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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

部下から呆れられてしまう上司から反面教師に学ぶ間違ったキャリアの積み上げ。

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部下から呆れられてしまう上司から反面教師に学ぶ間違ったキャリアの積み上げ。

 

「何にもわからないんでよろしくお願いします。」

 

当時、僕の部署に新たに赴任した上司の最初の挨拶でした。

少し自分を謙遜するタイプなのかな?と部下となった僕らは思っていましたが、50代半ばのその上司は、本当に部署のことを何もわからないまま、その一年後、別の部署に異動してしまいました。

 

僕の会社の人事の傾向では、1年の異動というのは、一部の例外を除いてあまりないことです。

 

その例外とは、

  • 他の部署から強い引き合いがあった場合。
  • 人事評価が著しく低い場合。

 

この2点です。

明らかに、その上司の異動理由は後者でした。

 

話によると、彼はここ十数年ずっと毎年毎年様々な部署をたらいまわしにされ、それぞれの場所で何も身に付けることができないまま、ひたすら異動を繰り返しているということでした。

 

ある意味、とてもうらやましいキャリアステップだなと感じたと同時に、適正な人材配置ができていない会社の組織上の問題、そしてせっかくの機会を活かせていない本人の意識の問題を非常にもったいないとさえ感じてしまった出来事でした。

 

この上司のどのような意識や行動がこのような悲劇を引き起こしてしまうのか?について考えてみました。

 

何でも部下に聞けば良いという姿勢。

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上司という立場がそうさせるのかもしれませんが、わからないことがあってもすぐに何でも応えてくれる部下が近くにいる状況は、むしろ不幸なのかもしれません。

 

それはどういうことかというと、

  • 自分で調べて自分の頭で考えないことには、本当の理解というのはできない。
  • 本当に理解出来てなくても、部下が一生懸命説明してくれている手前、わかった気になってしまう。
  • 最終的には、部下がなんとかしてくれると思ってしまう。

 

一年間を通じて、上司と仕事におけるコミュニケーションの中で感じていた「本当にわかっているのかな?」「この人大丈夫かな?」という違和感はこのような部分に起因していたのではないかと思います。

 

自分の手持ちの仕事は常にゼロ。

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部下に任せることができる仕事はすべて任せてしまうと、残るのは「上司にしかできない仕事」です。

 

それは本来、部署内の長期的な方向性の設計だったり、そこに向けたモチベーション向上だったり、ということだと思います。

 

しかし、どこのスイッチを押せば、どこが動くのかがわからない状態、もしくはわかろうとしない状態で、それはできません。

 

すると、本当に最後に残るのは、決済という業務だけです。

 

とにかく、当時の上司はデスクでハンコを持って部下の承認を待っている以外は、何もすることがないという状況でした。

 

正直、何の指摘もされないのだから本人がいなくても、そこにハンコさえあれば十分という空気が部署内に蔓延していました。

 

仕事をしているフリをしてしまう。

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「ハンコを押すだけのオジサン」になってしまっているというのは、上司本人も自覚があったのかもしれません。

 

ある時期からは、常に険しい顔をしながらPCモニターとにらめっこしている日々が続いていました。

 

たまたま、ちらっと見えてしまったモニターには、ヤフーのニュースページが映っていた時の衝撃は今でも忘れません。

 

上司であるというプライドと、ハンコを押すことしか業務がないという葛藤があったのだと思います。

 

そのプライドさえなければ、そんな険しい顔をする必要はないと思います。

 

まとめ

この経験からどんな立場になっても必要なことは、「自分は何がしたいのか?」もしくは「何ができるのか?」というビジョンを持つことだと思います。

 

そして、それがなかったとしても、「どうやって見つければ良いのか?」と考え続けることが大切だと感じます。

 

そのマインドは、年齢を経るごとに自然と低下してしまうのもまた事実です。

 

それは、無意識のうちに「自分のできること」と「自分にはできないこと」の線引きをしてしまうようになるからです。

 

今回の記事で紹介した上司のように、初めから赴任した部署での仕事を「自分にはできないこと」に分類してしまうと、本当に最後までできないことになってしまいます。

 

そうではなく、少しでも小さくても「自分にできること」を見つけていくことが、仕事の上でも、人生の上でも、自分を豊かにしてくれるのではないか。ということを反面教師に感じました。