【企業分析】「サイボウズ」の経営から学ぶ最先端のワーキングスタイル。
「副業」や「リモートワーク」など働き方改革に関わるニュース記事において、たびたびモデルケース企業として紹介される「サイボウズ」という会社。
名前だけは知っていましたが、具体的にどんな事業、そしてどんな働き方を実践している企業なのか?ということに興味がありました。
今回は、ブログ記事で取り上げることで、日本国内では最先端とも言えるワークスタイルを実践するサイボウズについて掘り下げて分析していきたと思います。
サイボウズとは?
東京都に本社を置くソフトウェア開発会社。
スケジュールやメール、会議予約などを行うグループウェアという情報共有システムの開発を行っています。
「サイボウズ Office」や「Kintone」シリーズなどを手掛けています。
1997年に愛媛県松山市にて高須賀宣、畑慎也、青野慶久により創業され、
社名は、「電脳」を意味する「cyber」と、親しみを込めた「子供」の呼び方「坊主 (bozu)」に由来し、「電脳社会の未来を担う者達」という意味も込められています。
サイボウズの経営フレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「収益モデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
ターゲット
国内中小企業からグローバル大企業まで
サイボウズはBtoB向けの「グループウェア」と呼ばれる情報共有ソフトウェアの開発が主な事業です。ソフトウェアは、企業規模や目的に対応したものが開発されています。
導入企業には
- ソフトバンクグループ
- 資生堂
- ANA
- 日産自動車
- 朝日新聞
- 住友不動産
などがあります。
また、アメリカ・東南アジア・オーストラリアをはじめとする海外展開にも力を入れています。
バリュー
「100人いたら100通りの働き方」
グループウェアによる社内の情報共通を通じて、導入企業の働き方に多様性を与えるということがサイボウズの最大の価値提供です。
また、これはサービス提供企業だけに行っていることではなく、サイボウズ自体においても自社サービスをフル活用することで、多様な働き方のモデルケース企業になっている点が、大きな価値であると言えます。
ケイパビリティ
働き方の仕組み
多様性を尊重する、公明正大である、議論を大事にする、そんな風土があってこそ、多様な働き方が実現できるとサイボウズでは考えられています。
・育児・介護休暇制度
最長6年間の育児・介護休暇制度。妊娠判明時から取得可能な「産前休暇」、「育児・介護短時間勤務制度」が採用されています。
・働き方宣言制度
時間と場所で区切られた9分類から選ぶ、従来の選択型人事制度は廃止し、新たな人事制度「働き方宣言制度」の運用を開始。新しい制度のもとでは、一人ひとりが「自身の働き方」を自由に記述するスタイルで宣言し、実行されています。
例えば、
- 「来月から複業のほうが忙しくなりそう」
- 「来月から子どもが夏休みなので在宅勤務を多めにしたい」
- 「応援している球団の試合の日は早く帰りたい」
こんな宣言の通りの働き方が実現されているのです。
ソフトウェア
・Kintone
あらゆる業種に対応したソフトウェアです。
散在するエクセルや、煩雑なメール、紙の書類の山など、バラバラになりがちな情報の統合が可能です。SNSのようなコミュニケーションと、エクセルのようなデータ管理が一画面に集約・共有でき、チームの仕事を見える化チームの仕事を見える化できる点は、立場や視点がバラバラなメンバーも使いやすい環境を整備します。
・サイボウズoffice
国内中小企業向けソフトウェアです。
社内の情報共有やコミュニケーションを円滑にする機能をワンパッケージで提供しています。パソコン、タブレット、スマートフォンなど、様々なデバイスに対応しており、高いセキュリティを担保しつつ、社外からもかんたんにアクセスできる点が魅力です。
・Garoon
グローバル・大企業向けソフトウェアです。
各部、拠点、プロジェクトなどさまざまな切り口でポータルを作成し情報発信することができるので、社内に散在する情報を効率的に整理したり統合することができます。
プロジェクト進行に必要な、ディスカッション、共有ToDo、ファイル共有を集約し、プロジェクト業務を効率化するアプリケーションにより、成功プロジェクトのノウハウを確実に企業内で蓄積・伝承することができます。
・メールワイズ
一般のメールの機能に加えて「お客様情報」や「対応履歴」、「コメント機能」、「返答文テンプレート」などメール対応業務を簡略化する機能を取り揃えており、複数人によるメール対応で直面する対応漏れや誤送信・二重送信を防止します。更には情報共有を円滑にして顧客対応の品質向上にも活用できます。
収益モデル
ソフトウェアの月額利用料
サイボウズの売上規模が大きく飛躍したターニングポイントは、ソフトウェアをパッケージとして一括購入してもらうスタイルから、月額利用のサブスクリプションモデルに大きく移行した点だと言えます。
これは、営業担当者の売り込みではなく、Web経由の契約のシェア拡大が可能になった転換点だと言えます。
まとめ
サイボウズの世の中のモデルケースとされる働き方においては、優れたグループウェアソフトや社内の仕組みはありながらも、社員一人一人の「自立意識」の上に成立している部分が大きいと感じました。
そして、社長である青野氏のメッセージが強く心に響きました。
自立という言葉はけっこう難しいですね。本の中(『チームのことだけ、考えた。』)では、「自分で選択して責任をとること」という言い方をしています。そもそも人間が100%自立するのは不可能なんです。経済的に自立しているといっても、支えてくれるお客さまが必ずいるわけですから。極端な話、自給自足で暮らしている人だって、実際は太陽や雨など自然の恵みのおかげで生きているわけですしね(笑)。
私が考える自立とは、「自分の人生に自分で責任を持とうとする主体性」です。人のせいにするのではなく、自分で選び、責任を取ること。メンバー全員が、自分の意思で選んで行動する——そんな主体性のある組織だと楽しいだろうし、私も楽ができそうです(笑)。