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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

【日高裕介】『組織の毒薬』から学ぶサイバーエージェントの組織コミュニケーション。

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【日高裕介】『組織の毒薬』から学ぶサイバーエージェントの組織コミュニケーション。

 

「21世紀を代表する会社になる」

 

これは、サーバーエージェントの企業ビジョンです。

 

サイバーエージェントと言えば…

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などのサービスを提供する日本を代表するIT企業の一つです。

 

1998年のインターネット黎明期に創業し、数々の同業企業が姿を消してきた中で、20年以上の時の試練に耐えながら、今なお成長を続けています。

 

成長の秘訣はどこにあるのか?

 

その答えの一つが語られるのが、サイバーエージェント副社長である日高裕介氏が著者である『組織の毒薬』という書籍です。

 

『組織の毒薬』は、もともと日高氏が社内向けのコラムとして部下に対して書いていたものが書籍化されています。

 

『組織の毒薬』で語られる大きなテーマは、「企業ビジョンの組織全体への浸透」です。

 

なぜ、それが大切なことなのか?そして、それをどのようなメッセージで伝えるのか?ということを、本書を参考にしながら紐解いていきたいと思います。

 

そして、そこから得られる知見は、サイバーエージェントに限らず、どの企業においても、ある一定のポジションにいれば、持つべきものだと感じています。

 

「企業ビジョンの浸透」がなぜ大切か?

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創業メンバーである日高氏は、サイバーエージェントが従業員数名の小さなITベンチャーとして産声を上げた時から、現在のような日本でも随一の数千名の従業員を抱えるIT企業になるまでの歴史をすべて知っています。

 

その変遷の中で、組織に大きくなるに伴い、売上や企業としての価値は上がるわけですが、一方で、アクションのスピード感が低下したり、思い切ったチャレンジができなくなるという大企業特有の問題が発生してくるのです。

 

その時に大切になってくるのが、「企業ビジョン」を共有することで、すべての従業員が同じ方向を向いて働いてもらうということです。

 

そして、その為には強いメッセージという「毒」を持って刺激することも大切になります。

 

日高氏は書籍の中でも、以下のように言及しています。

 

「組織が強くあり続けるためには、耳が痛い率直な言葉をぶつけあったり、追い込まれるほどの高い目標設定という「毒」のような緊張をもたらす刺激が必要だ、と実感しています。」

引用:『組織の毒薬』

 

つまり、書籍のタイトルにもなっている『組織の毒薬』とは、「企業ビジョンの組織全体への浸透」を促す為の日高氏自身の強烈なメッセージだと言えます。

 

「21世紀を代表する会社になる」を実現する為に…

 

上記のビジョン浸透に向けて、日高氏が残すメッセージの中で特に印象的だったものを3つ抜粋してご紹介したいと思います。

 

サイバーエージェントを「20人」の会社だと思え。

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このメッセージは、日高氏が新入社員に向けて毎年発しているものです。

 

大きな組織においてはその複雑さから生じる組織原理に思考や行動が引っ張られてしまう傾向があります。

 

そのような組織では、社内向けの資料作成に膨大な時間をかけてしまったり、自分が発言する機会もないような会議への参加に時間が割かれたりしてしまいます。

 

しかし、大切なことは自分の目で見て、自分の頭で考えることです。

 

自分を主体として捉えて働くには、あえて組織を小さく捉えることで「自分の役割」を明確に持つという意識が大切なのだと思います。

 

マネージャーの役割とは?

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日高氏は、マネージャーの役割を「任されたことをなんとかする人」だと定義しています。

 

この意味は、マネージャーに対し自身を単なる「管理者」ではなく、結果にコミットする「プレイヤー」であれというメッセージが隠れているのだと思います。

 

マネージャーには、「人」「モノ」「カネ」といったあらゆる組織リソースを使用する権限が付与されています。

 

それを、最大限活用することで、与えられたミッションをどんな手段を使ってでも達成するという意識を醸成する為のメッセージだと言えます。

 

グループ間で名刺交換をしない。

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組織が大きくなることの弊害は、部門間での摩擦です。

 

個々の部署が与えられた個別の目標を達成する為に、社内の部署間でお伺いを立てたり、また自分たちにだけ有利で組織全体にとって不利益な行為を行ったり…ということが発生します。

 

この原因は、明らかに仕事が「会社の為」ではなく「自分の為」のものになっていることだと思います。

 

それを解消する方法の一つとして、サイバーエージェントでは身内での名刺交換をしないというルールから、1つの同じビジョンに向けて共同作業をしているという意識を作っています。

 

まとめ

「組織や集団を動かす」ということは、非常に難易度の高いことです。

 

その中でも、部下にどこまでを任せるのか?という問題について、この本を通じて大きなヒントをもらったように思います。

 

それは、徹底的にビジョンと方向性を示した上で、託し、そしてフィードバックを行うというサイクルです。

 

そして、サイクルを回し続けることの意味は、一人一人の固有のビジョンを持たせることだと感じます。

 

サイバーエージェントでは、会社全体のビジョンが、「21世紀を代表する会社になる」ですが、それを社員一人一人に落とし込んだ時に、十人十色の「21世紀を代表する会社」のイメージがカタチづくられていると日高氏は語っています。

 

会社のビジョンと個人のやりがいや働きがいが重なる場所に、組織が大きく動くポイントがあるのだと学ぶことができました。