【書評】『「繊細さん」の本』を読んで考えたこと。
「HSP」
最近よく耳にするワードの一つだと思います。
これは、ハイリー・センシティブ・パーソンの頭文字を取った言葉で「視覚や聴覚などの感覚が敏感で、非常に感受性が豊かといった特徴を生得的に持っている人」のことを指します。
この特徴をもつ人間は、実は5人に1人の割合に存在すると言われています。
他ならぬ僕自身も、環境や場面によりますが、「HSP」に当てはまると感じることがあります。
そして、それはこれまで自分が直さなければいけない「コンプレックス」として捉えて致しました。
しかし、「HSP」に関する理解を深めることで、徐々に直す⇒受け入れるという心の変化が生じてきました。
その理解を促すのに、非常に役に立ったのが、今回の記事でご紹介する『「繊細さん」の本』というタイトルの1冊です。
「HSP」の特徴を持つ人を「繊細さん」と表現して、その悩みや対応の仕方について触れられています。
恐らくですが、「HSP」というワードがここまで社会的に浸透するきっかけになったのが、この本ではないかと思います。
あなたは「繊細さん」に当てはまる?
本書で紹介されている「繊細さん」の特徴の一部を抜粋して引用しました。
おおよそ、これらの3分の1の項目が当てはまります。
・自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ
・他人の気分に左右される
・明るい光や、強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
・騒音に悩まされやすい
・とても良心的である
・短期間でたくさんのことをしなければいけないとき、混乱してしまう
・一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤだ
・生活に変化があると混乱する
・動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
・子どもの頃、親や教師は自分のことを「敏感だ」「内気だ」と思っていた
「繊細さん」が陥りがちな場面とその対処方法
①人と一緒にいると疲れてしまう。
「繊細さん」が最も陥りやすい悩みの一つが、対人関係の疲れです。
特に飲み会などの多くの人がいる場面では、それが顕著に表れます。
その理由としては、神経システムがあげられます。
感じ取る力が強すぎる「繊細さん」は、はっきり感じとれるものから、無意識レベルものまで、多くのものを感じ取ってしまうのです。
なので、人が多くなり、情報量(人の表情、仕草、トーンなど)が多くなる場面ほど、刺激過多になってしまうのです。
では、どうすればよいか?というと、
意識的に「一人になる」時間を確保することです。
一人になって周囲からの刺激を減らしてあげることで、自分を回復させてあげることが大切です。
僕自身、数日間飲み会が続いた後の週末は、誰とも会う気がしない気持ちになるタイプですが、これはまさに周囲の刺激から自分を回復させていたのだと思います。
②人に譲りすぎてしまう。
・仕事が終わってヘトヘトの電車の中で自分が座りたくても、他の人を気遣って自分は座れない…
・仕事の場面において、たくさんの仕事を抱えながらも、他の人に振れない…
このように無意識のうちに、「自分よりも他人を優先させてしまう」のも「繊細さん」の一つの特徴です。
これは、自分に対して相手がどう思うか?どういう対応をして欲しいと思うか?を深く考えることができるからこそ、「自己中心的」な振る舞いはできないのです。
このような人は周囲から見れば、「とても良い人」ですが、一方で気づかないうちに多大なストレスもため込んでいます。
では、どうすればよいか?というと、
「こんなわがままでいいのかな?」と思うくらいに積極的な発言や行動をする。ということです。
第3者的に見ると、実はそれが一般的なレベルくらいの言動だったりするのです。
③「自分の意見」がないと言われがち。
上司や先輩から「君はどう思う?」という質問に対して、言葉が詰まってしまい、「君には自分なりの考えが足りない」という指摘を受けたことはないでしょうか?
このケース、実は僕は幾度となく経験があります。
このような言葉を受けると、本当に自分は何の意見や考えもない人間なんだと思い込んでしまいます。
しかし、そうではありません。
このケースの場合、「繊細さん」にとっては、本当は自分の意見があるものの、「相手の立場や状況において最も適切な回答をしなければいけない」という思考が邪魔して、上手く言葉が出てこないのです。
では、どうすればよいか?というと、
まずは日頃から考えや意見を言える場所を持つということです。
親しい友人や、家族。
もしくは、ブログやSNSでも構いません、
日々の小さなアウトプットからはじめていくことが大切です。
感想
・自分は繊細過ぎる。と悩むのか?
・自分の感性は非常に豊かだ。と前向きになるのか?
「繊細さん」にとってこの考え方の転換は、非常に重要だと思います。
つまり、自分の繊細さは短所でもなんでもなく、一つの特徴だと受け入れ、それが最も活かせるアクションに繋げるということです。
一方、社会の在り方にも課題があると思っています。
日本社会の教育現場においても長く、短所を無くして均一化ばかりを目指していく方向が主流でした。やはり、それが前提だと生きづらい人は多く存在します。
しかし、本来は人それぞれの良い部分に着目し伸ばしていく。それが、大切なのだと思います。
そういった社会においては、「HSP」という特徴によって悩むという概念すらなくなると思います。