挨拶ができない部下が意図していること。損していること。
挨拶ができない部下が意図していること。損していること。
「えッ?いたの?」
と思ってしまうほど、いつの間にか出勤していてデスクに座っていて、
「えッ?いたの?」
と思ってしまうほど、いつの間にか退社をしてしまっている。
そんな社歴も中堅の男性部下が僕の元にはいます。
彼は社内でもあまりいないほどの有名大学を卒業していて、非常に頭が良い部下です。
難解な仕事も、理解が早く、すぐにこなしてくれる点は非常に評価しています。
しかし、「挨拶ができない」という彼の唯一で最大の欠点に対しては、僕自身大きな課題感を抱えています。
そのことが起因して、同期よりもキャリアステップが遅れてしまっているという側面もあります。
偏見もあるかもしれませんが、理系の研究・開発職のような仕事に比べ、僕らのような文系の営業職というのは、コミュニケーションによって仕事を切り開いていく場面が多いです。
彼が今の仕事を続けていく上では、コミュニケーションの基礎中の基礎である最低限の「挨拶」くらいは、上司として彼に身につけさせてあげることは自分の仕事であると感じていました。
その中で、頭の良い彼があえて挨拶をしない理由と、そのことによる損失。
そして、今後彼にどう働きかけるべきか?ということについてまとめました。
彼が挨拶をしない理由
あえて仕事の幅を広げたくない
彼の絶対的な信条として「定時出勤退社」という意識があります。
そこからは、自分だけの時間を確保したいという強い意志を感じ取ることができます。
その為には、極力コミュニケーションを減らすことで、徹底的に自分の仕事のペースを管理し、余計な仕事を引き受けないというスタンスを確立しているという部分があります。
周囲のメンバーを下に見ている。
彼は自分の能力が周囲のメンバーより高いことを自負しています。
普通であれば、孤立に近い状態になることは、精神衛生上も良いことだとは思いませんが、それも「自分は圧倒的に能力の高い別世界の人間である」と割り切ってしまうことで、精神の安定を保っているのかもしれません。
仕事を価値のないものだと思っている。
彼にとって仕事とは、与えられた仕事を時間内にこなすだけの作業のように見えてなりません。
彼は、給料をもらうということ以上の価値を仕事からは感じていないように思います。
もちろん、それはそれで一つの考え方で、例えば仕事以外の部分に価値を見出すという生き方も決して否定すべきものではありません。
挨拶をしないで損していること
余計な先入観を持たれてしまう。
彼は職場であまりに一人で淡々と仕事をこなしているため、周囲のメンバーから余計な先入観を持たれてしまっているな、と感じる部分があります。
- なんだか怖そう
- 話かけづらい
- 性格が悪そう
これは、一部で彼自身が意図的に作り上げている印象ではありますが、そうした先入観によって、誰かに頼めばよいような仕事も彼自身が一人で抱えてしまったり、といった非効率が生じていることも事実です。
つまらないミスをしてしまう。
周囲とのコミュニケーションを怠り、自分の能力に任せた仕事を行うことによる落とし穴は意外なところにあります。
それは、「誰もが知っていることを知らない」ということです。
法律や社内規定の改定による業務内容の変更など、普通に仕事をしていれば、当然のように入ってくる情報も、一人だけの世界で仕事をしていると意外と耳に入ってこないことがあります。
そうした時、小さな小石のつまずきで、大けがをしてしまうということが、実際に彼には何度かありました。
仕事のチャンスを逃してしまう。
周囲のメンバーは、彼自身が思っているよりも、彼のポテンシャルや業務能力を知りません。
そのことによって、彼が主体となって行えば成功できたような仕事も、別の人にお鉢が回り中途半端な結果に終わってしまった。という事例がいくつもありました。
このような場合、いくら僕自身が彼を推薦しても、周囲の同意は得られず、やはりそれは彼自身の周囲の関係性の中からしか掴めないものだと感じています。
彼にとって大切なマインド
「挨拶するしない」というのは、非常に手法的な話です。
彼にそれを強要するのは簡単ですが、それでは意味がないと思います。
そうではなく、彼が今後も会社に居続けるのであれば、自身が仕事に対して感じられる価値ややりがいのようなものを、どんな小さなことからでも感じてもらうということが一番だと思います。
「やりたいことは何か?」ということが見つかれば、必然的にコミュニケーションは必要になってきます。そうした、自然発生的に生まれる「挨拶の習慣」を彼の中に根付かせていく為の働きかけを、僕自身も怠ってはいけないと感じています。