【企業分析】デイブレイクから学ぶフードロスの解決に対する新たなアプローチ【冷凍のスペシャリスト】
「もったいない」
学生時代にコンビニバイトをしている時に、日々の廃棄食品の量の多さに対して、僕が感じていたことです。
日本全体では年間に約640万トンのフードロスが出ていると言われています。
これまでは、資本主義の代償として「仕方ないこと」とされてきた風潮がありますが、持続的な社会という観点から改めて考えると極めて異常なことであると感じます。
しかし、そのような重大な問題にどう立ち向かうのか?
という問いに対して「冷凍」というアプローチから打ち手を提示しているのが、今回の記事で紹介する「デイブレイク」です。
デイブレイクとは?
デイブレイク株式会社は、特殊冷凍事業に特化し、全国5,000社以上の特殊冷凍テクノロジーに関するコンサルティングや導入支援などを行っている「冷凍技術」に関するプロフェッショナルです。
専門的かつ中立的なコンサルをおこないながら、限りなく生の状態で復元できる“特殊冷凍テクノロジー”を強みに、「特殊冷凍でフードロスを減らす」という付加価値を提供しています。
「デイブレイク」の経営フレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「ビジネスモデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
ターゲット
「フードロスに悩む生産者」
食品の生産者にとってそもそもの大きな問題は、「食品の適切な保存方法を持っていない」という課題があります。
冷凍機の業界では、各メーカーが独立していて、メーカーごとの比較や特徴を押さえるのが難しいといいます。
そのような状況に対して、中立的に生産者とメーカーの両方の立場から、適切な提案をできる国内唯一の企業としてデイブレイクはその役割を果たしています。
CEOの木下氏は、適切な冷凍保存の可能性についてこう示唆します。
100%は不可能ですが、「ほぼ生」の状態に戻すことも可能です。たとえば伊勢海老は5月~8月ごろ禁漁期間となりますが、4月に水揚げした伊勢海老を特殊急速冷凍し、適切に保存すれば、数年経ってもお刺身として提供できました。さらに伊勢海老の価格も禁漁前は安く、おせち料理シーズンを迎える年末になると大きく高騰します。そのため安価かつ品質がよい時期に水揚げすれば、1年を通じて安定供給も可能でしょう。
バリュー
「食を通じた持続的社会の実現」
CEOの木下氏は、将来的なデイブレイクの価値提供についてこう語ります。
まずは機械販売によって特殊冷凍を浸透させることがファーストステージです。その先には、生産者と食材を求めるお店や人を繋げるシステムの構築や、特殊冷凍に特化した物流の開発を考えています。新しい食の体験・感動の創造を目指しており、極論、冷凍だけがその手法だとは思ってはいません。他業界の発想・テクノロジーも、柔軟に取り入れていく計画です。誰でも、“あの時、あの場所で、あの人と食べた味が忘れられない”という体験があると思います。それをもう一度届けられたら、食はもっともっと楽しくなる。食がより幸せであったかい時間になれば、結果的にフードロスも減るでしょう。
ケイパビリティ
- コンサルティング事業
- 商社事業
- フローズンフルーツ事業
この3つが「デイブレイク」の基幹事業です。
中でも、フローズンフルーツ事業は、廃棄用の果物を特殊冷凍技術で新食感のフルーツに変えて、川上の味を川下まで届ける画期的なアプローチとして各社企業の福利厚生としての導入が急速に伸びている事業です。
ビジネスモデル
「冷凍を軸にした複数のポートフォリオ」
複数のポートフォリオを持つことで、包括的に事業を展開することで収益を出しています。
まとめ
企業のビジネスにおける食品ロスという問題がある一方、各家庭におけるモラルの問題で起きてしまう食品ロスも大きな問題です。
「デイブレイク」が取組むのはビジネスサイドの問題ですが、個人ごとのロスもちりも積もれば山となります。
食品ロスの問題は決して企業だけでなく、個人にとっても意識しなければいけないことだと改めて感じさせられました。
生産者から最終消費者までが、限られた資源に対して真剣に向き合うことが大切ですね。