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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

「Anyca」のビジネスモデルから個人間カーシェアの今後を考察する。

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「Anyca」のビジネスモデルから個人間カーシェアの今後を考察する。

 

「若者の車離れ」

 

こんなことが言われてずいぶん経ちましたが、個人的には車好きが減ったのではなく、車が必要に迫られる場面が減っただけと思っています。

 

様々な余暇の過ごし方の選択肢が増える中で、車の稼働率は年間3%と言われるように、その維持費に対してのコストパフォーマンスが低さから、所有することにこだわらないという人も増えています。

 

つまり、日々の生活の中で、本当に必要な場面だけ車を利用できれば十分という考え方です。

 

このような需要持つ人々は増え続けています。

 

そのセグメントに向けて、「個人間カーシェア」というビジネスモデルで、従来のレンタカーよりも気軽に、そして幅広い選択肢を持って提案を行うのが、今回の記事でご紹介する「Anyca」です。

「Anyca」とは

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DeNAとSOMPOホールディングスの合弁会社である「DeNA SOMPO Mobility」が運営する“乗ってみたい”に出会えるカーシェアアプリ「Anyca(エニカ)」は、クルマを使わない間にシェアしたいオーナーと、必要な時に好みのクルマを使いたいドライバーをマッチングする、新しいサービスです。 国内外の乗用車をはじめスポーツカーや旧車のほか、痛車と呼ばれる個性的なものまで9,000台(750車種)以上が登録されており、気分やシチュエーションに合わせた選択が可能です。登録会員数は30万人以上で、2015年の9月のサービス開始から延べ17万日以上のカーシェアが行われています。

「Anyca」のビジネスフレームワーク分析

  1. 「ターゲット」⇒顧客
  2. 「バリュー」⇒提供価値
  3. 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
  4. 「ビジネスモデル」⇒プロフィット

この4つの切り口から分析を行っていきます。

ターゲット

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「Anyca」はCtoCのビジネスモデルの為、車の貸し手と借り手のそれぞれのユーザーがターゲットです。

 

貸し手

  • 車をシェアしたい人
  • 車を持っていても使っていない人

 

借り手

  • 車を持っていない人(移動手段)
  • 車を持ってるが、乗ってみたい車がある人(趣味)

 

バリュー

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「安心感」

 

個人間カーシェアリングにおけるもっとも大きなリスクは、ユーザー間のトラブルです。

事故や破損、時間の延滞など、多数のトラブルが想定され、それは貸し手にとって大きなストレスになります。

 

「Anyca」を運営する「DeNA SOMPO Mobility」は、親会社に保険会社であるSOMPOホールディングスというバックボーンがある為、保険サービスが充実しています。

 

万が一の場合に対する「安心感」という価値が、「Anyca」が個人間カーシェア業界の中で、最も登録者数を増やしている理由の一つだと言えます。

 

ケイパビリティ

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ラインナップ

一般的なBtoCのレンタカーやカーシェアでは、あまりお目にかかれない高級外車を中心としたラインナップが充実していることです。

 

シェアリングランキング上位を見ても、ポルシェのカイエンやBMWの3シリーズ、ベンツのEクラス、そしてテスラなどがランクインしています。

 

価格

上記のような憧れの高級車であっても、1万円前後という低価格で借りることができるのも魅力の一つです。

 

従来のレンタカービジネスに必要であった、貸出拠点、従業員、レンタカー、駐車場、メンテナンスなどのビジネスサイドの経費を個人にゆだねることで、消費者に還元していると言えます。

 

評価制度

ユーザーの相互評価によって、信頼度合いが「見える化」されています。

良質なユーザーほど信頼が高まり、利用者も増えていくという仕組みが確立されています。

 

また、サービスを使い慣れた人ほど、同じユーザーからリピートで借りているというデータもあります。このようなオンラインサービスにおいても、相互に「顔が見えている」というリアルな関係性の強さの影響力は大きいことがわかります。

 

ビジネスモデル

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「Anyca」の主なマネタイズは、マッチング手数料です。

 

シェア料金から10%の手数料を取る仕組みになっています。

 

また、新たな手法として「0円マイカー」というサービスもスタートしています。

 

これは、レンタカーとBtoCカーシェア、さらにCtoCカーシェアを融合させたような事業モデルで、「Anyca」が個人に対してクルマを貸し出す代わりに、個人は自宅の駐車場スペースを提供し、この個人がAnycaの貸し手となる仕組みです。

 

クルマにはタイムズのBtoCカーシェアなどで採用されているカードリーダーを備えており、貸し手と借り手が対面しなくてもクルマの受け取りが可能です。世界でも珍しい、CtoCカーシェア応用編と言えます。

 

考察

個人的な感覚ですが、まだまだ個人間カーシェアリングは黎明期だと感じています。

 

自分は借りる側よりも貸す側に興味がるのですが、保険などが整備はされているものの、生活空間の一部でもある車を顔の見えない他人に貸し出すということに抵抗感をぬぐえないからです。

 

しかし、趣味としての車をシェア目的も含めて持つということであれば、話は変わります。

 

今後、生活手段としての車を持つ人が減っていく中で、趣味として車をサイドビジネスに活用するという形は増えてくると思います。

 

そのような車との付き合い方ができるとよいと思います。