【企業分析】スマートHRから学ぶ企業の課題設定における本質【クラウド人事労務ソフト】
コロナウィルスをきっかけに、オフィス業務においてはペーパーレスの加速やハンコ文化の衰退が顕著にみられました。
これまでは「いつかやろう…」「将来的には…」と検討はしていたものの、
実行まで移せていなかった企業にとっては、コロナをタイミングとして急激にその必要性に迫られたのではないでしょうか。
僕の勤務している会社も同じく、スピード感を持った大胆な変更が顕著に進んでいる印象です。
一方で、そのような企業が抱える社会課題に対して解決策を提案する企業の需要が大きく伸びているという背景もあります。
その中でも、代表的な企業が今回の記事でご紹介する<スマートHR>です。
スマートHRとは?
シェアNo1のクラウド人事労務ソフト「SmartHR」の紹介動画。 人事労務管理はこれで解決!
スマートHRは年末調整書類や雇用契約書などをクラウドソフトで管理するサービスを提供しています。
約2万6000社が導入し、解約率が2%を切れば優良とされるクラウドサービス業界において、継続率は99.5%という驚異的な実績を出しています。
世の中に数ある人事向けサービスの中で、
なぜスマートHRが選ばれるのか?という理由をフレームワーク分析していきたいと思います。
スマートHRの経営フレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「収益モデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
ターゲット
メインターゲットは、「バックオフィスの生産性を向上させたい法人」
だと考えます。
「生産性向上」というキーワードは、
今やほとんどの企業にとって優先順位の非常に高い課題であり、
またその解決策に悩んでいる課題でもあります。
つまり、国内におけるほぼすべての法人がターゲットになりうると言っても、
過言ではありません。
バリュー
スマートHRは顧客に提供するバリューを
「社会の非合理を、ハックする。」
という表現をしています。
既成概念に捉われない新しい仕組みを使って、
これまでの慣習的に行われてきた「非合理なシステム」を、
変えていくことを意味しています。
その手段の一つとして「労務管理の簡易化」という切り口で、
サービスを提供していると言えます。
ケイパビリティ
スマートHRのケイパビリティは、
- UI(ユーザーインターフェイス)⇒人とモノ(主にデバイス)をつなぐ窓口のようなもの
- UX(ユーザーエクスペリエンス)⇒人がモノやサービスに触れて得られる体験や経験と言えます。
また、スマートHRは「労務管理」という分野において圧倒的に特化して投資を行っていることで、競合他社に対してもUIとUXが大きな強みとなっているとも言えます。
では、具体的に見ていきたいと思います。
UI
直感的な視認性が優れており、デバイスに使い慣れていなかったり、労務知識が不十分な従業員でもどこを選択すべきかがすぐわかるように、極限までシンプル化されたインターフェイスとなっています。
UX
UXの特徴としては、以下の3つが挙げられます。
①ダイレクトな情報伝達
紙の書類作成では、「労務担当⇔各部署の上長⇔各従業員」という書類の引き渡しフローが発生しますが、クラウドサービスでは、中間のとりまとめ役を省いて「労務担当⇔従業員」のダイレクトなやり取りが可能となり、業務がシンプル化されます。
もちろん、紙も一切使わない為、ペーパーレスにもつながります。
②シンプルな入力形式
労務関連の書類作成において必要記入事項のわかりづらさは、
多くの方が経験あるかと思います。
スマートHRでは、すべて質問形式で入力できる仕様になっており、
「調べる」、「確認する」、「修正する」、これらの時間を削減することができます。
③一元管理
データでの一元管理により、従業員の入社や退社また、引っ越しや結婚・出産に伴う情報変更などの更新漏れを防ぐこともできます。
収益モデル
スマートHRの主な収益源はサービス利用料です。
基本的には、サービスのランニングコストと技術開発が主なコストの為、
スケールメリットが非常に大きいと言えます。
また、あらゆる法人をターゲットにしている為、顧客企業のニーズや従業員数などによって価格設定を戦略的に行うこともできます。
今後に向けても収益の半分以上を投資に充てている点からも、
さらなる拡大を続くビジネスモデルだと考えます。
まとめ
スマートHRが成功している本質は、誰もが「労務管理は面倒なものだからしかたない」と妥協しながら抱えていた共通課題を発見した。という点にあると思います。
スマートHRの宮田社長はこのように語ります。
「本当に自分が解決したい課題であれば市場規模が小さくてもいいんですが、僕の周りにはスタートアップで一山当てたいっていう人が多いんですよ。そういう人が小さい市場でビジネスをはじめると、はじめた後にビジネスを続けていくのが辛くなっていくと思います。大きく成功したいなら、大きな市場のなかで、大きな課題を見つけることだと思いますね」
参照
- スマートHR:https://smarthr.jp/
- STARTUP DB:https://media.startup-db.com/interview/smarthr
- KeyPlayers:https://keyplayers.jp/archives/4198/
- DIAMOND:https://diamond.jp/articles/-/237951