【企業分析】「HINEMOS」に学ぶレッドオーシャンに見出す新たな切り口。【日本酒スタートアップ】
飲み会に行く機会は激減。
これまでも会社の付き合い程度で、月に数回程度飲み会に行く機会はありましたが、コロナウィルスの拡大とともに飲み会自体もほぼ皆無になりました。
しかし、そのぶん飲酒量自体が減ったかというと、そこまで極端に減ってはいないという感覚です。
やはり外食を控える代わりに、たまに家でちょっと贅沢な食事を食べたりやお酒を飲むことが生活の中での楽しみになっています。
新しい生活様式において、自宅でプレミアム感を感じることのできるサービスや商品は、とても魅力的で需要も拡大していくだろうと感じています。
この記事では、そんなことを日頃の生活で感じている中で、切り口がとても新鮮に感じた日本酒のブランド「HINEMOS」をフレームワーク分析とともに紹介したいと思います。
<HINEMOS>とは?
販売会社であるRiceWineが、自社ECサイト「HINEMOS」で、「時間」をコンセプトにした日本酒を2019年5月から販売している。
おいしさにこだわったものづくりを行っており、ECでの購入者の3割がリピーター。ギフトに選ばれることも多いという。緊急事態宣言前後で、ECの売り上げは2倍に伸びたとしている。
同サイトで販売する「HINEMOS」ブランドの日本酒は、井上酒造と協力して醸造を行っており、品評会で受賞歴も持つ。
「HINEMOS」のブランドフレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「ビジネスモデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
のフレームワーク分析
ターゲット
「お酒は好きだけど日本酒に抵抗感を持っている人」
僕自身、お酒は嫌いではないのですがアルコールに弱く、日常的に飲んでいるお酒は5~8%のビールやチューハイが中心です。
なので、アルコール度数の高い焼酎や日本酒は、元々無理だろうとあまり手を出すことができませんでした。
しかし、「HINEMOS」のラインナップには特殊な製法で度数5%から用意がされていることで、試してみるハードルも一気に下がります。
バリュー
「時間を楽しむ」
「HINEMOS」というブランド名は、「1日中」を意味する「終日(ひねもす)」を語源としています。また、ブランドコンセプトは「時間」で、「時間の流れに合わせてそれぞれのお酒を楽しんでほしい」という思いを込めているといいます。
商品は夕方7時から深夜2時までのそれぞれ1時間ごとの時間に合わせたラインナップが用意されています。
時間帯によってその時間を最高な瞬間に変えるお酒は違うと考えているというブランドの考え方には非常に共感できます。
ケイパビリティ
時間帯ごとのラインナップ
各商品ごとにテーマ設定がされています。
PM7:00:
夜7時にビールの代わりにスパークリング日本酒
PM8:00:
色んなアラカルトと合うようにマッコリ的なにごり酒
PM9:00:
メインディッシュのお肉やお魚と合うように純米大吟醸
ギフト感のあるパッケージ
日本酒特有の男くさいイメージはなく、まるでお菓子のような華やかで女性的なギフトパッケージの仕様になっています。
ワインのような味わい
主力商品の一つである「SHICHIJI(7時)」は、世界最大の酒類品評会「IWC2019」のスパークリングワイン部門で銀賞を受賞しています。
甘酸っぱい果物を想起するような香りで、「瓶内二次発酵」という、シャンパンと同様の製法で醸造しているのです。
ビジネスモデル
「D2C」
「HINEMOS」はECを主軸とした「ダイレクトtoコンシューマー」のビジネスモデルです。
商品はWEBサイトを通じてダイレクトに顧客へ届けられます。
中間業者を通さない分、より適切な価格で良い商品を提供することができると考えられます。
また、その過程で顧客から多くの情報を収集できることもD2Cのメリットです。
商品に関する改善や修正を即座に反映させることができるというスピード感を持たせることができます。
スタートアップ企業でありながら注文の高いリピート率や緊急事態宣言後の売上増加の背景は、そのD2Cの特性を生かしたサイクルを上手く回していることが起因しているのかもしれません。
まとめ
世の中に無限の組み合わせがあるお酒というジャンルですが、意外にも僕らはお酒の種類によって固定観念的なイメージを持っていて、よほどお酒好きでなければ自分が飲みやすいものばかり繰り返し飲んでいるという印象です。
「HINEMOS」は「飲みやすさ」や「飲む場面のわかりやすさ」という意外かつ新鮮な切り口で、僕のように日本酒に抵抗を感じている人にも、お酒の新しい楽しみ方を教えてくれまし