自然のぬくもりが感じられ、独特な色使いやデザインで洗練された北欧のファニチャーが僕は好きだ。家の家具は、ほとんどIKEAで揃えて、雑貨も北欧テイストで統一している。
そんな北欧諸国は、「世界幸福度ランキング」で常に上位を独占していることは有名だが、実は企業の生産性も非常に高い。
引用:公益財団法人 日本生産性本部2018
つまり、幸福度と生産性は比例しているのだ。
『北欧流小さくて最強の組織づくり』を参考にし、北欧企業と日本企業の違いにフォーカスしながら、生産性を高め、そして幸せになる秘訣について言及していきたい。
肩書を減らすと業績が急改善する 北欧流小さくて最強の組織づくり (講談社+α新書)
- 作者:可兒 鈴一郎,オッレ・ヘドクヴィスト
- 発売日: 2018/11/22
- メディア: 新書
北欧企業人がもつ最も重要なスキルは「異文化適応力」。
「異文化適応力」とは、自分とは異なる文化的な背景を持つ人と、うまく付き合っていくための力。シンプルに聞こえるが、時には相手の文化を許容し、時には自分の持つ文化と融合させながら、円滑にコミュニケーションをとるというそのバランス感覚は、実は非常に高度なスキルだといえる。
このスキルこそが、組織は小さくとも様々な国でグローバルに展開する<IKEA>や<H&M>などの有名企業を生み出している理由だ。
なぜ、北欧諸国は「異文化適応力」が高いのか?
歴史背景として、1000年以上前から北欧諸国にが海賊文化があった。
小さなボートで世界の海を縦横無尽に駆け巡った海賊の気風を受け継ぐ彼らは、文化背景の異なる人々と付き合うための条件をその歴史の中で身につけてきたのだ。
一方、日本は古来より大陸から伝わってくる文化を取り入れながら、自分たちで独自の文化を作り上げてきた。つまり、それは「異文化吸収力」といえる。
「異文化適応力」を支える3つの性質。
では、「異文化適応力」とはどのような要素から成り立ちになっているのかを考えてみたい。
・「柔軟性」
自分の尺度だけで物事をとらえないフレキシビリティを持っている。
そのため、過去の経験や既成概念にとらわれたワンパターンな発想や行動はしない。
IKEAでは長期計画よりも短期計画が重視されるという傾向がある。
これは、自分たちの考えや価値観を顧客に押し付けるのではなく、国ごとの顧客の要望に応じて、自分たちが大切にしている価値観は守りながらも、変えるべきところはスピーディーかつ柔軟に変えていく。という姿勢からも見られる。
一方、日本企業のグローバル展開においては、長期的な計画と大きな投資から生まれる「文化の押し付け」をした結果、現地のニーズに合致しないまま柔軟に対応できず、撤退を強いられるというケースが多い。
・「自己調整」
自分の中での、「積極性」と「自己監視性」の2面性を持っているということ。
日本では、自己主張をすることは「出る杭は打たれる」という言葉のように、積極性に対してある意味のリスクをはらんでいる。しかし、北欧諸国では、コミュニケーションの中において「主張なしには認められない」という文化が根付いている。
一方で、自己監視性も併せて持ち合わせているという点が、他の諸外国と異なる点だと思う。「自分がこの場で無理な主張をしたら相手に迷惑になるかもしない」等の「相手にどう見られているか」を意識して自己の行動を調整することができる能力が自己監視の視点である。
また、自己監視力を高い人は、あえて自分の欠点や弱みをさらけ出しながら、相手にフィードバックを求めて話を進めていくというテクニックも持っている。
・「安定度」
安定度とは、環境の変化や、関係性の揺らぎなど、個人や組織として不安定になりがちな場面においても、動じないという点である。
これは、会社組織また家族等の集団が大切にしている価値観を個々人が共有できているからだ。どんな場面でも、その価値観にしたがって行動することで、安定感が生まれる。
それゆえ、北欧諸国の組織では階級の数は少なく、よりフラットな体制となり、積極的な権限移譲が行われている。
具体業務を指揮命令する日本の統治型の組織と大きく異なるのだ。
まとめ・日本企業に勤める僕らは何を取り入れるべきか?
これまで、一部の製造業を除き、日本国内を中心にガラパゴス的にビジネスを行っていた僕らが勤める日本企業がいきなり「異文化との適応」と声を上げて、積極的に海外に出ていくのは、もちろん大切な姿勢ではあるが、残念ながら現実的には難しい。
北欧諸国の企業から見習うべきは、「柔よく剛を制す」そのバランス感覚だろう。
社内でのミーティングでは、どんな意見であれ一度受け入れて自分なり咀嚼する柔軟性。
取引先との交渉では、両者の立場を踏まえながらも、言うべき主張はしっかりと伝える2面性。
部下とのコミュニケーションでは、自分たちが大切にしていかなければいけない価値観の共有に最も時間を使う。
などなど、まずは日々の仕事の中で「北欧流」を浸透させていきたい。