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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

カリスマ編集者はなぜベストセラー作家にはなれないのか?

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カリスマ編集者はなぜベストセラー作家にはなれないのか?

 

タイトルと同様のことは様々なところで議論されていると思います。

 

  • 経営学の教授はなぜ経営者にはなれないのか?
  • 映画評論家はなぜ映画の監督にはなれないのか?
  • 政治評論家はなぜ政治家になれないのか?

 

1つの分野の知識において精通しているにも関わらず、決して実行者にはならない。

いわゆる「専門家」という人に、そのような矛盾を感じたことはありませんか?

 

普通の考え方をすれば、「専門家」はその分野におけるありとあらゆる「最高」や「理想」を知ってるのだから、彼らが実行者になることで、世の中があっと驚くものが生み出せるのではないか?そんな風に思ってしまいます。

 

僕も「専門家」と言われる人に対して長年このような考えを持っていたのですが、ではなぜ彼らは実際の実行者にならないのか?という矛盾に疑問を持っていました。

 

しかし、先日たまたま読んだ『面白いとは何か?面白く生きるには?』1冊の本が非常に興味深く、その矛盾に対する大きなヒントを与えてくれました。

 

 

そもそも実行者に求められるものは何なのか?

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  • 作家
  • 監督
  • クリエイター

これらの実行者とは、一言でいえば「新しいものを生み出す人」です。

 

人が「面白い」「興味深い」と感じるものは、いつの時代やどのジャンルにおいても、これまでに見たことがない新しいものです。

 

世の中の99%のコンテンツは、既存のものの組み合わせで出来ているという言葉がありますが、まさに「新しいものを生み出す」とは、これまでに存在しなかった組み合わせを発見することと同義であるとも言えます。

 

専門家と実行者の最大の違い

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それは「思考法の違い」であると言えます。

 

専門家の思考法とは、世の中の様々な事例を収集することで、そこから何が言えるのか?という抽象化の能力が非常に優れていると言えます。

 

つまり、思考の順番として<具体→抽象化>という流れになるのです。

 

例えば…

  • ヒット映画の特徴は何か?
  • そこから読み取れる大衆心理はどのようなものか?

このような思考プロセスは、専門家特有のものだと思います。

 

では、実行者の思考プロセスとはどうなのでしょうか?

 

それは、抽象的でアバウトな概念を徹底的に具体化していくというものです。

 

つまり、思考の順番として<抽象⇒具体化>という流れになるのです。

 

例えば…

  • 世の中で潜在的に求められていることが「人とのつながり」だったとします。
  • それを表現する為の手段は、どんな組み合わせがあるのか?

このような具体化に思考の比重が置かれていると言えます。

 

 結論

新しいものが生み出されるプロセスは、具体と抽象化の行き来であることがわかります。

 

一見、何かを生み出すのは、すべて実行者側の役割のように思えますが、結論としては、専門家の抽象化があった上で、それを実行者が具体化していくという2者は両輪の役割を果たしていると言えます。

 

つまり、専門家と実行者は切っても切り離せない関係性ゆえに、両者の立場が存在するのだと思います。

 

そして、そこには人には比重を置くべき得意な思考プロセスが存在しているからだということも理解できます。

 

「カリスマ編集者はなぜベストセラー作家にはなれないのか?」

という本記事のタイトルで捉えるのではあれば、あくまでそれは役割の問題であり、どちらもベストセラーを生み出す上で欠かせない存在だということです。

 

一方で、近年ビジネス本などでも語られる一人の役割として<具体と抽象化の行き来>の重要性などは、非常にレベルの高いことであるのがわかります。

 

専門家でもあり、実行者でもある。ということです。

 

そのような在り方は、時代として求められる理想であるとは思いますが、その前に必要なことは、自分の思考プロセスはどちらが強く、どのようなバランスを持っていくことが適切なのか?という自分の思考の癖を知ることだと思います。