起業家兄弟が提案する「クラフトカレー」のD2Cビジネスとは?
「クラフト」という冠詞のつく食料品が注目を集めています。
過去にも当ブログで紹介した「クラフトビール」、「クラフトコーラ」などに続き、「カレー」というジャンルにおいても、「クラフトカレー」が登場しています。
「ザ・クラフトカレー」を販売する㈱フードコーナーは、自らを「クラフトカレーブラザーズ」と名乗る若手経営者兄弟が2020年設立のフードベンチャーですが、同年末には約500名以上からクラウドファンディングを通じた資金調達を成功させています。
それだけ、「クラフト」というワードに対する人々の関心や、大量生産ではない丁寧なものづくりに対する需要が高まっているということが伺えます。
今回の記事では、そんな「ザ・クラフトカレー」が支持される理由やこだわりについて、そのビジネスモデルを紐解きながら、ご紹介したいと思います。
「フードコーナー」のビジネスフレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「収益モデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
ターゲット
「時間がない中でも食事を大切にしたいビジネスマン」
日本の多くのビジネスマンにとって食事とは、効率化を追い求める結果、胃袋に食物を流し込む作業になっている側面があります。
しかし、本来的に食事とは胃袋を満たす以上に、精神的な豊かさを育むことができる時間であることは、心のどこかで感じていることです。
わかっていながらも、それを阻止してしまうのは、「現代人の時間の無さ」です。
それでも、準備の時間を最小限にして、美味しい料理を提供することで、「時間がない中でも食事を大切にしたいビジネスマン」が求めるニーズに応えることができるのでは?という仮説から生み出されたのが、「ザ・クラフトカレー」だと言えます。
バリュー
「心震わすエモい食事体験」
食事を通じた感動体験について、クラフトブラザーズは以下のような3箇条を定義しています。
1.事前に情報をインプットする
食事体験とは食べる前から始まっています。作り手の「想い」や「こだわり」、食材、音、匂い、空間など全ての事前に与えられる情報が味覚に影響し、最高の「美味しい」を生み出します。
2.日常から離れた特別を感じる
昨日の食事が思い出せないのに、去年の誕生日の食事が思い出せるなんて事ありませんか?それはあなたにとって日常から離れた特別な体験であったからです。「恋人が自分のために作ってくれた」「普段行かない高級フレンチで食事をした」「家族がパーティを開いてくれた」この特別感こそエモい食事体験には欠かせないものです。
3.大事な人と食事をする
家族、恋人、親友、仲間など自分にとって大事な人との食事が最も価値があります。
ケイパビリティ
独自レシピ
フードコーナーの「ザ・クラフトカレー」は、1000回以上の試行錯誤を重ね、以下のようなレシピのこだわりが詰まっています。
- 生産時間は市販のカレールーの約5倍の生産コスト。
- 100kgの玉ねぎを10kgになるまで炒めることで、ザ・クラフトカレーの味の肝となるあめ色玉ねぎを使用している。
- フードペアリング理論を応用した、玉ねぎと相性の良い赤ワインを入れることで、味に深みを加えている。
そして生原料(野菜、果物)が半分以上入っていることで、自然な味わいをお楽しみいただけます。
受注生産
フードコーナーでは、「美味しいカレー」を作ること以外にも取り組んでいることがあります。それが、フードロスに対する課題解決です。
現在日本では、年間612トン、一人当たり48キロの食材を廃棄されているという事実があります。
それに対して、フードコーナーが取り組んでいることが直販による完全受注生産です。
受注生産を行うことで、フードロスを限りなく0にするというサスティナブルな取組が行われているのです。
ビジネスモデル
引用)https://www.makuake.com/project/foodcorner/
「D2C」
フードコーナーがD2C直販にこだわる理由は3つあります。
- お客様に発注いただいた分しか生産しないので、商品ロスが0になる。
- 間に入る業者がいないので、適正価格でお届けできる。
- お客様に商品とともに生産者の取り組みや想いをみてもらうことができる。
まとめ
僕が感じるフードコーナーの「ザ・クラフトカレー」の魅力として感じることは、その価格です。
商品に関するヒストリーや想い、世界観に共感できるD2Cブランドの商品は多いです。
しかし、一方で一般的に市場に流通している商品との価格差があまりにも大きい(高すぎる)と感じるものが少なくありません。
その意味でこだわりが詰まった「ザ・クラフトカレー」の1袋の価格が400円というのは、非常に良心的であり、今後広い裾野に向けて広まっていく可能性を感じました。