部下から頼りないと思われてしまう上司の3つの特徴
明らかにチームメンバーの不満が高まっている。
そんな重たい雰囲気を感じたのは、僕とは別の担当を持っている先輩マネージャーであるMさんのチームからだった。
そのM先輩は、とにかく物腰が柔らかく・いい人だ。
厳しい指示もしないし、成果が出ていなくてもうるさいことを言わない。
恐らくそれは、彼自身が、部下から良く思われたい、部下に負担をかけてはいけないという気持ちを強く持っており、そこからくる行動なのだと感じる。
しかし、現実はそんな簡単にはいかないようだ。
部下からは慕われるどころか、頼りない、働きづらい、とにかく不満の声が上がっており、チームの雰囲気が非常に悪くなっていることを第三者的な目線からも感じる。
なぜ、そのようなことになってしまっているのか?
もし、僕自身がM先輩の部下の立場だったら…という視点で考えてみた。
決めてくれない
Mさんはチーム内で何かしらの問題が発生すると、メンバー一人ひとりの声を丁寧に聞いて回るようだ。それ自体は、非常に素晴らしいことだ。
しかし、ビジネスの場面では、それぞれのメンバーによって主張が全く異なる中で、聞くだけでは解決しないことも多い。
問題を解決する為には、解決に向けたアクションを取らなくてはいけないのだ。
そして、アクションをとるということは、自分の信念を持ち、一部の主張は否定しなければいけない。
この考え方がMさんには圧倒的に欠けているように感じる。
誰の意見も否定できないのだ。全員の意見を肯定してしまう結果、マネージャー自身の主張を持てず、決められない。つまり、見え方によっては、メンバー全員から話を聞いてくれたはいいものの、そのまま問題が放置されてしまっていると捉えられかねないのだ。
指示に自分の意思がない
自分では決められないMさんが唯一部下に強気で指示をすることがある。
会社から具体的な指示があった場合だ。
ただ、これはサラリーマンとしては、ある種当然のことだ。
しかし、僕はこのような場面でも大切なことがあると思っている。
それは、会社の指示であってもいかに「自分の言葉」として伝えるか。ということだ。
その大前提は、部下に指示を伝える時に、「会社からの指示だから」ではなく、「自分自身がチームの為に大切だと思うから」というスタンスを持たなくてはいけないということだ。
その為には、会社からの指示をかみ砕いて、どう伝えれば指示された背景・その目的や理由を、部下が腹おちして、前向き取り組めるのか。ということを考える必要がある。
Mさんの場合は、この「自分の言葉にする」というプロセスが欠けているように思う。
なので、部下から「なぜその仕事をやらなくてはいけないのか?」と問われるような場面があっても、「会社からの指示なんだから仕方ないだろ。頼むからやってくれよ。」と精神論に陥りがちなのである。
そのような対応を繰り返してしまうと、やはり「決められない人」の印象はさらに強まってしまうのは致し方ないように思う。
成果管理をしてくれない
Mさんはいつもパンパンに仕事を抱えている印象がある。
それは、部下の話をしっかり聞いてあげる面倒見の良さもありながら、部下に降ろすべき仕事まで自分で預かってしまっていることにも原因があると思う。
マネージャーとして、プレイヤーとしての役割を果たすことも大切だが、その量があまりに増えすぎると、自分にことだけで精一杯になってしまう。
それによる最も大きな弊害が、部下の成果管理ができないということだ。
監督者として自分の手を休めてでも、部下を見守ることで、本人たちが頑張っている。
もしくは、頑張っていないという状況を知ることができる。
つまり、部下を正しく評価するということにつながる重要なことだ。
声の大きい人だけを評価してしまうようなマネージャーは信頼されない。
部下に対して正しい評価をできる人こそ優秀なマネージャーだと思う。
まとめ
今回の内容は、決してMさんだけに限った話ではない。
自分自身に対しての戒めも含めて感じていることを書いた。
やはり、一番難しいのは、自分の中にブレない一貫した考えを持つこと、つまり、「信念を持つ」ということだ。
正直、人ひとりの考えなんて、社会環境や人間関係の変化によってどうにでも変わってしまうものだ。という風に軽く考えていた。そして、そのような信念を持つこと自体に恥ずかしさを感じて逃げてきた時期もあった。
しかし、実際にマネジメントという職種に関わって感じたことは、どれだけ間違っていたとしても、自分が信念を持って言葉を発さなければ、人は動かせない。ということだ。
また、信念をもつことで、仮にそれが間違っていた場合においては、反省の度合いは非常に大きい。自分自身の成長という意味においても、強い思いを持つことの大切さを改めて実感している。