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「ルーヴル美術館展 愛を描く」に行って感じた社会的価値観の変容

「ルーヴル美術館展 愛を描く」に行って感じた社会的価値観の変容

 

3月1日から国立美術館で開催されているルーヴル美術館展に足を運んだ。

この展示では、「愛」をテーマに、ギリシャ神話をテーマにしたものから19世紀までのヨーロッパの様々な時代の絵画が集められている。

 

このテーマに対して、トレンディドラマで語られるようないわゆる「恋愛的」なものを想像してしまい、そこにやや抵抗感を持ってはいたのだが、実際の展示を見て、それが全くの勘違いだったことに気づいた。

 

もちろん、歴史的に語られてきた「愛」という文脈という中に、現代に生きる僕らがすぐに想起するような「恋愛」感というのは、もちろん過去にも存在する一方で、それはとても部分的かつ断片的なものに過ぎないということ。そして、なぜそのような価値観がこの時代に中心的地位を占めるようになってきたのかも、少しだけ理解できたような気がした。

 

まず、展示の冒頭で登場するギリシャ、ローマ神話で扱われる「愛」というのは、極めて一方通行であるという点である。

 

男性は、愛する女性を暴力によって略奪する。また、女性は愛する男性を魔術によって惑わし手に入れる。このような描写が非常に印象的であった。

 

続いて、キリスト教世界における「愛」というのは、男女ではなく、親子にフォーカスにしたものであり、この背景には、あくまで絵画が布教の一手段であることも想起させる。

 

さらに時代が進み、フランス革命~産業革命期に入ると、より官能的な描写が増えてくるのと同時に純愛のような牧歌的な描写も増えてくる。この二律背反かつ、過去の絵画の世界観ともまるで違う挙動というのは、まさに、資本主義や民主主義の勃興という社会変革により、多様な価値観が噴出してきたことをとても強く感じることができた。

 

この社会的な価値観の多様性というのは、さらに加速的に現代にもつながっているものだと思う。