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30代ビジネスマンの備忘録。 マネジメントやマーケティングに関するビジネススキルや、サウナ、ウィスキー、時計などの趣味について。

自己権利主張の強すぎるワーママ部下に主体的に働いてもらう方法。

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自己権利主張の強すぎるワーママ部下に主体的に働いてもらう方法。

 

職場で一番気を遣うこと。

 

それは育児勤務者の残業です。

 

保育園のお迎えや家庭の食事の支度など、小さな子を持つ母親としての一面も持つ彼女たちにとって時間通りに仕事を終えて帰宅することは、至上命題なのです。

 

しかし、僕の担当する職場では、日々10~20分、時に1時間以上の残業が常習化してしまい、彼女たちの不満はかなり溜まってしまっていました。

 

Yさんの主張

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そんな職場でも特に強い発言権を持っていたのが、元々総合職で働いて育児勤務になったYさんです。

 

彼女からは、現状の労働環境に対する問題点をたくさんもらっていました。

 

「そもそも仕事量に対して従業員が少なすぎる。そして、育児勤務者と非育児勤務者の残業に対する温度感が違いすぎる。」

 

「このような課題が山積している状況の中、「育児勤務だから」という理由で早く帰ることは、他の人たちに仕事を押し付けているようで、気持ちよく仕事も出来ない。」

 

「関係性を保つ為に少しでも残れる時間がある時は、残業をするような配慮をしているが、それが何よりのストレスになっている。」

 

そんな考えを持っていました。

 

その話からは、単純に早く帰ってもらうだけでなく、それが他の人にも負荷を与えない仕組みづくりまでしないといけないという難しさを感じました。

 

根本的な課題は何か?

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僕がこれらの話を聞いていて思ったことは、彼女たちの仕事に対するやらされ感が非常に強いということでした。

 

この「やらされ感」が仕事に対するストレスの正体かもしれないと感じました。

仕事がやらされている「作業」になっているから、仕事を引き継ぐことを「押し付け」のような罪のあることに感じてしまうのではないだろうか。と思います。

 

現場では、脈々と受け継がれてきた暗黙の了解や、明文化されていない慣習に従って仕事が行われています。

 

そして、「過去の上司や先輩たちがやってきたようにやらなければいけない」という前提に縛られて働いていることが、やらされ感につながっているのだろうと思います。

 

しかし、仕事は会社の利益を生み出す為に行われる活動ですから、ある程度の強制はあります。しかし、現場における一つ一つアプローチの仕方は、本人たちに任せるべきだと僕は思っています。

 

Yさんに対してどうすればよいのか?

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僕はYさんに、ワーママのモデルケースになってほしいとお願いしました。

Yさん自身には、理想だと思う働き方を実践してもらう。

その代わり、上司である僕はそれに伴って必要な全体調整や結果については責任を負う。

という内容です。

 

既に仕事が多すぎると嘆いている人に、さらに仕事を与えるのは矛盾しているようにも思えます。

 

しかし、今の職場における問題点を最も切に感じている人が、改革には適していると思ったのです。

 

僕が思っていた以上に、Yさんはすんなりその役割を引き受けてくれてくれました。

 

そして、過去の慣習に従った「やらされ」ではない主体的な仕事の提案をたくさんしてくれたことで、職場の雰囲気も大きく変わりました。

 

具体的には、

1.チーム全員で残業をしない。

⇒僕も協力しながら育児勤務者だけでなく全雇用形態で、定時になったら仕事を終えるということを徹底しました。

 

ムダな残業を許していた時は、「残業している方が偉い」というような空気感が蔓延していましたが、これを「早く帰る方が偉い」という雰囲気を、チーム全体に醸成させました。

 

2.引き継ぎはラインでOK。

⇒これまで引き継ぎは、社内メールか引継ぎノートという古典的なものが使われていましたが、その作業にかなり時間がかかっていたことがわかりました。

 

Yさんから引き継ぎが帰りの電車などでできれば定時で帰れるという提案がありました。

 

そこで、個人情報など漏洩で問題がある情報は入れないというルールのもと、ラインで引き継ぎを残すこともOKにしました。

 

ただし、仕事のラインがプライベートに入りすぎないように、あくまで発信専用。質問は1回まで。という運用で、ホーム画面が仕事のメッセージで埋め尽くされるということがないよう配慮しました。

 

3.ヒアリングや吸い上げ撲滅運動

大きな組織ほどそうなのかもしれませんが、本社部門からのヒアリングや情報の吸い上げのメールがとにかく多い。ということも業務を妨げる一因となっていました。

 

過去の慣習から本社に少しでも回答の返事が遅れると、現場に直接偉そうな催促の電話が入ることが日常茶飯事でした。

 

しかし、労力を割いているにも関わらず、それらのデータが何に使われているかはかなり不明確でした。

 

そこで、Yさんが不要だと思われる過去のヒアリングをリストアップする作業をしてくれ、

僕の上司経由で、残業削減対策として人事に話を入れてもらったところ、本社からのメールが大幅に減少するという快挙がありました。

 

まとめ

過去に縛られずに、現状にアジャストさせた働き方をする。という主体的な働き方の大切さを気づかされた出来事でした。

 

しかし、長期的な目線に立つと、今回Yさんが変えてくれた残業削減の働きも、古いやり方になる日が当然やってきます。

 

それを考えると、常に固定せず、流動的な物事を考え続けていくという思考がますます必要になってくるように感じました。