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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

「カンカク」から学ぶシームレス体験を提供するカフェビジネスモデル。

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「カンカク」から学ぶシームレス体験を提供するカフェビジネスモデル。

 

コーヒーは大好きで365日ほぼ欠かさず飲んでいます。

特にカフェでコーヒーとともに過ごす時間は、仕事に追われている慌ただしい日々に安らぎを与えてくれます。

 

カフェ業界というのは、スターバックスやブルーボトルコーヒーなどを始め、様々なブランドやコンセプトを持ったが競合がひしめくレッドオーシャンとも言えます。

 

そんなカフェという業態において、先進的なアプローチで店舗展開を行うカンカク者が運営する『TAILORED CAFE』や『KITASANDO COFFEE』が注目を集めています。

カンカクとは?

代表取締役は、元メルカリで2019年7月までメルペイの取締役CPOを務めていた松本龍祐氏です。

 

“Building the next city.”(新しい都市をつくる。)をビジョンに掲げており、インターネットと非インターネットの垣根がなくなることを目指し設立されました。インターネット業界での知見を生かしながら、飲食・観光・不動産・製造など「リアル業態」での事業を行っています。

 

「カンカク」のビジネスフレームワーク分析

  1. 「ターゲット」⇒顧客
  2. 「バリュー」⇒提供価値
  3. 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
  4. 「ビジネスモデル」⇒プロフィット

 

この4つの切り口から分析を行っていきます。

 

ターゲット

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「シームレスな体験を求める人」

 

顧客ターゲティングの原点は、CEOの松本の経験に基づいています。

 

当時オフィスが入居していたビルのカフェに自分自身が毎日、それも多いときは朝・昼・夜と1日に何度も訪れていることに気がつきました。大きなビルだったので、よく長い列に並ぶことがあったのですが、時間がないから本当はアイスラテを飲みたいけどコールドブリューを頼んで、急いで3口飲んだあとミルクを並々注いでる自分がいて。待ちたくないなーと思って、これをきっかけにカフェを事業の選択肢として考えるようになりました。

https://note.com/kankak/n/n017b6c43dbe5

 

つまり、美味しいコーヒーとはこれまで十分に時間がある時しか味わえないもの。

時間がない時は、インスタントコーヒーで済ませるしかない。という「時間」と「味」というトレードオフの関係性を、乗り越えるサービスとも言えると思います。

 

バリュー

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「日常のアップデート」

 

僕らの日常生活における行動の一つ一つをオンラインに接続することで、より快適かつスムーズな体験を提供するというのが、カンカクが目指す提供価値です。

 

人の情報収集やコミュニケーションの起点がインターネットに移行してく中で、コミュニケーション後のリアルな行動もインターネット前提にアップデートしたい。「食事する」「移動する」「買い物をする」といった日常の暮らしが、スマホの中でアプリを行き来しながらコミュニケーションをするような、なめらかな体験になったらすごくおもしろいんじゃないか。

https://note.com/kankak/n/n017b6c43dbe5

 

ケイパビリティ

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アプリ『COFFEE App』

麻布十番のパーソナライズドカフェ『TAILORED CAFE』。

北参道の完全キャッシュレスカフェ『KITASANDO COFFEE』向けの事前モバイルオーダーアプリです。『COFFEE App』上でドリンクやフードを事前注文することで、待ち時間なくスムーズに店舗にて受け取ることができます。注文後は、調理状況をリアルタイムでチェック可能です。

 

サブスクリプションサービス

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「月額3800円で毎日コーヒー」サブスクプラン開始からわずか1カ月で累計ユーザー数は600人を超えて、2020年7月には累計1,000人に到達しています。

 

D2Cパフェ

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「parfait✕parfait」はオンラインショップ経由で「お家でとろける夜パフェを」がコンセプトの冷凍便で届くパフェスイーツのD2Cサービスです。“ほろ酔いジュレ”をあとがけして楽しめるのが特徴です。

 

“自分たちがいる東京の生産者にこだわり、生産者を助けたい ”、“自宅で過ごす人たちを応援できるようなものを作れないか”、という2つの想いからスタート。外食できる機会がないとなかなか食べられなくて、もし自宅でも食べられたら嬉しいものということで、“夜パフェ”にたどり着きました。

https://note.com/kankak/n/n017b6c43dbe5

 

ビジネスモデル

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「完全分業、完全リモートで完結するビジネスモデル」

 

ここまで紹介した「カンカク」の運営するビジネスモデルは、すべてフリーランスや副業によるアウトソーシングによってつくられているという特徴があります。

 

オフラインにおけるビジネスを、オンラインだけで完結させるという非常に新しい試みであり、このモデルは今後、少子高齢化が深刻化していく日本の労働環境においても重要な示唆を与えてくれます。

 

日本の労働生産性の低さ、労働者人口が減っている問題に対する解決法は、効率化しかない。だからこそ、「働き方のインターネット化」には伸びしろが大いにあると考えています。そもそも、そこを変えていかないと今後は生き残れないでしょうから。

 

現状でも、サービス業ではアルバイト人材を確保できないからサービスが拡大できないという話もよく耳にします。労働人口が減っていくと、「働く人を集められていること」が企業の価値にもなっていきます。仮に同業他社よりも生産性が3割高い会社があったら、時給も3割上げようとすれば実現できる。おそらく人手不足の課題も起きにくくなるはずです。

https://careerhack.en-japan.com/report/detail/1153

 

まとめ

「カンカク」の目指すオンラインとオフラインの境目のないシームレスな体験は、将来的により多くの分野で広がっていくと感じます。

 

それによって、「食事」をはじめとした実際に人の行動を伴わないと成立しない体験においては、そこに至るまでをプロセスを徹底的にオンライン化して人的・時間的コストを抑えて、オフラインでしか体験できない「味覚」「嗅覚」「触覚」などにリアルなリソースを集中ことにより、これまで以上に上質なサービス提供が一般化するように感じます。