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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

【企業分析】ユーグレナから学ぶ持続可能社会の実現【ミドリムシ】

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【企業分析】ユーグレナから学ぶ持続可能社会の実現【ミドリムシ】

 

「ミドリムシ」を使った健康食品や化粧品を販売している変わった会社がある。

ということは、以前よりなんとなく耳にしたことがありました。

 

昨今、サスティナブルやクリーンエネルギーなどのエコに関する社会的な重要性や関心が高まっている背景の中で、「ユーグレナ」という会社名を思い出し、その事業内容やミドリムシの持つポテンシャルについて調べようと思い記事を書くことにしました。

 

ユーグレナとは?

東京都港区に本社を置くバイオベンチャーである。藻類の一種であるミドリムシ(学名:ユーグレナ)を中心とした微細藻類に関する研究開発及び生産管理、品質管理、販売等を展開している。

 

ミドリムシが59種類の栄養素を持つことを生かし、食品販売や化粧品販売を展開しながら、ミドリムシ由来のバイオジェット燃料、バイオディーゼル燃料の研究開発等を行っている。このうち、ミドリムシを原料とするバイオ燃料の研究は、横浜市、千代田化工建設、伊藤忠エネクス、いすゞ自動車、全日本空輸と共同で行っており、2020年に航空機の有償フライトとバスの公道走行を行うことを目標としている。

引用:Wikipedia

 

「ユーグレナ」のビジネスフレームワーク分析

  1. 「ターゲット」⇒顧客
  2. 「バリュー」⇒提供価値
  3. 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
  4. 「ビジネスモデル」⇒プロフィット

 

この4つの切り口から分析を行っていきます。

 

ターゲット

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「世界中の人々」

 

ユーグレナの創業のきっかけは、社長の出雲氏が学生時代にボランティアで訪れたバングラディシュでの経験だと言います。

 

バングラディシュでは、多くの子どもたちが飢餓状態にこそなっていないものの、コメや小麦など偏った栄養バランスの食事が中心で、植物性や動物性の栄養が不足していることで、健康に異常をきたしている実態を目の当たりにしたそうです。

 

そこで、課題として感じたことは、貧困国で栄養失調に苦しむ子どもたちに必要になものは、「単に食物を配給する」ことではなく、「栄養バランスの取れた食物を届ける」ということだったと言います。

 

では、より多くの人に、小さなコストで、最大限の栄養バランスの食物を届けるには、どうすれば良いのか?という問いの答えが、「ミドリムシ」だったのです。

 

そして、それは「貧困国で栄養失調に苦しむ子どもたち」だけではなく、世界中で暮らす人々にとっても持続可能な社会を実現していく上で、必要不可欠なものであるという着想まで広がっていったと言えます。

 

バリュー

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「ミドリムシで世界の栄養失調問題やエネルギー問題を解決する。」

 

なぜ、このようなことが言えるのか?という答えが、ミドリムシの持つポテンシャルにあります。

 

〇一般的に植物が持つ栄養素と動物が持つ栄養素、両方を併せ持つ生物はほとんどおらず、ミドリムシは植物と動物の両方の性質を持つとても珍しい生き物である点。

 

〇ミドリムシ1g(5粒)に含まれているビタミンAは、梅干し50gに入っているビタミンAと同量。牛レバー50gに含まれているビタミンB12は、ミドリムシ1gに含まれている量と同じである点。

 

〇ミドリムシ1gで、イワシまるまる1匹分の葉酸、ウナギの蒲焼き50g分のDHA、アサリ50g分の亜鉛など、さまざまな動植物に含まれる栄養素59種類を摂取できる点。

 

〇ドリムシからできる油は飛行機にも使用でき、原油からジェット燃料は作れるが、一般的な植物油からは飛行機の燃料は作れません。石油ではなくミドリムシで飛行機を飛ばすことができれば、日本がエネルギー輸出国になる可能性もある点。

 

ケイパビリティ

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「独自のミドリムシ培養技術」

ユーグレナは、NASA ですら失敗し、過去50年実現しなかったミドリムシの世界初の屋外食用大量培養に成功させています。

 

しかし、その成功は一朝一夕で成功した訳ではなく、苦難の道のりがありました。

当初の実験では、約一ヶ月でわずか耳かき一杯分のミドリムシの培養しかできませんでした。

 

その理由は、ミドリムシは非常に多くの栄養素を含んでいて消化しやすいことから、多くのバクテリアやプランクトンにとって好んで食べられてしまうのです。

 

したがって、その種の生物の汚染を受けずに培養することが大変難しくなります。

 

以前からのアプローチならクリーンルームのような施設を作ることになるわけですが、それは非常に高価でミドリムシを大規模培養することが困難でした。

 

そこで、社長の出雲氏が考えた発想は、「異物を混入させないクリーンな環境」を作るのではなく、「ミドリムシしか生きられないような培養環境」を目指す方向に切り替えるというものです。

 

つまり、バクテリアやプランクトンの混入はあるけれども、ミドリムシ以外は嫌がって近寄れない培養環境を作ればよい。という考え方です。

 

その発想により、見事培養は成功し、2017年には主要な培養施設のある沖縄の石垣島でミドリムシの乾燥粉末を約160トン生産しました。

 

ビジネスモデル

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「ミドリムシを軸にした多角的アプローチ。」

 

〇ヘルスケア

植物と動物、両方の性質を持つため野菜に含まれるビタミンやミネラルに加え、魚に含まれるDHA、EPAといった不飽和脂肪酸など59種類もの栄養素を持っています。ユーグレナの力で、すべての人の栄養が偏りなく、健やかに暮らせる世界を目指しています。

 

〇美容

ユーグレナから開発した、オールインワン化粧品、肌本来の美しさに着目したエイジングケア化粧品、そしてインナービューティーサプリメント・ドリンクと、多彩なラインナップを用意しています。

 

〇バイオ燃料

バイオ燃料を陸・海・空における移動体に導入が進行中で、バイオ燃料の商業生産体制を構築する計画も進めています。

 

〇遺伝子/健康検査サービス

最新のバイオテクノロジーを駆使して、身体の状態や将来の健康リスクを見える化するとともに、個々人にカスタマイズされた生活習慣を提案することで、未来の健康をサポートします。

 

〇子どもの健康改善

グループの商品の売上の一部を協賛金として、バングラデシュの子どもたちに栄養豊富なユーグレナ入りクッキーを無償で配布しています。より多くの人に充分な栄養素を届け、すべての人の幸せを届ける取組みを行っています。

 

まとめ

世界人口が増え続ける地球にとって、大きな問題として立ちはだかる「限りある資源の確保」という問題も、一つの解決策として、「ミドリムシ」というアプローチの提案は画期的なものだと思いました。

 

これまで、ほとんどの人が関心を持たず、かつ身近なところに溢れているものに着目して、新たな価値想像を行うというプロセスは、今後の社会やビジネスにおいても、絶対に必要な視点だということを改めて感じさせられますね。