なぜ、人は同じことを繰り返すのか?
人間は、何回も同じことを繰り返します。
身近な例でいえば、
・洋服
ファッションのトレンドでは、タイトなシルエットが流行ったり、ルーズなシルエットが流行ったりを繰り返しています。
・会社
働き方についても、現場主義になったり、スタッフ主義になったり、何度も方針を変えては戻しての繰り返しです。
・人類
何度も痛い目を見て反省しているはずなのに、戦争や争いを繰り返します。
なぜ、そのようなことになってしまうのでしょうか。
この答えの一つとして、「飽きる」という人間の特性があります。
「飽きる」ということを紐解くと、そもそもは人間が遺伝子保護の為に、本能的に脳にインプットされた特性であることが知られています。
これは次のような事例からも説明できます。
・情熱的な恋愛も時が経つことで冷めてしまう。
⇒より多くの子孫を繁栄させるという本能に従うため。
・定住している場所から離れてなんとなく旅に出たくなる。
⇒いつかくるかもしれない環境変化や災害から生き延びようとする本能に従うため。
このような現象をもとに、「飽きる」周期を分析することで、大衆の動きを読み取れるのではないか?という研究も進んでいます。
『なぜ、人は7年で飽きるのか』の著者でもある黒川伊保子氏は、「7」という数字に着目して、大衆トレンドについて独自の見解を示しています。
- 作者:黒川 伊保子 / 岡田 耕一
- 発売日: 2007/05/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
これからの未来のトレンドに対して予測を持っておくことは、ビジネスパーソンはもちろん、教育や投資、その他の様々な分野でのチャレンジのヒントになるはずです。
今回は、黒川氏の書籍を参考にしながら、大衆トレンドへの理解を深めていきたいと思います。
目次
「7」というマジックナンバー
黒川氏が「7」という数字に着目する理由は、認知科学に基づいています。
実は、人間が短期記憶できる最大数というのが「7」であるといわれています。
その根拠として、人類の営みを支配しているものは、ほとんど「7」の数字で縛られているのです。
- 1週間は7日⇒地球の自転を7カウントで1週間とされている。
- 人間の免疫の変化は7年周期。
- 人間の骨髄液は7年ですべて入れ替わる。
そして、黒川氏が生体の感受性の変化として挙げている「7年」は、地球の公転の一周分とほとんど同じなのです。
7年周期で変わる感受性の変化
感受性の性質をざっくり分けると、「アナログ」と「デジタル」という2つの切り口で分解することができます。
では、それぞれの特徴を見ていきます。
アナログ期
- 多様性
- 共感、共有
- 人間性
デジタル期
- 論理性
- 合理性
- 競争意識
このアナログとデジタルは、28年のスパンで大きく変化を迎えるといいます。
つまり、28年のうち、それぞれ最初の7年では徐々に盛り上がりをはじめ、次の7年で絶頂を向かっていき、その次の7年で絶頂から徐々に下降を始めます。
最後の7年は、完全に停滞し次の流れに入っていくのです。
アナログ期とデジタル期で読み解くイマとミライ
以下の図のような形で説明が可能です。
<デジタル期>1971~1999
世界や日本の経済は、バブル崩壊もありながらも大きく成長しました。
その背景には、合理性に基づく「モノ」の大量生産と大量商品があり、熾烈な経済競争が繰り広げられました。
<アナログ期>1999~2027
合理性の結果、「モノ」があふれ消費することに飽きた人々は、コトによる共感や共有など、よりソフトでアナログ的な部分に魅力を感じるようになってきました。
それは、現在でも続いていて、人々は承認欲求や自己実現の願望などを抱いています。
<デジタル期>2027~2055
これは、僕の勝手な予想でしかありませんが、多くの人が、承認欲求や自己実現の達成が可能な時代となる一方、それに対しても飽きが出てくると予想します。
また、この時代には人の感情や気分など、そのような目に見えない部分まですべてのことがデータ化され、それにより新たなデジタル競争が過熱していくのでは、と思います。
考察
「飽きる」という観点から大衆トレンドの周期について解説しましたが、どんな偉大な研究者も、未来を予知するということは不可能だと思います。
しかし、そのような周期の存在を認知しながら、日々の微妙な変化を捉えていく。
という点については、誰でも意識さえすればできることです。
そして、先見の明を持って、アクションを起こせる人はそのような人だと思います。
僕もまだまだですが、現状を捉える力、そして変化に対するアンテナを貼ること、それを大事にしていきたいと感じています。