「マティス展」に行って感じたこと
アンリ・マティス19世紀後半から20世紀半ばを生きたフランスのアーティストだ。
今回の展示では、「フォービスム(野獣派)」と呼ばれる原色を用いた荒々しい表現の作品群を見ることができた。
そこで訴えかけられたのは、「物事の本質とは何か?」という問いだ。
正直、この問いに答えはないと思うし、マティス自身も生涯をかけてそれを追い求めているように感じた。
また、自分自身でも考えても、その時々の自分の境遇やコンディションなど、様々な要因で、同じものが違って見えたりすることがある。
マティスの作品は、それでもその時々にその背後にあるものから感覚として沸きあがるものを「色」という表現でキャンバスに投影しているのだと感じた。
今回展示の目玉である<豪奢、静寂、逸楽>では、海辺で語らう人々が、幻想的な光に満ちた理想郷のような表現がされている。
一方で、世界大戦中に描かれた<金魚鉢のある室内>では、室内で鉢にいれられた金魚が構図の中心に置かれ、全体的に陰鬱とした表現がされている。
このような表現も、当時の既存と芸術との差別化や、写真などの技術が台頭する中で、絵画しか表現できないことの追求の先に生まれたものだとも感じた。