【企業分析】KARTEから学ぶ新時代の顧客分析ビジネスモデル
【企業分析】KARTEから学ぶ新時代の顧客分析ビジネスモデル
コロナ以降、僕が務めているようなリアル店舗で商売を行っているビジネスでは、客数のマイナストレンドが止まりません。
これまでリアル店舗優位だと考えられていた、「顧客コミュニケーションや観察による定性分析」も、岐路に立っていると言えます。
マーケットの主戦場がオンラインに移行していく中で、顧客分析もよりリアルに近い高度な分析ツールの開発が進んでいます。
その中でも、独自のポジションを築いているプレイドが運営する「KARTE」というサービスにフォーカスして、その新しい顧客分析ツールを提供するビジネスモデルについて紐解いていきたいと思います。
KARTEとは?
マーケティングツールであるKARTEは、ECサイトなどで、顧客が何回そこに訪れたか、何を購入したのかといったデータに加え、購入の意志決定に至る前の顧客行動に関するサイト内外のデータまで含めて分析ができる。「人に結びつくすべてのデータを人軸で管理」し、「顧客がサイト上にいるときからリアルタイムでデータが浮かび上がってくる環境」を提供しているのが特徴のサービス。
「KARTE」のビジネスフレームワーク分析
- 「ターゲット」⇒顧客
- 「バリュー」⇒提供価値
- 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
- 「ビジネスモデル」⇒プロフィット
この4つの切り口から分析を行っていきます。
ターゲット
KARTEの利用者はECサイトが約半数、残りは人材、不動産、金融、BtoB系クラウドサービスなどです。
ECサイトのなかではアパレル系が多くを占めています。
アパレル業界ではアプリの重要性が高まっており、ポイントカード代わりにアプリを使う流れが増えてきているという背景があります。
「購入に至らなかった人を含めて、エンゲージメント、ロイヤルティをどう上げていくか」
このような課題に対して、ECサイトとリアル店舗との連携を進めるべく、最近ではポイント連携、在庫連携などを目的とした基盤ツールとしてKARTEを活用する動きも出てきています。
バリュー
「データによって人の価値を最大化する」
「あらゆる顧客接点がデジタル化していく中、人にフォーカスすることが今後の競争力の源泉になると考えています。
データを活用し消費者を徹底的に可視化することで、サービスを生み出す「人」の能力を引き出し、その先の体験価値が高まります。自動化ツールの隆盛のなかで、人間らしさ、人間臭い体験の価値は必ず高まると考えており、その先に、人の介在により持続的な感動を生み出せる未来を目指します。」
ケイパビリティ
「顧客の見える化」
KARTEはウェブではなかなか見えづらい顧客を徹底的に見える化することで、マーケティングを本来あるべき顧客視点に戻そう、という考え方が根底にあります。
実店舗ビジネス、特に接客の現場では当たり前のことをウェブに持ち込むという考え方です。導入する企業や利用を示す流通総額、解析ユーザー数が伸びているのは、そこが共感を得ている部分があります。
様々なアップデートの中で、リアルタイムなユーザー行動の可視化の精度は上がっており、例えば「スコア」という機能では、ユーザーの体験を計測し、満足や不満足といった体験を可視化することで対応すべき顧客をあぶり出すという分析も可能です。
これまでもタイムライン状態で訪問してきたユーザーを1UUずつ解析し可視化していましたが、現在では、実際にどのようなサイト動線を辿ったのか、管理者側でミラーリングできる仕組みも導入しています。これによって、ユーザーがいつ、どこで、どのような状況でアクションしたのかを一目で判断することができるのです。
ビジネスモデル
「サブスクリプション」
最適化する対象のサイト・アプリのユーザー数に応じて料金を1年固定で決め、それを月額で徴収するサブスクリプションモデルです。
サイト・アプリあたりの課金額は平均年700万です。
KARTEの強みは、導入企業とともに成長が見込めるという点です。
導入企業のビジネス規模が大きくなればなるほど、課金額は大きくなります。
また、同時に特定の企業と持続的に関係性を構築していくという特性から、新規開拓コストが少なくて済むという側面もあります。
まとめ
KARTEのビジネスモデルを小売業のクライアント目線で見ると、このような精緻な分析により今後マーケットに起こるであろうことは、商品サービスの少量多品種化と消費サイクルの短期化だと思います。
マス向けの大量生産商品は、ますます淘汰され、大企業の1点集中ではなく、中小企業や個店へも需要が分散していくと感じます。
企業の規模に関係なく、1対1の顧客と向き合った提案をしていくことが何より重要な時代に入っていくのだと思います。