【企業分析】「ビビッドガーデン」から学ぶ農業×テクノロジーの可能性【D2C】
地方に旅行に行った時などにたまに見かける野菜直売所。
収穫したての野菜が無人で置かれていて、セルフで集金箱にお金を入れて購入する方式のあれです。
安くて美味しい野菜が手軽に購入できるので、結構好きで旅先で見かけるとついつい購入してしまいます。
そのような新鮮な野菜を食べると、やはり普段使っているスーパーの野菜には物足りなさを感じてしまいます。
味や栄養価を考えたら絶対に、良い野菜を食べたほうがわかっているのですが、首都圏に住んでいることで、産地直送の野菜を手に入れる為には、値段が高いという問題や、好みのタイミングで適切な分量を購入する仕組みがまだまだ整備されていないという問題があり、結局スーパーに依存してしまっています。
こんな気持ちを持っている多くの消費者に対して、ソリューションを提案するのが、ビビッドガーデンのITを駆使した野菜直販事業です。
「ビビッドガーデン」とは?
小売店を介さず、生産者が消費者に直接商品を届けるモデル、D2C(Direct to Consumer)。日本においても、アパレルや食料品をはじめ幅広い分野へと広がりつつある。
ビビッドガーデンが運営する『食べチョク』は、野菜・米・果物・肉・魚介類の中小生産者が自由に出店し、全国の買い手に直接販売を行えるオンライン・マルシェ。生産者に集客と販売プラットフォームを提供することで、D2Cビジネスを支援している。
登録生産者は900を突破し、利用者数も右肩上がりに成長。
FASTGROW:https://www.fastgrow.jp/articles/vividgarden-akimoto-02
「ビビッドガーデン」の経営フレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「ビジネスモデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
ターゲット
「首都圏に住む30~40代の主婦」
鮮度の高い野菜が生産者から直接送られてくることに魅力を感じているものの、近所で買う場所がなく、また既存のサービスにも何かしらの不便さを感じている人。
バリュー
「持続可能な一次産業の実現」
これは、消費者と生産者の両者にとって価値のあることだと思います。
消費者にとって
付加価値の高い商品を、より適正な価格で購入することができる。
生産者にとって
栽培や漁にこだわりを持つ、規模の小さい生産者がきちんと利益を得ることができる。
ケイパビリティ
「産地直送」を強みとして様々なサービスを展開しています。
・食べチョク
個人向け
ビビッドガーデン事業の軸となるサービスです。
野菜・米・果物・肉・魚介類の中小生産者が自由に出店し、全国の買い手に直接販売を行えるオンライン・マルシェです。
・食べチョクPro
事業者向け
お店のこだわりに合わせて最適な農家をコンシェルジュがご提案し、手間なく“農家直送“食材をお取り寄せできる、こだわり飲食店向け仕入れサービスです。
・食べチョク&more
「食」を通じてより健やかに、
毎日を楽しく暮らすための情報がつまったライフスタイルメディア。
・食べチョク 出張マルシェ
指定の場所・時間にこだわり食材のマルシェを開催。
農家が対面で野菜を販売するサービス。
・食べチョク for Office
こだわり農家自慢のオーガニック野菜を、
農家から直送でお届けするオフィス向けサービス
収益モデル
「仲介手数料」
ビビッドガーデンでは、従来の流通ルートとは別に、新たな流通を開拓しその中間に入ることで、キャッシュポイントを見出しています。
また、現在は野菜中心ですが、今後ビジネス拡大の方向性として肉や魚、加工食品を中心とした高収益体質へもCEOである秋元氏は語っています。
野菜は「客寄せ」商品としての位置付けなんだそうです。安くてボリュームもあるので、手に取りやすく、また、冷凍保存ができないことから頻繁に購入することになります。秋元さんに聞いてなるほどと思ったのですが、スーパーの入り口に置いてあるのはそういう理由からなんだそうです。集客効果を期待して、その後、肉や魚、加工食品といった収益のあがる商品に導線を作る。食べチョクもまさにこの戦略を踏襲してうまくヒットしたというお話でした。
BRIDGE:https://thebridge.jp/2019/10/vivid-garden-fundraise-to-make-a-sanchoku-world
まとめ
リアルな接点が持ちづらくなる社会の中で、このようなD2Cサービスはますます広がっていくと感じています。
そうした時の消費者心理としては、「何を買うか?」から「誰から買うか?」にシフトしていくように思います。
ビビッドガーデンのような消費者と生産者を双方につなぐプラットフォームの役割は、ますます重要になってくるのではないでしょうか。