【企業分析】「BASE」から学ぶコロナ禍の成功マーケティング【ネットショップ】
コロナウィルスの拡大によって、世界のビジネスの二極化は一気に加速しました。
新しい生活様式への「対応力」が、株価や業績にも大きく影響しています。
「ひふみ投信」を手掛けるレオス・キャピタルワークス社長・最高投資責任者の藤野英人氏は、今後投資を増やしていくターゲットについて、コロナショックに関わらず「いい経営」をしている会社。と東洋経済のインタビューで語っています。
この藤野氏の語る「いい経営」とは、元々新しいカタチのビジネスモデルを目指していた企業が、たまたまコロナのタイミングでもうまく対応できた。という解釈ができます。
代表的なのは、世界を席巻するGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)で、いずれの企業もコロナ禍において、依然としてその存在感を強めています。
そして、日本国内においても、コロナを機に大きくプラスの転換を遂げた企業があります。その1つが、今回ご紹介するBASEです。
BASEとは?
「BASE」は誰でも簡単にネットショップが作成できるサービスです。
導入が簡単な決済機能(BASEかんたん決済)やショップのHPデザイン、解析ツールなど、ネットショップの運営に必要な機能を備えており、費用やWeb技術、時間などのさまざまな理由でこれまでネットショップをはじめることが困難だった方も、すぐにネットショップをはじめることができます。引用:「BASE」
2020年12月期第2四半期(2020年1月1日〜2020年6月30日)の決算発表では、売上高は36億8100万円(前年同期比118.2%)、営業利益は6億1200万円の黒字(前年同期は1億3567万円の赤字)、経常利益は6億1300万円の黒字(前年同期は1億3567万円の赤字)で、親会社株主に帰属する四半期純利益は5億300万円の黒字(前年同期は1億3600万円の赤字)を計上しました。引用:FASHIONSNAP
また、それに伴い時価総額も前期比464%と大幅な成長を遂げています。
この理由は、コロナショックにおける新規オーナーと増加と、これまで1ケタだった食品カテゴリのシェアが2ケタまで増加したことが挙げられます。
つまり、プラットフォーム自体が、ファッションや雑貨を中心としたものから、より総合的な形に進化したと言えます。
「BASE」の経営フレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「ビジネスモデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
ターゲット
「個人から中小規模のモノを売りたい人」
ネットショップを開設するためには専門知識が必要であったり、様々なコストがかかってしまうため、開設を諦めてしまう人が非常に多いという業界の課題がありました。しかし「BASE」は「お母さんも使える」をコンセプトとしており、テクノロジーによってネットショップを開設・運営するためのあらゆるハードルを取り除くサービスを通じて、今までネットショップの開設を諦めていた人でも気軽に挑戦できる環境を提供されています。
バリュー
誰もがショップオーナーとなり価値を提供できる世界の実現
「BASE」の潜在顧客は、日本全国のすべての人々とも言い換えることができます。
それぞれの個人が持つ可能性をネットショップという仕組みを通じて、より多くの人に付加価値として届けるという役割こそ、本質的な価値だと言えます。
ケイパビリティ
ノーコード
「誰にでも簡単に」というサービスのキャッチフレーズの通り、コーディングの技術を持たなくても、既定のフォーマットを利用することで、デザイン設計を行うことができます。
運営支援
運営に関しても、個人のショップオーナーに完全にお任せではなく、以下のようなサポートを通してBASEが入り込むことで、他のネットショップサービスとは差別化を図っています。
- ノウハウサポート
- ブランディング
- チャットサポート
即日支払い
BASEの強みの一つとして「売上金」の引き出しのスピード感が挙げられます。
この点は、コロナ禍でキャッシュフローが鈍化傾向にあった業者に対して大きな支援策にもなりました。
BASE代表の鶴岡氏は以下のように語ります。
売上金が翌日に引き出せる「お急ぎ振込」の反響が大きいです。もともと振込申請額の1.5%をお急ぎ振込の手数料としていただいていたのですが、2020年4月1日から、その手数料を無料にさせていただいています。
デフォルトでも「10営業日で売上金が引き出せる」としていて、業界内では比較的早いほうでした。「すごく助かる」とお声をいただいていて、いかに小規模なショップにとってキャッシュフローが大切か痛感していたので、改めて今回対応しています。
ビジネスモデル
「サービス利用料+決済手数料」
BASEの収益モデルは顧客が商品購入時に発生するサービス利用料+決済手数料となっているため、顧客の商品の総購入金額を上げるほど、BASEにも売上が入る仕組みです。
また、固定のサービス利用料はなく、あくまで売上発生時の料金の発生という仕組みは、「ストア.JP」などの競合サービスと比較しても優位性があると言えます。
まとめ
リアル店舗でビジネスを行う業界にいる僕にとっては、このようなネットショップの拡大は大きな脅威です。
必要な考え方は、リアルに固執して活路を見出すのではなく、いかにしてオンラインと組み合わせることができるか?ということだと感じています。
競合と考えるか?パートナーと考えるか?
自分自身のマインドセットの転換が求められていると感じます。