【企業分析】「ミツモア」から学ぶ「つながり」で新たな価値を提供するビジネスモデル。
数十兆円。
これは、日本のローカルビジネスにおける推定市場規模です。
しかし、少子高齢化やコロナウィルスの影響も重なり、国内の地方ビジネスはポテンシャルを持っているにも関わらず、頭打ちの状況に陥っています。
そんな状況に対してITプラットフォームを活用しながら、活性化しようというビジョンを持っているのが、今回の記事で紹介する「ミツモア」です。
「ミツモア」とは?
カメラマンや税理士、弁理士、クリーニング業者など、主に対面型のサービスを提供する専門家と利用者をマッチングするサービス。190職種を超える専門家が同サービスに登録しており、2019年6月時点での累計依頼者数は7万人以上、登録事業者数は2万人弱。
「ミツモア」の経営フレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「収益モデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
ターゲット
「プロの探し方がわからない人」
一定のクオリティがありながら限られた予算の中で、成果物をつくりたい。
でも、どこの誰に頼んで良いかわからない。
という経験は誰にでもあると思います。
そんな悩みを持つ人に対してのソリューションが、「ミツモア」が提供するスキルシェアサービスです。
バリュー
「依頼者とプロをつなげる」
依頼する側がプロと出会えないように、商品やサービスをする側にとっても、依頼主へのアプローチ方法には制限と制約が多く、とくに中小企業や個人事業主ほど様々な非効率が発生しています。
その点に関して、「ミツモア」のCEOである石川氏はこのように語ります。
「創業の原体験となったのはコンサル時代。専門知識をもつ中小企業や個人事業主が、全体の6〜7割の時間を営業のために使っていることをその時に知った。その問題に対するソリューションが絶対に必要だと思ったのが創業のきっかけです」
ケイパビリティ
1.「対面型のサービス」
「ミツモア」では、類似サービスとして挙げられる「ココナラ」や「クラウドワークス」のように、すべてのやりとりのオンラインで完結させるクラウドソーシング型ではなく、オフラインでサービスを受ける対面型サービスが特徴です。
カメラマンによる撮影や、クリーニングなどリアルな場でしか提供できないサービスに重点を置いています。
そして、サービス提供者側の顔が見えることで、関係性が構築されリピートにつながるというケースもあります。
2.「サービス提供者の専門性と価格の差別化」
専門性が高く、従来であればマッチングの難易度が高い業種と個人を結び付けることを可能にしている点で競合との差別化をしていると言えます。
つまり個人同士のCtoCではなく、個人対企業(プロ)のCtoBの形態です。
また、利用者は見積もりも同時に5件まで受けることができ、普通では見えづらい専門領域の相場感を知ることができます。
収益モデル
「マッチング手数料」
「ミツモア」がマネタイズにおいて他の競合サービスと異なる点がいくつかあります。
- 登録無料
- 成功報酬の手数料なし
- 見積もりの提案1件あたりに対する課金
このようなマネタイズ・モデルです。
つまり、サービス利用者側は「ミツモア」に対して課金することができる。
というシステムなのです。
バリューである「つながり」がかなり重視された仕組みであると言えます。
まとめ
コロナウィルスによる生活様式の変化によって、これまで以上にサービス提供者側が持つバリューが「埋もれてしまう」状況が顕在化していると感じています。
そして、この1年だけでも既に多く失われてしまったものもあると思います。
今回紹介したようなマッチングプラットフォームの活用は、社会全体の生産性を高めていく意味で、より一層大切になってくると思います。