【企業分析】Looopから学ぶ再生可能エネルギーの可能性【太陽光発電】
【企業分析】Looopから学ぶ再生可能エネルギーの可能性【太陽光発電】
「東日本大震災」
津波によって多くの人の命が奪われた記憶に新しい未曽有の自然災害です。
その一方、自然の驚異にさらされたことで、新たにその価値や必要性が見直されるということもありました。
- 人と人との絆
- コミュニケーション手段
- 一極集中のリスク
その中の一つに、電力というキーワードがあります。
当時、福島第一原発のメルトダウンを契機に、原子力というエネルギーの危険性が世論として大きく取り上げられました。
そして、被災地では電力が十分に配給されず。都心でも計画停電が行われました。
そんな状況の中、太陽光発電というアプローチで、被災地ボランティアを実行したのがLooopの社長である中村創一氏です。
「当時、パネルの原料になるシリコンを納品している取引先のご好意でソ-ラ-パネルをいただくことになり、電力供給が途絶えた被災地に入り、独立型の太陽光発電システムを設置して回りました。本当にたくさんの被災者の方々から感謝されました。その活動のなかで、ふと気づいたんですよ。地べたにパネルを置けば発電できて、その場ですぐに電力を使うことができる。電力が届かない場所は地球上にいくらでもあるわけで、ニーズは無限大である。例えばそれは、山奥でも、例えば宇宙でも――。」
中村氏は、結果的に多くの被災者から感謝されたこの経験を発端として、クリーンで持続性のある太陽光エネルギーの可能性を感じ、Looopを立ち上げました。
この記事では、現在大きく成長を遂げているLooopのビジネスモデルを考察していきたいと思います。
Looopとは?
再生可能エネルギー事業「エネルギーがフリーな世界へ」をミッションとし、
・太陽光発電所システムの開発・販売・設置・工事・管理・メンテナンス
・自社太陽光発電所の設置・管理
・独立型太陽光発電システムと周辺機器のインターネット販売
・自然エネルギーを使用した商品の企画・開発・販売
・電力小売事業「Looopでんき」の提供などを行っている。
「Looop」の経営フレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「ビジネスモデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
ターゲット
「法人から個人まで」
Looopでは2016年の電力自由化を契機に大きくターゲット層を拡大しました。
従来は法人向けに大きな容量の電力供給や太陽光発電の仕組みを提供していましたが、一般消費者に対しても電力を小売りすることができるようになったためです。
バリュー
「エネルギーコストの削減」
中村社長は、長期的なLooopのビジョンについてこのように語ります。
今ある既存の技術の中で最も有望なものは自然エネルギーだと考えていまして、太陽光も無限に降り注ぎますし。例えばサハラ砂漠の一角に全てパネルを敷き詰めたら世界中のエネルギーをまかなうことができるんですね。実際にはそれを運ばなくてはいけないのであまり現実的ではないんですが、日本中に空いている屋根ってたくさんあると思っていて、あとは耕作放棄地みたいな農地、何も農作物作っていないような土地に太陽光パネルを付けることによって、エネルギーコストをどんどん下げていきたいというのが我々の希望としてあります。
それが10年20年たっても発電は続くんですが、当然減価償却は終わっているので、20年後はエネルギーを無償で使うことができたらエネルギーはフリーになるんじゃないかと考えていますし、エネルギーから人間を解放しないと次のステップに進めないと思っていて、それが僕のミッションなのかなと思っています。
ケイパビリティ
「ソーラー発電所」
通常の火力発電や原子力発電と異なりソーラー発電では、ほぼ設備コストはソーラーパネルの設置だけで済みます。
そのメリットは、電気の小売事業における「基本料金0円」というサービスや、太陽光発電システムの販売における投資を目的とした消費者への「信頼」にもつながっていると言えます。
収益モデル
太陽光発電システム機器の販売
最低58坪のスペースがあれば、個人でもソーラー発電所を組み立てることができ、所有できる弊社の「MY発電所キット」を販売しています。
必要な部材をキットとしてパッケージにし、わかりやすい設置マニュアル、手厚い導入サポートを提供しています。
電気の小売
- 自社で発電を行う再生可能エネルギー
- 卸売市場からの電気配給
- 資本提携している中部電力からの電気供給
これらで確保した電力を消費者向けに販売しています。
まとめ
今後、太陽光発電の技術や規模が拡大することで、電気料金がほぼフリーになるという展望もあります。
そのような未来において、Looopは消費者に「何電気を使うのか?」という視点に立ち、
AIを使用したサービスを提供や、無人のEVを提供するサービス産業をつくるビジョンも示唆しています。
クリーンかつフリーな太陽光がもたらす電力には、無限の可能性を感じます。