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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

【書評】『アンガーマネジメント超入門』から学ぶ怒りとの向き合い方。

 

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自分の怒りをコントロールする重要性 

マネージャーという立場で仕事をしていると、何気ない一言が部下の心理に大きな影響を与え、そして良くも悪くも職場全体の空気にも表れてきます。

 

特に「怒り」の感情は刺激が強く、短期的な成果が必要な場面では即効性があることも事実です。しかし、それによる副作用もあります。

 

副作用による最も顕著な例が、パワハラとして訴えられてしまうケースです。

 

2020年6月からは、「パワハラ防止法」が施行され、社会的な視線も強まっています。

 

改正労働施策総合推進法の通称です。 パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が、企業にはじめて義務付けられました。 2019年5月、改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が成立しました。 改正法は、大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されます。

 

パワハラ防止法により、企業(事業主)は職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが義務となります。加えて、適切な措置を講じていない場合には是正指導の対象となります。

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今後、マネジメント層にとっては、自分の感情をコントロールしながらも、達成すべき目標に向けてチームを引っ張っていかなければならない、というより高度なスキルが求められます。

 

その為に必要なこととして、アンガーマネジメントと呼ばれる「自分の怒りをコントロールする為のマネジメント手法」を学ぶことが注目を集めています。

 

今回の記事では、『アンガーマネジメント超入門-怒りが消える心のトレーニング』を参考にしながら、怒りとの向き合いかつ仕事を円滑に進めていく方法について考察していきたいと思います。

 

 

人はなぜ怒ってしまうのか?

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アンガーマネジメントにおける重要な概念の1つに「コアビリーフ」というものがあります。

 

これは、個人それぞれが持つ「〇〇するべきではない」という固定概念のことを指します。

 

例えば、

・若手社員は先輩より遅く出社すべきではない。

・マネージャーは実務作業をやるべきではない。

 

など、過去の経験や指導されてきたことに照らし合わせて、自分の中で「当たり前」になっている「信条」のことを「コアビリーフ」と呼ぶことができます。

 

実は、怒りとはこの「自分が当たり前だと思っていること」と「相手の発言や行動」にギャップがある時ほど、沸きやすいのです。

 

つまり、自分の中で核となる考え方を持つこと自体はもちろん大切なのですが、それが行き過ぎることで、怒りにつながってしまうのです。

 

ここで大切なことは、自分の「コアビリーフ」は何か?ということを振り返り、それが今の社会や周囲の人と関わっていく中で、「本当に正しいことなのか?」と考えることだと思います。

 

自分を客観視する為の3つの方法

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では、「本当に正しいことは何なのか?」という問いに対して、僕らはどのように考えれば良いのでしょうか。

 

その答えは、「自分を客観視する」ということです。

 

本書の中でも、自分を客観視する為の方法がいくつか紹介されていますが、その中でも3つのポイントに絞ってご紹介したいと思います。

 

1.会話の中で「6秒」の間を置く。

例えば、部下と会話していて自分に感情に違和感が生じた場面があったとします。この場合、すぐに思った言葉を発するのではなく、「6秒」間をおくということが大切です。

 

なぜなら、この「6秒」という間が、思考を感情的なものから論理的なものへシフトさせてくれるのに、適切な時間だからです。

 

この時間を通じて、怒りは抑えると同時に、「なぜ?彼・彼女はそのように考えるのか?」ということを第3者的な目線で捉えることができるのです。

 

2.自分の動作を実況してみる。

実況というのは、自分の思い込みや感情に関係なく、自分の行動や発言をありのままに言葉にする行為です。

 

これをやってみることで、自分の考えていることと実際にやっているや言っていることのギャップを発見することができます。

 

また、自分の感情に引きずられることなく、次にすべきアクションにすぐに気持ちを切り替えることができるという効果も期待できます。

 

3.「タイムアウト」で立て直しの時間をつくる。

スポーツの試合でも、「タイムアウト」というルールが設定されている競技は多いです。「タイムアウト」を挟むことで、試合の流れが大きく変わることもよくあるように、仕事においても、最前線から少し距離を置くことが、課題解決の近道になる場合もあります。

 

クールダウンやリラックスした状態で、物事を捉えることで客観的な視点を得ることができると言えます。

 

上手に怒るための3つのテクニック。

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ここまで「客観的視点」を持つことの重要性に触れてきましたが、ここからはさらに、その視点から得られたことを部下とのコミュニケーションにどう伝えていくべきか?ということについて考えてきたいと思います。

 

こちらも本書から抜粋して3つのポイントをお伝えしたいと思います。

 

1.事実と人間性を分けて伝える。

コミュニケーションにおける論点は、事実と人間性の2つの分けることができます。

 

事実とは、

  • 事実
  • 行動
  • 結果

 

人間性とは、

  • 性格
  • 能力
  • 人格

 

ここから言えることは、事実とは今後の改善が見込めること、人間性とはそれとは逆で変えることができないものです。

 

感情的になると、人は変えることができない「人間性」に着目してしまいがちですが、変えることができる「事実」に目を向けるというというのが大切なポイントです。

 

2.程度言葉を使わない

程度言葉とは、「ちゃんと」「しっかり」「きちんと」などのアバウトな表現の言葉を指します。これらの言葉は割と便利なので、多用しがちですが、これらは全く相手の立場に立っていない独りよがりな表現とも言えます。

 

例えば、「しっかり」という言葉一つとっても、自分の思っている「しっかり」と相手が思う「しっかり」の基準はあいまいです。

 

どこまでが、「しっかり」なのか?という相手目線の基準を持つことが、お互いが感情的にならない円滑なミュニケーションにつながります。

 

3.原因より未来の対策を聴く

物事の原因を探る過去にフォーカスした「なぜ?」という言葉は、無意志のうちに相手にとってプレッシャーを与えてしまいます。

 

相手が緊張状態になっているコミュニケーションでは、建設的なものは生まれません。

 

逆に過去ではなく、未来にフォーカスする「どうすればできるか?」という言葉を使うこで、お互いにとって有益な内容にすることができます。

 

まとめ

自分のマメジメントの姿勢を振り返ると、怒りに任せて物事を強引に推し進めるということは少ないように感じました。

 

しかし、自分本位の考え方を部下に押し付けようとしてしまっている部分は、冷静に考えているように見せかけた感情的行為なのではないか?という反省もありました。

 

常に冷静でいるのは難しいかもしれません。

 

そんな時こそ、「自分のコアビリーフは何か?」というアンガーマネジメントの本質に立ち返って、客観的に自分を捉えることの大切さを改めて感じました。