日本とドイツは似ている?
意外と知られていませんが、日本とドイツにはいくつもの共通点があります。
「国土面積」、「GDP」、「第二次大戦敗戦からの経済復興を経験」です。
しかし、お互いのGDPを上げ経済復興をしてきたアプローチには大きな違いがあります。それは、一人当たりの生産性です。
日本よりも4千万人も総人口の少ないドイツですが、日本よりも1.5倍も高い生産性を武器に、日本とほとんど変わらないGDPの値となっているのです。
引用:『仕事の「生産性」はドイツ人に学べ』
大人数だけど不器用な日本人と、少人数だけど要領の良いドイツ人この違いはどこにあるのでしょうか?
目次
日本人とドイツ人の決定的な価値観の違い
結論からお伝えすると、「人生における幸福」の判断軸です。
日本人の幸せ⇒有名大学への入学、大企業への入社、出世、役職に就くこと、
これらはすべて、「他人からの評価」が軸となっています。
価値観が多様になったといわれる現在でも、社会的な評価はまだまだ上記のような地位や名誉が基準になっているように思います。
ドイツ人の幸せ⇒自分が楽しむ時間がある、家族と過ごす時間がある、自己実現できている
これらはすべて、「自分自身の評価」が軸となっています。
他人の評価を求めて振り回される日本人に対し、ドイツ人は自分自身がどうありたいかということを求めています。仕事は人生における一部でしかなく、どちらかというとプライベートを重視する傾向があります。
価値観の違いが生まれる背景
「犬と子供の教育はドイツ人に任せろ」ということわざがあります。
ドイツ人は幼少のころから、自主性を重んじる教育を受けて育っています。
何か悪さをした時でも、「なぜそんなことをしたの?」「どうしてそれをしてはいけないの?」という形で、叱るのではなく諭すような育て方をします。
これは、日本においても、部下や後輩の育成についても転用できる教育の仕方ではないかと思います。
また、就職の仕方を見ても、日本では新卒一括採用をして組織に属するような形態です。
一方、ドイツでは10歳の時点で職能を選択して、そこで選択したスキルを中心としてキャリアを形成していくという個人の独立性の強い形態となっています。
ドイツ人に学ぶ3つのコト
【意識】
仕事に対する観念
仕事は人生における一部という意識が強く、非常に客観的に捉えていると言えます。
「私にとっての仕事」と「あなたにとっての仕事」の意味合いは異なる。
という理解があるのです。
例えば、育児勤務者が職場にいても「私たちはこんなに頑張っているのに、あの人ばかり早く帰ってずるい。」などの意見はでないのです。
それよって、柔軟な勤務形態が可能となり、仕事のムダが省かれています。
仕事の自由度
仕事における判断裁量が大きく与えられています。
逐一、上司の承認を得ないと仕事が進められない日本と異なり、下級者であっても多くの仕事を「自分が正しい」と思うことの判断基準に従い、どんどん遂行していきます。
それは、上司が持つ責任に対する許容度の違いだと僕は思います。
- 日本の上司⇒部下が勝手に判断してミスをしたら自分の評価が落ちる。
- ドイツの上司⇒部下に判断を委ね、ミスがあったら自分が責任を取る。
仕組みの重視
「少子化」「環境問題」過去にドイツもこれらに直面していました。
しかし、現在では出生率の向上や、リサイクルの促進が大きく進んでいます。
それは、仕組み化の力です。
国の問題点と政府の方針が決まると、時間とお金を惜しまず彼らが注力するのは仕組み化です。すぐに仕組みをつくって導入していく中での修正サイクルも、高回転でまわしていくことで、問題解決を図っていきます。
【コミュニケーション】
質より量のコミュニケーション
彼らは、上下関係や年齢も関係なくあいさつと、ちょっとしたことでも会話を交わす、という中身よりも多くの頻度を重ねることによるコミュニケーションで互いの親近感を深めています。
あいまいな言葉を使わないコミュニケーション
日本人は仕事の場面でも、相手に気を使って(本当は明日まで資料が欲しいけど…)「なるはやでお願い!」という具体性に欠けた表現をしまったりします。
しかし、ドイツ人はどんなことでも、具体的にはっきりと伝えることで、円滑に仕事を進めています。
質問はタダの意識
とにかくわからないことは聞きまくる。
知らないことを恥ずかしいと思わない。わかった気にならない。というスタンスが、微妙なコミュニケーションにおける齟齬をなくしています。
【ライフスタイル】
家族ファースト
社会の最小単位である「家族」を大切にするという意識がドイツでは非常に強いです。
これは、家庭環境の充実=仕事の充実として、結び付けられて考えられているからにほかなりません。
休暇ファースト
ドイツ人は衣食住にバランスをかけお金を使うというよりは、「住」とバカンスにおいて、大きく投資をかけます。そのぐらい、年間合計6週間程取得する休暇は大切にしています。
ミニマリスト精神
ドイツ人は、バカンスは大いに楽しむ一方で、普段の生活は非常に質素で、晩御飯も冷えたハムとソーセージとチーズだけで済ませたり、洋服もシンプルで派手なものを好まず、持ち物も多くはもたないというミニマリスト的な一面を見せます。
日本人にとっての学び
「幸せ」の再定義
他人からの評価を気にしすぎるのではなく、自分自身にとって何が一番の幸せで、その為に日々大切にていかなければいけないことは何か?ということを、改めて考えさせられます。
独立性を重要さ
自分の幸せを追求するには、日本で多く見られる同調圧力に負けない独立性を合わせ持っておくことが、これからの幸せの手に入れる第一歩だと感じます。