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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

自分を過小評価しすぎる部下の心の裏側

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キャリアアップを望む僕と望まない彼女。

毎年秋になると、マネージャーは部下の昇格試験に向けて受験メンバーの推薦をしなければいけません。

 

僕の担当する部署では、絶対的に「彼女しかいない」という人物を心に決めていました。

 

その女性はKさんという

過去の記事でも紹介した非常に優秀な部下です。

seiburo.hatenablog.com

 

 

受験をするかどうかは、本人の意思確認が必要なので、

早速Kさんを呼び出して、受験の話を切り出しました。

 

すると、Kからは僕の予想に反する答えが返ってきました。

 

それは、

 

「今は昇格試験の受験は考えてないし、

今後も受験するつもりはない。」

 

 

という答えでした。

 

なぜ彼女は、キャリアアップを望まないのか?

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彼女が昇格を望まない理由は、

次のようなものでした。

 

  • 自分はまだまだ昇格に値する能力がないと思っている。
  • 昇進して責任が大きくなることで、それを全うしきれる自信がない。
  • 今の仕事内容にやりがいを感じているから。

 

その答えを聞いて、正直僕はイマイチ腑に落ちませんでした。

 

なぜなら、彼女があまりに自分を過小評価しすぎているように感じたからです。

そして、<インポスター症候群>という言葉を思い出しました。

 

<インポスター症候群>とは、決して精神障害ではありませんが、

キャリアのある女性に多く共通点としてみられる心理学的な理論です。

 

以下、<インポスター症候群>に関する引用です。

 

勤勉さ

能力の高い人々は、自分が偽物であると人から思われたくないがために、熱心に働く傾向がある。その勤勉さの結果、人から賞賛を受けたり、成功につながるのだが、それがますます自分に対する偽物意識を高め、人から目立つことを恐れる。彼らは通常の人の2倍から3倍量働き、準備をし過ぎたり、詳細に至るまで考え詰めたりするので、燃え尽き症候群や睡眠不足に陥る。

 

偽物であるという感情

インポスター症候群にある人は、自分の上司や監督係の求める答えを察知し、それを伝えることが出来るため、自分が偽物であるという感情に拍車をかける。自分に能力があるという証拠や、自分がインポスター症候群に陥っていることを示されれば、自分に対する疑いはさらに強まる。

 

魅力の’誤用’という認識

能力のある女性は、直感的な理解と魅力をしばしば用い、上司から認められたり、上司の能力を補強することに使う。その結果、上司から賞賛を受けたとしても、それは自分の能力が評価されたのではないと考える。

 

実力を隠す傾向

偽物であると言う感情を促進させる理由に、症候群にある人たちは、自分の能力を隠そうとする傾向が考えられる。自分の能力や知性を見せたら人から嫌われると考え、自分は賢くなく、成功にも値しないと自分を信じ込ませている。

(引用:Wikipedia

 

これは僕の憶測ですが、

今Kさんが一緒に働いているメンバーとの関係性や繋がりを重視する中で、

必要以上に気を使ってしまっているのではないか?

という気がしたのです。

 

Kさんの過小評価を克服する為にどうすればよいか。

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Kさんと話をしたことで、

昇格試験を受ける、受けないという問題よりも、

彼女がこのまま過小評価の意識を持ったまま、

現場で働き続けることの方が問題だと感じました。

 

これまで、一切の欠点もなく完璧な部下だと思っていたKさんですが、

意外なところに弱みを持っていることがわかりました。

 

彼女が自分に自信をもつためには、

これ以上能力を高めることではなく、

「自己効力感」を高めてあげることが大切だと思いました。

 

「自己効力感」とは、

自分の可能性を自分に対して認知させる力のことを指します。

 

その為に、僕は3つのことが必要だと考えました。

 

代理体験をさせる。

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スポーツの世界でも見られるものですが、

例えば、陸上競技の100M走では誰もが不可能と思っていた「10秒以下」というタイムを誰か一人が出すことによって、「なんだ、やればできるのか。」と、それに追随する選手が次々現れるということがあります。

 

昇格試験でも同じだと思います。

僕の会社では女性社員は多いものの、

キャリアアップをする女性はとても少ないのが現状です。

 

僕の目論見では、Kさんがモデルケースになることで、

それに追随する人がどんどん現れるのを期待していました。

 

しかし、いま僕の課題としては、Kさんが追随者になれる為に、

モデルケースを探すことや、育成することだと感じています。

 

成功体験を積み重ねる。

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現在も業務において、Kさんは十分に活躍をしてくれています。

しかし、その中でマネージャーである僕や、周囲のメンバーにとっては、

「成功」と感じることも、彼女にとっては「当たり前」になってしまっているのかもしれません。

 

それは、とても素晴らしいことだと思いますが、

一方で、彼女の中では仕事に抑揚がない状態になっていた可能性があります。

 

少しずつ負荷のかかる業務を与えていくことで、

彼女にとって「挑戦」やそれに対する「成功」を感じさせることが必要だと感じました。

 

励まし続ける。

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彼女にモデルケースの追随をさせるにしても、

負荷のかかる業務を与えるにしても、

しっかりとモニタリングして励ましの言葉をかけ続けることが大事だと思います。

 

しっかりと自分の行動や努力が、

言葉を通じて評価されていると実感してもらうことは、

「自己効力感」を高める上で、大切なことだと思っています。

 

今後のKさんとの関わり方

 

「Kさんに昇格してほしい」

「Kさんは次のポジションにいくべきだ」

あくまでこれらは、僕の願望あり、主観でもあります。

 

本当の本当は、Kさんがどう思っているかは、

彼女にしかわかりません。

 

だからこそ、僕自身も自分の思い込みに固執することなく、

彼女のライフワークバランスなども考慮しながら、

彼女の自信を高めるためのモチベートをしていかなければいけないと思います。