『大竹伸朗展』を訪れて感じたこと
非論理性とアナログ性
『大竹伸朗展』で感じたことは、特にこの2つだろう。
先日の佐久間宜行のオールナイトニッポンでも、「絶対に感じるものがある展覧会」話題になっており、国立近代美術館を訪れた。
非論理性
どの作品も、言語では説明しきれない、感情の動きやひらめきを感じるがまま、ビジュアライズされているように感じた。
そして、非論理性であるがゆえに、誰にとっても多様な解釈ができるという側面もあるような気がした。
アナログ性
大竹伸朗の作風の大きな特徴として、「切り」「張り」というものがある。
世界中の新聞や広告、マッチ箱など、世の中の日常に溶け込むものを切り取り、貼り合わせることで、独自の世界観を表現している。
その何層にも重なりを切り張りする作業は、アナログそのものである。
今回の展覧会は、「自/他」「記憶」「時間」「移行」「夢/網膜」「層」「音」の7つのテーマに基づいて構成されており、その中でも個人的に印象的だったのが、「記憶」の展示ゾーンだった。
自分の記憶というのは、これまでの実体験はもちろんだが、その場その場の感情というものも含まれる。それは、生まれから今時点で続くもので、非常にカオスだ。
まさにそれが、ビジュアルによって表現されていて、いままで気づかなかった自分自身も含めた人間の奥深さ、複雑さというものに、少しの怖さと驚きを感じた。
前回に訪れた『ピカソ展』とはまた異なる衝撃的な経験であり、また少し、アートというものへの関心が深まる機会となった展覧会だった。