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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

キャリアになんとなくの不満を抱える30代サラリーマンが絶対に読むべき1冊。

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キャリアになんとなくの不満を抱える30代サラリーマンが絶対に読むべき1冊。

キャリアも30歳を超えてくると、昔の仲間であった同僚や同期たちの中に明暗が少しずつ分かれ始めます。それは単に「出世しているか」「有名になっているか」「お金を稼いでいるか」などそんなどうでもいい短期的な話ではなく、もっと本質的な「諦め」や「人生を持て余している感覚」があるかどうか、です。言い換えれば、仲間の中から活躍し生き生きと夢を語る同世代も出てくる一方で、30代半ばにして既に世の中の固定概念に縛られ、自分の過去の栄光にしがみついて生きている人も出てくる、ということです。その共通点はシンプルで、才能や能力を持て余した日々を過ごし、なんとなく不満を抱えているということ。そういう悲しい話を聞くことが少しずつ増えるようになりました。

引用:『これからの生き方』

 

野唯我氏の著作である『これからの生き方』における一節です。

今の自分に対してかなり重く突き刺さる内容だったのでそのまま引用しました。

 

本書でメインターゲットとされている年齢と同じ30代の自分。そして、学生時代は夢を見た「誰もが知る大企業」に入社したまではいいものの、その後、出世コースから外れ、うだつの上がらない日々に悶々とする自分。そんな自分にとって、「人生を持て余している感覚」というのが、まさに今感じている「モヤモヤ」を最も適切に言語化された表現だと感じたのです。

 

そして、今自分が求めているのは…

現在の上司からの高い評価や、部下からの評判ではなく、「本当に自分自身が全力で取り組みたいと思えるもの」つまり「これからの生き方」を見つけることだと思いました。実現できる範囲の現実を受け入れてしまいがちな30代だからこそ愚直に、「これからの生き方」を模索することが、後の人生にとって必ず意味あることだと感じます。

 

本書からの学びは、「これからの生き方」に対して、個々人が持つ価値観や性格によって、「どこに進むべきか」方向性を示している点です。実際の書籍では、マンガのストーリーになぞらえて語られますが、本記事ではマンガ部分は割愛します。

 

「14の労働価値」から考える自分の価値観

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アメリカの心理学者であるドナルド・E・スーパー氏が提唱した「14の労働価値」という考え方があります。

 

  1. 能力の活用…自分の能力を発揮できること
  2. 達成…良い結果が生まれたという実感
  3. 美的追求…美しいものを創り出せること
  4. 愛他性…人の役に立てること
  5. 自律性・自立性…自律できること
  6. 創造性…新しいものや考え方を創り出せること
  7. 経済的価値…たくさんのお金を稼ぎ、高水準の生活を送れること
  8. ライフスタイル…自分の望むペース生活ができること
  9. 身体的活動…身体を動かす機会が持てること
  10. 社会的評価…社会に仕事の成果を認めてもらうこと
  11. 危険性・冒険性…わくわくするような体験ができること
  12. 社会的交流性…いろんな人と接点を持ちながら仕事ができること
  13. 多様性…多様な活動ができること
  14. 環境…仕事環境が心地よいこと

 

14の価値観を列挙しましたが、ここで大切なことは、この14の価値観をすべて満たす必要はない。ということです。また、必ずしもどれかの価値観を100%まで高める必要もありません。

 

これらの価値観は、誰しもが少なからず持っているものです。つまり、上記の価値観をすべてまとめ上げること。それが「生き方」になるということです。

 

その中で、自分の持つ価値観はどのようなバランスで「生き方」として構成されているのか?を認識することが重要になります。

 

僕の場合はどうか?

現在の会社に入社する際に大切にしていた価値観は、以下のような割合だと自己分析します。つまり、「何がしたいか?」よりも「どう見えるか?」を重視する傾向があったように思います。

 

  • 能力の活用…15%
  • 経済的価値…25%
  • 社会的評価…35%
  • ライフスタイル…25%

 

しかし、実際に働く中で感じた自分の中での価値観の変容は以下のように、自分自身の活動が社会や他人に対して何をもたらすことに価値があるように感じるようになってきました。

 

  • 能力の活用…25%
  • 達成…25%
  • 自律性…35%
  • 多様性…15%

 

4つのキャリアタイプ

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労働に対する価値観に加えて、もう少し具体的な「働き方」にまでフォーカスして考えてみたいと思います。本書では、人が人生を通じて歩む働き方=キャリアを4つに分解しています。この4つは、北野氏ならではの鋭く納得感のある切り口だと感じました。

 

  1. スキル型キャリア…エンジニア・デザイナー・弁護士・建築家
  2. 意思型キャリア…起業家・発明家・芸術家・芸能人
  3. チーム型キャリア…コンサルタント・コーチ・事業責任者
  4. バランス型キャリア…アナリスト・マーケター・プロデューサー

 

この分類を一見してわかる通り、一部僕の偏見も入っているかもしれませんが、日本における新卒総合職一括採用をされたような人間は、チーム型かバランス型のキャリアに当てはまるケースが多いのではないでしょうか。

 

僕自身、小売業におけるマネージャーというポジションは、チーム型でもあり、バランス型でもあるという両側面を持っているように思います。

 

ここで、大切なことは2つあると考えます。

 

1つ目は、他のキャリアの可能性も検討することです。どうしても、1つの会社に長く所属していると、その会社における働き方が、世の中のスタンダードだと感じてしまいがちです。会社から求められる働き方以外の選択肢を排除してしまうことは、もったいないことです。

 

僕自身、この書籍を初めて読んだ際は、自分はチーム型かバランス型だろうな。と半ば決めつけをして読んでいました。しかし、自分の中にスキル型・意思型の働き方の可能性はないだろうか?と考えることで、より幅の広い考えを持つことができるようになりました。

 

2つ目は、キャリアごとの一長一短を知ることです。

どんなキャリアタイプにおいても絶対の正解はありません。

例えば、スキルタイプは最も早く手に職をつけて稼ぐことができますが、そこから差別化してスケールしていくには、他のタイプに比べて非常に時間と努力が必要になるという傾向もあります。短期的な興味・関心だけではなく、長期的に自分がどうなりたいのか?ということを踏まえた上で検討をする必要があると思います。

 

まとめ

ここまで「これからの働き方」という観点で、労働に対する価値観やそのキャリアのタイプについてみてきましたが、最後にそれらの最もベースになるものがあります。

 

それが、渋沢栄一氏が『論語と算盤』にも残した、「知恵・情愛・意思」という3要素です。

 

  1. 知恵だけでは、人はついてこない。
  2. 意思だけでは、仲間の信頼は作れない。
  3. 情愛だけでは、便利なだけの人になってしまう。

 

この3つを兼ね備えることが、自分の目指すキャリアへの地盤作りに他ならないと思います。

 

そして、それを踏まえた上で、自分はどんな道を目指したいのか?30代の自分にもう一度、問いかけたいと思います。