出世する為の実績づくりにこだわりすぎる上司がぶつかる矛盾について。
出世に実績は欠かせない
僕の会社では、現場の実務担当者は長年同じ人間が務め、その上長は毎年のようにコロコロ変わっていくという人事の傾向があります。
リーダーを変えることで仕事現場に変化をもたらすということが、経営的な目論見だと思っています。
しかし、実際のところ毎年のように異動を繰り返す上司にとっては、ある意味どの部署も腰掛けに過ぎません。
より社内評価が高い部署に異動する為に、短いスパンでいかに目立つ実績を上げることができるか?という利己的な目標に捉われている上司が多いことを感じます。
現場はいつもこのような上司の経営層に向けた内向きのパフォーマンスに振り回され、疲弊してしまうという問題があります。
〇〇を辞めるというマニュフェスト
最近の社内トレンドとして「〇〇を辞める」という目標設定がやたら流行っています。
過去にベストセラーになった「エッセンシャル思考」で語られるような発想で、無駄な仕事をそぎ落として、本当にやるべきことに集中するという考え方です。
この「エッセンシャル思考」の考え方自体は、僕自身も非常に共感していて、生活の中でも意識しています。
しかし、これ自体を出世の為の公約にしてしまうことで、本来の「エッセンシャル思考」の考え方から大きくズレてきます。
「〇〇を辞める」ことは、100%の達成を目指す。
一方、辞めたことで捻出した予算や時間を使って「本当にやるべきこと」に関しては明言しない。
こんなパターンが非常に多いのです。
つまり、達成の指標を明確に掲げることができない公約は出さないということです。
短期間で自分が実績として数値化できるかが大切になってしまっている証拠です。
手段の目的化による矛盾
何かを辞めるということは、変化をしていく為には重要です。
一方で、100%と決めきってしまうことは、全体最適にはなりますが、部分最適にはなりません。
例えば、過去の事例ですが…
・紙の使用を100%禁止
⇒PC台数が足りていない部署が、通達の確認を数人で交代しながら行う。
・残業を100%禁止
⇒重要な顧客からの要望に十分に応えられない。
こんな問題も各所で発生します。
本来であれば、ルール認識はしながらも、ケースバイケースで柔軟に対応していくという補法が理想的だと感じます。
しかし、あくまでも実施率100%にこだわる上司は、それによる弊害を認識しながらも、頑なに公約を押し通します。
結果、そのような無理のある押し付け的なルールは、その上司が去ったあと、一瞬にして崩壊してきました。
出世する為の実績づくりにこだわりすぎる上司を反面教師にすべきこと
前述した通り、自分の決めた数値目標に縛られすぎて、柔軟な対応が全くできなくなり非効率に転じるというのは、本末転倒としか言わざるを得ません。
この原因は、間違いなく内向きな目先の評価に重きを置いている点です。
真に評価されるべきことは、外向きで長期的な取り組みにこそあると思います。
短期的な社内評価に動じることなく、腰を据えて仕事と向き合うということが大切だと思います。