組織のあり方が変化している
日本において、高度成長期を経て様々な組織で成功を収めてきたのが、トップダウンの管理型の組織です。
しかし、社会の複雑化や人口減少等…
そして、今まさに猛威を振るっているコロナウィルスの影響によって、
この組織体制に大きなほころびが出てきています。
目次
例えば、
・社会の変化スピードが速い⇒承認フローが多すぎて意思決定が遅い。
・人が減っている⇒役割が固まりすぎて、人的負荷のバラつきが多い。
などがあげられます。
また、一番の問題点は、「個人能力の活かし切れない」ことだと思います。
管理型組織の中では、個人能力がどれだけ高かろうが、低かろうが、有無を言わさず平準化されてしまっている傾向にあると思います。
よく言えば「平等」、しかし悪く言えば「仕事を頑張らないもの勝ち」ともいえるかもしれません。
管理型の組織は、景気が良く業績も軌道に乗っているときはみんなハッピーでよいかもしれませんが、不景気で業績も停滞してくるとなると、みんなで不幸になっていってしまう仕組みともとらえることができます。
今のご時世、絶好調の国内企業などほとんど見当たらない時代だからこそ、
管理型からの脱却が叫ばれるのだと感じます。
そして、管理型とは逆の道を行くフラットな組織が注目を集めています。
武井浩三氏が2007年に創業したダイアモンドメディアは、日本でも先駆的なフラット型組織と言われています。
創業者の著書である『管理なしで組織を育てる』を参考にして、現代の組織論について言及していきたいと思います。
- 作者:武井 浩三
- 発売日: 2019/03/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
ホラクラシー企業の登場
ホラクラシーとは従来のようにトップダウンのヒエラルキーによって意思決定がなされるのではなく、組織全体に権限を分散させ意思決定させることで、自走する組織を保つための社会技術または組織のガバナンス・マネジメント方法と定義されています。
書籍の中では、以下のような形で従来の組織との違いを示しています。
この考えは、自然農法の「不耕起栽培」がベースになっています。
畑を耕さない、雑草も虫も取らない…という風に、なるべく人間が手を加えない。
どうしても必要なときでも、人工のものではなく自然のものを使って植物に最適化するように整えてやるだけだ。そうすれば、植物は自分自身で育つ力を発揮して収穫率が上がる、という考え方だ。畑を耕し、肥料や農薬を使って植物が育ちやすくしてあげるのは、短期的な収穫量をあげるための方法だ。でも、長期的に見ると経済合理性に合わない。その収穫量を保つためには、人手と、肥料や農薬、機械を動かすための石油といったコストをかけ続けないといけないからだ。
『管理なしで組織を育てる』
ホラクラシー企業が実践していること
社内情報のオープン化
給料や財務などオープンにしています。知ってしまうことで、互いに不信感をいただいてしまいそうなデリケートな情報もオープンにして話し合いの中で決定することが、長期的に見たときに、健全かつ柔軟な組織を作り上げるという考え方です。
それゆえに、年次や職位に甘えることは一切できないというシビアな側面も包含しています。
個人の自由の最大化
パズルに例えると、個人を役割に当てはめてしまった場合、個人の能力というピースが、役割というパズルの穴にピッタリはまるとは限りません。
個人を役割に合わせて変形させるよりも、すでにある個人能力というパズルのピース同士をつなげることで、パズルを完成させるという考え方です。
予算・目標を固定しない
予算や目標を設定することは、これから上っていく山の頂上への道しるべとなる。
というのが、従来の会社の考え方です。しかし、変化の時代においては、上るべき山や目指すべき頂上が本当に自分たちの進むべきところかどうかは不明確です。
要は、途中下山もあり得る中で、目標や予算が足かせとなり、その決断が迅速にできないというのが最もリスクのあることなのです。
管理型大企業に取り入れられること
すでに、管理型の組織で成長してきた企業が、
いきなり180°体制を覆すことはできないと思います。
(やったとしたら、バランス崩壊して倒産まっしぐらではないしょうか。)
しかし、少しずつ取り入れていくことは可能だと思います。
フラット型の組織に修正していくというマインドが経営層に入るだけで、
内部の風通しは大きくかわるのではないでしょうか。
考察
僕の考えでは、以下2点は実践可能ではないかと思います。
上層部から順番に情報のオープン化
⇒現場において不明確で、求められる情報から順次透明化することで、経営に対する信頼感が高まる。
数値目標+αの目標設定
⇒役割に基づく数値目標だけでなく、自主性に基づく自由な目標設定を行うことで、仕事の柔軟性が高まる。
いずれにしても、どこまで経営側が既存事業のなかで、公開や自由のリスクを許容できるかが重要なポイントではないかと思います。