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【スタエフ】<stand.fm>の音声配信サービスをマーケティングトレースしてみた。

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【スタエフ】<stand.fm>の音声配信サービスをマーケティングトレースしてみた。

「音声配信」

 

ここ数年、音声配信のプラットフォームが盛り上がりを見せています。

僕自身も1日の活動時間の1時間程度は音声配信を触れています。

もはや、TVの視聴時間より長いと言っても過言ではありません。

 

音声を聞いている時間は、通勤中がメインになりますが、その最大のメリットは「ながら聴き」ができるという点だと思っています。

 

中でも、個人的に注目している音声メディアが<stand.fm>です。

 

自身のユーザー体験も踏まえ、今回の記事では音声配信業界について網羅的にまとめつつ<stand.fm>の他の音声メディアとの戦略の違いやその成功要因について分析してみました。

 

<stand.fm>の基本情報

名称

株式会社stand.fm

 

代表取締役 共同代表

中川 綾太郎

河合 真吾

 

設立日

2020年4月1日

 

資本金

5億円 (資本準備金含む)

 

サービス内容

誰でもかんたんに配信できる、音声配信プラットホーム「stand.fm」の運営・開発

https://stand.fm/

<stand.fm>のマーケティングトレース

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理念/ビジョン

「音声配信を気軽にもっと楽しく」

より多くの人に音声配信の裾野を広げることを目指しています。

この想いは、以下のようなアプリの特性からも感じ取ることができます。

  • 誰でもパーソナリティになれる。
  • シンプルで感覚的な操作性。
  • 番組の順位づけなどがされない公平性。

フレームワーク分析

①外部環境分析(PEST分析)

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<stand.fm>を取り巻く社会環境を考察していきます。

 

経済的な部分

「世界的な音声配信市場規模拡大」

アメリカにおいては、2016年の音声広告による広告収入は11億ドルですが、2017年には39%増の18億ドルに増加しています。2018年はさらに23%増加し年間約22億ドルに、2019年は21%増で27億ドルに成長。引き続き音声広告への広告出稿は増えていくと考えられます。

 

一方日本においても、日本国内でのデジタル音声広告の市場規模は2020年時点で前年比229%、16億円規模になると予測されています。さらに2022年頃より急速な成長を経て、2025年には420億円規模になると見込まれています。海外に続き、日本でもデジタル音声広告市場が伸びていくことが期待できます。

https://otonal.co.jp/blog/3392

 

その経済的根拠は、音声配信の収益源となる音声広告は、現在TVやYouTubeにおける動画広告と比較して、以下の3つのポイントで優れているという調査データが出ていることにあります。

 

  1. 認知拡大効果が期待できる
  2. 不快に感じにくい≒スキップされにくい
  3. ユーザー属性によるターゲティングがしやすい

 

社会的な部分

「可処分時間の奪い合い」

1日に人に与えられる24時間という時間は変わらない中で、消費可能なサービスやコンテンツは無限とも言える選択肢が存在しています。

 

つまり、消費者側からすると、「限られた可処分時間の中で、自分にとって最良の選択をするか?」というシビアな消費目線が生まれています。

 

また、提供者側からすると「いかに消費者が自由に使うことのできる可処分時間に自分たちのサービスやコンテンツを使ってもらえるか?」という競争が激化しています。

 

そんな社会背景の中で、「ながら」がしやすい音声コンテンツというのは、消費者にとってはコストパフォーマンスが高く、提供者側にとっても市場が成熟しきっていないブルーオーシャンだと言えます。

 

技術的な部分

デジタルコンテンツの飽和状態と動画疲れ。

 

今、現在もっとも勢いがあるのはyoutubeやnetflixに代表される動画コンテンツであることは間違いありません。

 

動画の利点は、そのわかりやすさや没入感だと思います。

そして、通信技術の発達で、基本的にいつどこでも視聴が可能な環境が整っています。

 

しかし、配給される量があまりに多すぎて、消費する側が疲れてしまってきている状況も同時に存在しています。

 

レストランのバイキングの後半戦のような状態です。

もう十分お腹は満ち足りているのに、目の前には新しいご馳走がどんどん出てくるという状態に似ているかもしれません。

 

そんな時は、ちょっと食べるのを休憩して、歓談をしたり、散歩をしたり、別のことをしたい気分になると思います。

 

ここで言う、気分を変える別の何かとしての選択肢の1つとして「音声コンテンツ」が注目を集めている側面があると言えます。

 

②競合の定義(5Forces分析)

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直接競合

音声配信と言われるカテゴリの中でも、大きく3つの内容に分けることができます。

パーソナリティがラジオのような配信を行う形。

  • Podcast
  • Voicy
  • Himalaya
  • Clubhouse

 

音楽コンテンツの配信

  • Spotify
  • Youtube music

 

書籍をそのまま音声で配信する形。

  • Audible
  • Audiobook

 

価値競合

消費者の「可処分時間」を奪い合うという意味で定義できる競合です。

  • 動画(youtube、primevideo、netflix)
  • 書籍(マンガ、ビジネス書、雑誌)
  • ゲーム(スマホゲーム、TVゲーム)

 

③ターゲティング/重点顧客

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<stand.fm>が戦略的に狙っている顧客について考察していきます。

 

年齢/性別

30~40代の男女 

 

この年齢層を選んだ理由は、「可処分時間」がポイントです。

仕事でも責任のある立場になる年齢であり、家庭でも結婚や出産などのライフイベントを通じて他の世代よりも、自分の自由な時間の確保が最も難しい世代だと思うからです。

 

行動特性
  • 可処分時間が限られている
  • 様々なメディアから情報摂取している
  • 家庭と職場だけの人間関係が中心

 

嗜好性
  • 興味関心の幅が広い
  • 受信だけでなく発信を望む
  • 生活圏内以外のつながりを求める

 

④ポジショニング

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音声配信業界その中でもラジオ形式のコンテンツ内で<stand.fm>が、他のメディアに対してどのような優位性を確保しているか。について「発信ハードル」と「双方向性」という2つの軸でポジションマップをまとめました。

 

「発信ハードル」

<stand.fm>は、「音声配信を気軽にもっと楽しく」というビジョンの通り、参加ハードルは非常に低く、誰でも簡単に音声配信をスタートすることができます。

 

逆にハードルが高いメディアとしては、

  • Voicy…ある程度の発信実績や面接を通した審査が必要。
  • Clubhouse…招待制で、1人数名までの招待権限が与えられています。

 

「双方向性」

<stand.fm>は、複数人でのライブ配信機能や配信者にメッセージやリクエストを送ることができるレター機能など、様々な双方向型の仕組みが整っています。

 

また、双方向型という点では、最近注目を集めている<Clubhouse>が、受信者と発信者の境目が曖昧で最も密な相互コミュニケーションが可能と言えますが、「招待制」というハードルの影響で、まだまだ利用者の分母は小さく、クローズドのコミュニティという印象があります。

 

一方、著名人によるハイクオリティな放送を行うVoicyや、講義に近いような内容のHimalaya、視聴者側のリアクションの仕組みがないPodcastは、「一方通行型」に分類することができると思います。

 

⑤マーケティングミックス

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ここまでの<stand.fm>の特徴をマーティングの4Pでまとめます。

 

  1. Product…間口の開かれた音声配信プラットフォーム
  2. Price…無料(収益化も可能)
  3. Place…スキマ時間(可処分時間)
  4. Promotion…TVCM、SNS

 

⑥<stand.fm>成功要因

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他の音声メディアと比較して、広い裾野をターゲットとした仕組みづくりが、支持を得ている要因であると分析します。

 

具体的には…

参入のハードルが低く、誰でも気軽に楽しめる。また、ユーザー格差が生じない平等性が担保されている。(フォロワー数の非表示etc…)

 

複数人でのライブ配信やレターなどの双方向でつながりを持つ仕組みが整っている。

 

⑦もし自分がCMOだったら…

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ユーザー間のつながりを創出することが大切だと思います。

 

相手の顔や表情が見えないことは、音声配信の強みであり、弱みでもあると思います。

聞き手が想像する話し手の姿と、実際の姿は一致しないことが多いと思います。

だからこそ、リアルイベントなどを通じて普段の配信ではわからない部分を知れるというのは、音声メディアにおける「ゆるいつながり」を、「つよいつながり」に変えてくるのではないかと感じています。

 

まとめ

今後の成長に期待感が高まる「音声配信業界」において、そのコンテンツをより身近なものにしてくれているのが、<stand.fm>だと改めて感じます。

 

これからのユーザーの音声に対する関心や、市場の動向からも目が離せません。