エース販売員と普通の販売員の能力はどこで差が出るのか?
ファッション系の小売業でマネジメントをしていて感じることは、販売という仕事における実力やスキルというのは、人によって大きく異なるということを日々感じます。
もちろん、他の仕事が人によって差が出ないのか?というとそんなことはないと思います。
しかし、工場のラインや会計・経理などのある程度マニュアル化・均一化された仕事と比べて圧倒的に個人の能力差が出ると思っています。
どのくらい差が出るかというと、例えば、10名チームの売場で100の売上があった時に、80%の売上が1名のエース販売員がつくっていて、残りの20%を9名でつくっているという状況です。
まさに、パレートの法則通りの結果です。
パレートの法則(パレートのほうそく)は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているとした。80:20の法則、ばらつきの法則とも呼ばれる。
引用:Wikipedia
しかし、僕はエース販売員が持つエッセンスを抽出することで、メンバー全員がエースプレイヤーになることも可能だと思っています。
では、エース販売員が持つ違いについて考えてみたいと思います。
エース販売員が持つ違いとは何か?
それは、間違いなくビジョンだと言えます。
僕の知っているメンバーの中で特に優秀だったAさんとBさんは、やはり二人とも販売という仕事を通して明確なビジョンを持っていました。
Aさんのビジョンは、「(接客で)誰よりもお客さんを喜ばせたい」という顧客の満足を徹底的に追及していました。
Bさんのビジョンは、「将来自分の店を持ちたい」という明確なキャリアイメージを持っている事でした。
このようなビジョンがあると、接客のプロセスは圧倒的に変わります。
- お客さんが、どんなことに関心があるのか?
- お客さんが、どんなことを望んでいるのか?
このようなことにとても敏感になり、かつ貪欲なアクションにつながるのです。
マネージャーとして必要なこと
販売のメンバー全員に、それぞれのビジョンを持ってもらうことです。
これは、あまりに当たり前かつ、きれいごとに聞こえると思います。
しかし、本質に重要なことだと思うのです。
やはり、多くのメンバーにとっては、仕事を自分事には出来ていません。
やらされ感を感じながら、日々の売上目標を達成することだけがゴールになっています。
「あなたにとって仕事とは?」というクサい質問に対して、全員がはっきりと言語化できる状態。それが僕にとっての理想です。
また、その為には、最終的に自分の仕事がどこに繋がっているのか?を認識させる。こともマメジメントとしての役割だと感じます。
まとめ
この記事を書きながら椅子職人の話を思い出しました。
椅子職人の話とは、ある時代のある椅子工房の話です。
元々は一人の職人が、イスの脚から背もたれまですべてを作っていました。その時、椅子に対する評価はすべて作った職人に跳ね返ってきます。良い評価が得られればうれしく、悪い評価があれば改善が必要です。そうして、PDCAサイクルが回り、椅子の品質は上がっていきます。
しかし、ある時から仕事が分業制になり責任も分散していきました。
すると、良い評価があっても、悪い評価があっても、職人たちは自分事に感じられなくなり、椅子の品質は低下していきました。
この話から考えたことは、「販売」という分離された仕事においても、限りなく見えにくい製造者(作り手)~消費者(使い手)までの全体感をできる限り捉えていく必要性を感じました。
それが、「自分はこうなりたい」というビジョンを持つきっかけとなり、ひいては仕事を自分事化することにもつながるのだと思います。