「個の時代」
この言葉が流行し、ますます個人というメディアを媒介して活躍する人々が増加しています。
しかし、この「個の時代」は20年も前からコンサルティングファームのマッキンゼーで、超有名な「7S」というフレームワークを提唱したトム・ピーターズ氏が予言していたのです。
その書籍が、『トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦<1> ブランド人になれ!』です。この本は、出版が20年前にも関わらず、いま現在その内容を読み返しても、とても新鮮に受け入れることができます。
アメリカと比べ、日本の働き方のシフトがいかに遅れていたか、ということも改めて考えさせられる一冊です。
トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈1〉ブランド人になれ!
- 作者:トム・ピーターズ
- 発売日: 2000/03/01
- メディア: 単行本
目次
その中でも、特に「個人で働く」ということにおいて普遍的に重要だと感じられたポイントを3つに絞ってご紹介したいと思います。
①一点集中
「何か1つのコトに特化せよ」
浅く広く、いろいろなところに手を出しすぎるのは禁物です。
なぜなら、そのような分野はすでに企業に網羅されつくされてしまっているからです。
個人として、何かしらの需要を掘り起こしたいと思ったら、とことん狭く深いマニアックな世界を探求していくことが、遠回りに思えますが、実は最大の近道です。
そのマニアックな世界で、一定のポジションを築くことが、個人として稼ぐことのスタートラインです。まず、特定の人に情報やサービスを届けることができるパイプをつくったあと、そこから多方面の分野にも派生させていくことで、拡散と多角化を期待できます。
世界の有名ブランドも初めは1つの製品からのスタートで、そこから多角化していきました。
②相手への伝え方
「自分自身の売りやキャラクターを表現せよ」
自分の発信する内容が、どんな相手に対してどんなメリットがあるのか、ということを自分が理解して、相手に届けるということが重要です。
コンテンツのターゲティングです。
社会人向けのコンテンツを、低年齢層のプラットフォームに投げ込んでも意味はありません。
また、一口に社会人向けと言っても、年齢・職業・趣味などさまざまな切り口が考えられます。細分化した時に、自分の発信コンテンツはどこの最小単位に紐づくものなのかということを理解しなければいけません。
また、次の段階で大切になってくるのは、相手からの共感を得るための距離感です。
距離感が遠いとどうしても共感にはつながりません。つまり、ファンや顧客になってもらえないということです。
距離感を詰めるために、必要なことはキャラクターの設定です。
初めにターゲティングした戦場で、どんな立ち位置で戦うのか。ということです。
立ち位置はこんなパーソナリティから生まれます。
- 自分の経験や経歴
- 自分のライフスタイル
- 自分の考えや思想
③コミュニティへの忠誠心
これまでの企業が圧倒的な勝者であり、企業に勤めることで一生安泰が約束されていた社会では、従業員の企業への忠誠心は絶大でしたし、そうしていれば救われるという信仰すらありました。
しかし、そのような従業員から企業に冠をとってしまった時、残るものは何でしょう?
例えば、大企業の〇〇商事の肩書がなくなった時、これまで築いてきた人脈は十分に生かされるでしょうか?
答えはノーだと思います。
では、個人としてのアイデンティティを確立しながら働いていく上で、信じるべきものは何なんでしょうか?
それはコミュニティへの忠誠心です。
ここでいうコミュニティとは、プロジェクトごとに集合や解散を繰り返す個人の集団といったイメージです。
信頼できるコミュニティに属して忠誠心を高めることが、仕事を失うリスクを減少させることだけでなく、スキルや経験のアップデートにもつながるのです。
まとめ
- 1つのことを極めて、拡散と多角化を狙う。
- ターゲットを決めて、自分の立ち位置を確立する。
- 組織ではなく、コミュニティへの忠誠心を高める。