークスアプリケーションズのインターンシップで知り合った塩田元規と香田哲朗が、2010年に創業したゲーム会社である。2016年、東京証券取引所マザーズ市場に上場。その後『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』のヒットや問題などで注目を集め、2017年には東京証券取引所一部に市場変更となった[1][2]。

売上高    21,926百万円

従業員数 245 人

引用:Wikipedia

 

マネジメント

「成長とつながり」の理念のもと、仕事以外の時間も含めて、一貫してワクワク感や楽しさを人生の中で求め続けていくことが推奨され、それが組織の成長にもつながるという意識が大切にされています。

 

人材開発

「顧客とプロダクトの満足度最大化」を目指す人材輩出チームを作っている部分が特徴的です。

社内における「登龍門」と言われ、熱量が高く、成長に対して意欲的な人材を現場主導で抜擢していく仕組みがあります。

 

組織開発

メンバーたちの言葉を集めた「アカツキのコトノハ」の編纂や、「わかちあい」の場づくりなど、現場の声を出発点に社内文化を形成する風土があります。

 

サイボウズ

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東京都に本社を置くソフトウェア開発会社。グループウェア「サイボウズ Office」シリーズなどを手掛ける。

1997年に愛媛県松山市にて高須賀宣、畑慎也、青野慶久により創業された[1]。この年に「サイボウズ Office 1」を発売したが、店舗や営業マンはおらず、製品の販売は全てホームページに絞っていた。

社名は、「電脳」を意味する「cyber」と、親しみを込めた「子供」の呼び方「坊主 (bozu)」に由来し、「電脳社会の未来を担う者達」という意味も込められている[2]。

売上高    連結:8,039百万円

従業員数 連結: 516名

引用:Wikipedia

 

マネジメント

「多様な働き方へのチャレンジ」という理念のもと、様々な働き方ができる制度やツールを充実させていますが、それらをどう使うかは一人ひとりに委ねられ、個性を尊重する姿勢が強い社風です。

 

人材開発

「自分の選択に、自分で責任を持つ」ことが重視されています。

自分の目指す成長度合いによって、休日を設定したり、必要に応じて申請の必要のない複業をすることも推奨されています。

 

組織開発

サイボウズでは「感動課」という部署が存在します。

職場に眠っている感動の種を見つけ出し、社内に共有し、感動の華を咲かせることで、社内風土づくりをするという目的です。

感動課の評価は、「何人が泣いたか?」で決まるという点も特徴的です。

 

まとめ

各社の人材マメジメントから学ぶことができるのは、企業としての理念の浸透と、従業員の自発性の掛け合わせだと感じます。

 

この二つがリンクしている状態であるほど、組織としての力が発揮されるのだと思います。

 

もう一度、自分が勤める会社の目指すところはどこか?

そして、メンバーが自発的に力を発揮できる部分はどこか?

ということを振り返る機会になりました。