seiblog

30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

【企業分析】ウミトロンに学ぶ持続可能社会を実現するビジネスモデル【水産養殖×テクノロジー】

f:id:seiburo:20200530074726j:plain

【企業分析】ウミトロンに学ぶ持続可能社会を実現するビジネスモデル【水産養殖×テクノロジー】

 

SDGsというワードを目にする機会が日増しに増えているに気がします。

 

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標であり、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。

 

17の大きな目標と169のターゲットが存在します。

大きな目標は、3種類に分類できます。

 

  • 貧困や飢餓、健康など開発途上国にまつわる6項目。
  • エネルギーや経済成長など先進国にまつわる6項目。
  • 気候変動や環境保護になど全世界にまつわる5項目。

 

日本国内でも、SDGsの達成に向けて先進的な取り組みをしている企業が多数存在します。

その中でも、個人的に特に注目しているのが、

「ウミトロン」という企業です。

 

 

ウミトロンとは?

f:id:seiburo:20200530075152j:plain

将来的な世界人口の増加を「食」という面からフォーカスした時に、

課題として陸上での家畜資源には限界があると言われています。

 

一方、海というステージに目を向けると、水産物消費量に対してまだ100倍は生産量を伸ばせるポテンシャルがあると言われています。

 

そのポテンシャルに目を付けたのが、ウミトロンです。

 

ウミトロンでは、水産養殖とテクノロジーを掛け合わせて、

水産物の生産量を飛躍的に向上させると同時に、環境問題の解決も包括した取り組みを行っている企業です。

 

社長の藤原氏は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の元エンジニアであり、

水産分野のアーリーステージ投資では、世界でも過去最大級となる規模の資金調達がしています。

 

ウミトロンの経営フレームワーク分析

 

  1. 「ターゲット」⇒顧客
  2. 「バリュー」⇒提供価値
  3. 「ケイパビリティ」⇒リソース・オペレーション
  4. 「収益モデル」⇒プロフィット

 

この4つの切り口から分析を行っていきます。

 

ターゲット

f:id:seiburo:20200530074806j:plain

メインターゲットは、アジア圏の水産養殖業者です。

 

アジアでは昔から魚を食べる習慣があり、全世界の魚の消費の3分の2を占めています。アジアを起点にグローバル展開を狙うといった、ターゲット戦略です。

 

バリュー

f:id:seiburo:20200530075133j:plain

「持続可能な水産養殖を地球に実装する」

というのが、ウミトロンのミッションであると同時に提供価値でもあります。

 

現在の水産養殖業の抱える課題は、大きく2つあります。

 

  • 養殖ノウハウは、1970~90年代に確立されたものがそのまま使われている点。
  • 餌やりの量やタイミングが難しく、食べ残しが環境汚染を招いている点。

 

これらの人的、環境的課題の解決がウミトロンの目指す「持続可能な水産養殖」の姿だと言えます。

 

ケイパビリティ

f:id:seiburo:20200530075104j:plain

ウミトロンの最大のケイパビリティは、

「魚群食欲解析システム」です。

 

このシステムによって可能となるのは、水産養殖業で発生する全体コストの70%を占めると言われる「エサ代」のコスト削減と、一日のうちに何度も沖合まで船でいかなければならない「エサやり」の作業負荷削減です。

 

また、システムによって具体的にできることは以下の3つです。

 

1.魚の遊泳データの自動蓄積

⇒適切な場所でのエサやりを実現。

 

2.リアルタイムでの摂餌状況のスコア化

⇒適切なタイミングでのエサやりを実現。

 

3.スコアに応じた給餌制御

⇒エサ代のコスト削減。

 

収益モデル

f:id:seiburo:20200528193441j:plain

ウミトロンの収益源は、「魚群食欲解析システム」の利用料です。

 

現時点での公開情報が少ないため、実際の利用料金や開発コストなどは不透明ですが、

事業環境や先進性から、将来性のあるビジネスであることは間違いありません。

 

また、本来のターゲットである養殖業者が、単体でウミトロンを使用する際のハードルが高いという資金面でのハードルもあり、クラウドファンディングによる技術提供などの取り組みも行われています。

 

ウミトロンは養殖向けに技術提供することで生産の効率化に取り組むことから始めたのですが、業界を知れば知るほど、既存商流の問題や消費者への認知不足からサプライチェーンの末端にいる生産者にあまりお金が落ちていないという問題を感じるようになりました。

ウミトロンとしても技術提供をしようとするとどうしても、財源のある大手企業が中心となり、こだわりを持って生産に取り組む中小規模の事業者の支援はなかなか難しいというのが実態です。

これからは生育支援に加え、テクノロジーを起点にこだわりを持って育てられた魚について正しく消費者に伝え、生産者にとっても消費者にとってもプラスな仕組みを作っていきたいと思い、クラウドファンディングへの着手に至りました。

(ウミトロンの共同創業者マネジング・ディレクター山田雅彦氏)

  

まとめ

f:id:seiburo:20200530075222j:plain

参照