大人になって改めて感じるジグソーパズルの醍醐味と効果について。
「小学生以来のジグソーパズル」
先日、軽い風邪を引いてしまいました。
症状はそこまで重いものではありませんでしたが、身体全体にだるさがあり、貴重な休日2日間を休養に充てなければいけませんでした。
せっかく時間が出来たので、これまで溜まっていた本や見たかった映画でも見ようと、意気込んでいたのですが、身体のだるさで驚くほどに集中できず、本を読んでも文字が頭に入ってこず、テレビ画面を見てもすぐに目が疲れてしまいました。
しかし、睡眠も十分すぎるほどとっていたので、眠気も一切やってきません。
「どうしたものか?」
と悩んでいた時、唐突に、過去に会社のイベントでもらったジグソーパズルが押し入れの中に眠っていることを思い出しました。
まだ、一度も封を開けていない新品でほこりを被っていました。
絵柄は、定番のラッセンの海の風景が描かれたもので、ピース数も1000ピースというちょうど良い難易度のものでした。
ジグソーパズルなど、小学生以来なので少し童心にかえったような気持ちになりました。
そして、実際に取り組んでみると、所詮子どもの遊びと思っていましたが、意外と難しい。しかし、それも心地よい難しさで、身体のだるさも忘れて数時間ものめり込んでしまいました。
結局、30代の大の大人が丸2二日間で約10時間ほどかけて、ようやく完成に漕ぎつきました。完成した時の達成感は何とも言えないものがあり、ちょっとした充実感を感じてしまいました。
しかし、何よりも感じたことは、製作の過程で様々なビジネスにも通じる気づきを得ることができたことです。
今回の記事では、予期せずそこで得た学びについてまとめてみたいと思います。
ジグソーパズルから学んだビジネスとの共通点
試行回数の積み重ね
パズルはまさに試行回数の積み重ねの遊びだと思いました。
特に、ラッセンのパズルの絵柄では、すべて同色だけのピースが全体の20~30%程あります。つまり、ピースのカタチだけで判断しなければいけないわけですが、これは目視しただけではほとんど違いが判りません。
なので、まずは同色のピースをひたすら集めるところから始まり、お互いがピタリとはまるものが見つかるまで、様々な組み合わせを試行し続けるという作業を繰り返しです。
これはまさに、顧客をターゲティングして、その顧客のニーズにハマる施策を打ち込んでいくというマーケティングの手法を連想させられました。
パズルとビジネスでも共通して大切だと思ったことは、同じ色をしたピースをただ眺めているだけでは一向に組み合わせが見つからないのと同様に、ビジネスでもデータを分析して「同じような属性の顧客」と一括りにするのではなく、実際に顧客とリアルに接点を持つことの重要性を感じました。
視座の調整
魚や波模様などの絵柄が入った部分のフェーズで感じたことが、視座の調整です。
近くを精緻に見る虫の目と、全体を俯瞰してみる鷹の目の両方のバランスが大切だと感じました。
作業としては、手に取ったピースが全体のどのエリアにあたるのか?を判断し、ピース同士の組み合わせはさておき、近しいものを集めていく。
その後、そのエリアに集めたものを一つ一つ組み合わせていくという流れで効率的に作ることができました。
これもビジネスに通じる考え方で、まずは全体感を捉えた上で、細部の作業をしていく。全体最適の中で、細部に捉われすぎてはいけないという教訓を学び取ることができました。
弾み車の概念を実感
ビジネスの名著『ビジョナリーカンパニー②』の中で、著者であるジェームズ・C・コリンズが企業が飛躍するための研究結果として「弾み車」という表現を用いています。
その表現を以下で引用します。
「巨大で重い弾み車を思い浮かべてみよう。金属製の巨大な輪であり、水平に取り付けられていて中心には軸がある。直径は10メートル程、厚さは60センチ程、重さは2トン程ある。この弾み車をできるだけ速く、できるだけ長期間に渡って回し続けるのが自分の仕事だと考えてみる。」
「必死になって押すと、弾み車が何センチか動く。動いているのかどうか、分からない程、ゆっくりした回転だ。それでも押し続けると、2時間か3時間経って、ようやく弾み車が一回転する。」
「同じ方向に押し続ける。3回転、4回転、5回転、6回転。徐々に回転速度が速くなって行く。11回転、12回転、どんどん速くなる。20回転、30回転、50回転、100回転。」
「そしてどこかで突破段階に入る。勢いが勢いを呼ぶようになり、回転がどんどん速くなる。弾み車の重さが逆に有利になる。1回転目より強い力で押している訳ではないのに、速さがどんどん増して行く。」
『ビジョナリーカンパニー②』
これは、ジグソーパズルでも同じことが言えると思っていて、初めの1ピース同士の組み合わせを見つけるのは、大変な労力がかかりますが、その組み合わせが出来上がっていくと同時に、あるタイミングからはピースのハマる場所が面白いように見つかっていきます。
ビジネスにおける「弾み車」は、そんな簡単なものではありませんが、『ビジョナリーカンパニー②』で語られるその流れを疑似体験できたことは、大きな学びでした。
まとめ
今回、予期せずジグソーパズルに没頭してみて、一見無駄に思えるような遊びの中にも、ビジネスにも応用可能なエッセンスが散りばめられているということを実感しました。
先入観や思い込みで自分の行動を制限することなく、無邪気な感情でいろいろなものに触れてみるというのは、意外と面白い発見があるなと思いました。
そして同時に、どんなことでも「コンテンツ化させる」という意識を持つことで、何でもないようなことが多方面に活きてくるような気もします。