『佐藤可士和の超整理術』から学ぶ思考の整理整頓。
『佐藤可士和の超整理術』から学ぶ思考の整理整頓。
僕たちは日々膨大な情報に触れています。
仕事だけでなく、日常生活においても、情報にふれていない時間はほとんどありません。
それだけ多くの情報に触れる中で、何を自分の中に留め、そして自分なりのアウトプットに繋げるのかという選択は非常に難しいことだと思います。
昨日の自分の主張と、今日の自分の主張は全く異なるものになっていたりします。
しかし、それではいつまで経っても、周囲の情報に流されるだけの人になってしまい、自分という存在が確立できません。
仕事でも、プライベートでも、求められるのは、本質的には「自分なりの考え」にこそ高い価値があると思っています。
僕自身も、表層的な情報に踊られされたり、上司から言われるがままに行動してしまい、気づいたら自分の中には何も残っていなかったという経験に今現在も悶々としています。
そして、そんな悩みを抱えるのは決して僕だけないと思います。
この悩みに一筋の光を与えてくれたのが、今回の記事でご紹介する日本を代表するトップクリエターである佐藤可士和氏にとって初の著作である『佐藤可士和の超整理術』です。
佐藤可士和氏とは?
1990年代、株式会社博報堂でアートディレクターとして斬新な広告プロジェクトを次々と手がけました。
2000年の独立以降、企業から、幼稚園や大学などの教育機関、病院、ミュージアム、エンターテインメント界、ファッション界、そして地域産業まで、多種多様なクライアントを対象として、革新的なVI・CI計画やブランド戦略を手がけ、国内外から注目を集めてきました。
デザインの根本原理―伝えるべき情報を整理してその本質を抽出し、誰もが一目で理解できる視覚言語・記号に置き換え、広く伝達する―を、その本来の領域をはるかに越えた幅広い分野に適用する佐藤独自の稀有な方法論は、デザインの概念を拡張・刷新するだけでなく、文化、経済活動、そして私たちの日常生活に至るまで、社会のすみずみに影響を及ぼしています。
https://www.nact.jp/exhibition_special/2020/kashiwasato2020/
思考を整理することの重要性
前述したように、僕らは目の前の多すぎる情報に対して、その表層を追いかけるだけで、疲弊しきってしまっています。
そこで大切なことは、書籍のタイトルにもある通り「整理」することです。
整理することによって得られる最も重要なポイントは、「本質を見出す」ということです。
仕事の場面でもこんなことがあると思います。
・商品や広告のディティールばかりこだわってしまう
・限られた予算の中で、細かな売上施策を何度も繰り返してしまう
このような対処療法的な仕事では、当然大きな成果には結びつきません。
ここで抜け落ちている視点は、「そもそも何を目指しているのか?」という客観的な視点です。この客観的な視点を持ち、本来の目的に対して思考を整理していくプロセス。
それこそが、本質に近づく一番の近道だと言えます。
思考整理の3ステップ
本書で語られる思考整理には3つのステップがあります。
1.状況把握
佐藤氏はこのステップを「問診」と表現しています。
目の前で取り組もうとしている出来事が、現在どのように認識されているのか?を明らかにするということです。
ポイントは情報の数の多さではなく、リアリティを重視するということです。
リアリティとは、絶妙なニュアンスのことを指します。
医師の場合で例えると、「お腹が痛い」という患者さんに対して…
- 激痛なのか?
- しくしく痛むのか?
- かすかに痛む程度なのか?
このような微妙な違いを言語として共有することです。
2.視点導入
情報を仕入れた後は、独自の視点を取り入れることで、その情報同士の因果関係をはっきりさせるというプロセスです。
これが、物事の本質を突き止める上で、非常に重要なプロセスとなります。
バラバラの情報をある視点を持って並べ替えたり、プライオリティを付けたり、捨てたりしながら、整合性が取れるように曖昧な部分を無くしていくことで、状況の根源となる本質が姿を現してくるのです。
3.課題設定
視点導入で本質的な問題を特定することができれば、最後のプロセスとして、その問題をクリアする為の課題を設定とそのプロセスを設計するだけです。
実際のビジネスにおいては、本質的な問題を捉えないまま、いきなり課題設定だけをしようとしてしまい、迷子になってしまうというケースが本当に多いと感じます。
まとめ
佐藤可士和氏の作り上げるプロダクトはどれも印象的で、スマートさがあります。
しかし、それは単に感覚的なものではなく、その裏にあるディティール一つ一つに込められたロジックがあることに、佐藤氏が活躍し続けるヒントを垣間見ました。
そして、そのロジックは決してクリエイターの為だけのものではなく、僕らのようなビジネスパーソンにとっても汎用性のあるものです。