会社では、地味で目立たない存在の僕。
学生時代から友達も少ない、いわゆる陰キャでした。
会社でも、学校でも目立つタイプの人が、周囲の輪の中心で活躍しています。
学校の場合は、クラスの端にいても、勉強さえがんばっていれば何とか乗り切っていくことができました。(肩身の狭い思いは何度もしましたが…)
しかし、会社の場合はそういうわけにはいきません。
特に、僕の場合は文系かつ営業系の職種です。
昇進し、給料を上げていくためには、チームプレイで周りの人を巻き込みながら成果を残さなくてはいけないのです。つまり、リーダーシップです。
もちろん、適正に合わない仕事を続けるより、さっさと転職して、楽な環境でぬくぬく仕事をするという選択もできます。
でも、僕が今の会社に入った理由の1つは、「自分を変えたい」という目的もありました。
だから転職はせず、初めは自分の性格を捻じ曲げてでも、リーダーシップを発揮しようと空回りしていました。当然、結果は出ませんでした。
しかし、ある本を読んだコトがきっかけで、性格は変えなくても、目立たたなくても、リーダーシップは発揮できるという事実を知りました。
そんな僕の背中を押してくれたのが、ハーバードビジネススクールから出版の『静かなリーダーシップ』という1冊です。
静かなリーダーシップ (Harvard Business School Press)
- 作者:ジョセフ・L. バダラッコ
- 発売日: 2002/09/07
- メディア: 単行本
ハーバードビジネススクールは、世界で最も権威のあるビジネススクールです。
目次
リーダーの在り方
世の中のリーダーについて、その定義は2種類に分類されます。
- 大胆で勇気ある行動をとってヒーローのように目立つリーダー。
⇒トップダウン型
- 人目につかない小さな行動を地道に行う静かなリーダー。
⇒ボトムアップ型
そして、本書では①のリーダーを以下のようにバッサリと否定しています。
「小さな行いの積み重ねが深い海洋なら、
大衆に認められる行動は、その海洋に浮かぶ波の泡のようなものである。」
その理由としては、社会の変化によって①型のリーダーの限界がきているというのです。
これまでの社会では、会社が目指す目標は極めて具体的でシンプルなものでした。
- 〇〇という製品の品質で世界トップを目指す。
- 〇〇というサービスを日本に導入し拡大する。
このような目標達成においては、目立つリーダーが山頂からビジョンを掲げて大号令をかけることで、集団を率いて成功を収めてきました。
しかし、分散化した社会においては、単一の商品やサービスだけでは、大きな需要は見込めません。
複数の製品でポートフォリオを形成したり、製品とサービスを組み合わせたり、分散化して複雑になっていっていることは間違いありません。
そのような状況では、トップダウン型リーダーシップの効力は、一気に衰えるのです。
その一方で、ボトムアップ型の静かなリーダーシップが、注目をされているという訳です。
静かなリーダーシップに必要な3つの資質。
自制心
子供の頃から授業でも真っ先に手を挙げて積極的に意見を言うようなタイプの子だけが、将来的にリーダーに向いている。と思われがちです。
しかし、これは間違いです。なので、そのようなタイプじゃなかったという人も安心してください。
時として、本能的な判断は、誤解と偏見を生む場合があるのです。
複雑化していく社会の難問を解決するためには、自制心を持って、
「本当に自分の発言は正しいのか?」と、一度立ち止まって考えてから周囲に意見を伝えていくことが、円滑なコミュニケーションの近道になるのです。
謙遜さ
トップダウン型のリーダーが掲げる「世界を変える!」といった壮大なビジョンを持つことを否定はしません。
しかし、もっと重要なことは謙虚さを持って「自分の役割を果たすこと」です。
リーダーの役割は、会社や組織を発展させるということにあります。
その為に、必要な要因のうち「ビジョン」はその1つです。
他にも、「意思」「計画」「実務能力」などの要因が存在します。
1つの要因だけに傾倒するのは派手さもあり目立ちます。
しかし、謙虚さを持って様々な要因に対してバランスを持って対応していくことが、最終的な結果につながりやすいのです。
粘り強さ
上記で説明した「自制心」や「謙虚さ」について、ここでデメリットを挙げます。
それは、仕事を遂行する上で「時間がかかる」ということです。
トップダウン型のタイプは、短期的な成果であれば、あっという間にこなしてしまいます。
その不利な戦いに、長期的な目線から勝利する為には、「粘り強さ」が欠かせないのです。
静かなリーダーは、ゲリラ戦に持ち込むことで失敗確立を下げていくのです。
静かなリーダーの行動3つのステップ。
「役割の遂行」という長期のゲリラ戦を巧妙にこなしていく為に、静かなリーダーは虎視眈々とスモールステップを踏んでいきます。
味方を増やす
「指示」「命令」ではなく「共感」「共有」によって、自分に従う兵隊をつくるのではなく、自分を理解してくれる協力者を増やします。
会社の場合:自分の部署内での協力者を増やす。
行動範囲を広げる
自分ひとりだとリスクのある分野。どこに地雷が埋まっているかわからない地雷原にも、協力者を増やすことで少しずつ歩みを始めます。
会社の場合:社外や他部署との関わりを持つ。
賢い影響力を活用する
協力者の増加と、行動範囲の拡大から得られるものは、影響力です。
しかし、すぐに自分の持つ影響力を行使することは失敗につながります。
ここぞ、というタイミングを見計らって賢く発動することで、リーダーの権威性は維持されます。
会社の場合:関係性というリソースを使って、プロジェクトを実行する。
考察
今回紹介した「陽キャ」的なトップダウン型リーダーと、「陰キャ」的なボトムアップ型リーダーシップは次のような対比ができると感じました。
後者のほうが、かっこよくないですか?僕はそう思います。
ただし、「陰キャ」といっても日々の地道な行動は必要です。
目立たないけど、小さな日々の積み重ねを粘り強く続けることを忘れてはいけないと思います。