上司に対して本音が言えない部下の心理について考えた。
「自分で抱え込んでしまうタイプ」
キャパシティ以上の仕事を抱えているにも関わらず、弱音を吐けず、自分だけが辛い思いをしてしまう。数十名の部下をマネジメントしていると、そんなタイプの部下も少なからずいます。
上司である僕に相談を持ちかけてくれれば、辛い状況になる前に解決方法を模索することもできます。しかし、抱え込みがちな多くの部下は、それを上司にも簡単にオープンにしてくれないのが、難しいところだと思っています。
今回の記事でフォーカスしたいEさんという部下を持った時の経験から、そのことについて触れていきたいと思います。
Eさんが抱え込んでしまったこと
Eさんはとてもお人よしな20代後半の女性です。
彼女の事務担当をしています。
業務経験は長いので、事務作業に関しては幅広く柔軟にできます。
しかし、それをいいことに、多くの営業担当が締め切りギリギリの書類や、いい加減な内容で、彼女に依頼をするという行動が横行していました。
それでも、有能な彼女は文句を言わず、通常の2~3倍の仕事量をこなしていました。
第三者的に見ても、淡々と仕事をこなしている様子で、膨大な仕事を抱えている不安や焦りを感じることはなく、頑張って仕事をこなしているという印象でした。
ところが、さすがの彼女も日を追うごとに増える仕事に残業がかさみ、ある日、体調を崩してしまったのです。
彼女が数日会社に来なかったことで、職場は混乱に陥りました。
いつも何とかEさんが処理していた締め切りギリギリの大量の書類を前に、その処理方法を十分に理解できていない周囲のメンバーは、1日中の処理に追われることになったのです。
そこで、初めてEさんが抱えていた業務量や、メンバーの日々の怠慢が露見する事態となったのです。
どう考えても、チーム全体のEさんへの依存度は高く、意識改善が必要なレベルだと感じました。
なぜEさん抱えてしまうのか?
Eさんが仕事を抱えすぎてしまった原因の一つとして、人間関係構築の為に、良かれと思った行動が副作用を起こしてしまったと言えるかもしれません。
・頼りにされたい
・良く思われたい
・嫌われたくない
このような想いによる「No」と言わない働き方で、自分のスキル向上や一定の評価を得ていた部分は素晴らしいと思います。
しかし、一方で
・なんでもやってくれる人
・怒らない人
・助けてくれる人
という都合の良い解釈を周囲からされてしまっていた側面も否定はできません。
そして、そのようなに解釈はされることは、当然Eさんが望んでいたものではありませんが、それに対する適切な対処方法を持っていなかったことが、心のモヤモヤひいては、体調不良までつながってしまったのではないか?と思っています。
上司としてできること
上司としてすべきは、大きく2つだと考えます。
それは、「業務実態の把握」、「責任範囲を明確にする」ということです。
「業務実態の把握」とは、それぞれの部下がどのくらいの仕事を持っているのか?ということを知ることです。
Eさんのように、多くの仕事を抱えてしまっている部下もいれば、逆に仕事を持て余している部下も存在します。
部下の仕事の棚卸することで、その実態を確認することが必要だと感じました。
「責任範囲を明確にする」とは、整理した1つ1つの仕事を分解して、どこまでを各自の部下が責任を持って行うべきか?を定めるということです。
仕事とは、決して一人で完結するものではありません。
川くだりのように川上から川下へ徐々に流れていくものです。
ボートに乗って川くだりをする自分がどのタイミングで、次の人にオールをパスするか?というのは、チームプレーの中で非常に重要です。
全員が余力を残さず、かつ疲弊しない程度の距離でオールを漕いでいくのが、理想だと思っています。
まとめ
『GIVE&TAKE』という有名の書籍の中でも、「与える人」こそ成功する時代」という表現が使われています。
しかし、今回のEさんのようにギバーに当たる人が盲目的に奉仕することで、テイカーに当たる人に搾取されてしまう構造は、また少し違うと感じる部分があります。
その為にも、与える人が最終的に評価される。そんな仕組みをつくっていきたいと思います。