大企業において新規プロジェクトが進まない原因と推進のポイント。
「もうやめたい」
会社で新規プロジェクトを担当することになった僕は、その費用対効果に悪さに辟易としていた。
何も考えず、過去の踏襲をしていれば、一切の労力もなく一定の収益は約束されている。自分にとっての業績成績も安泰だ。
しかし、あえて新しいことにチャレンジしたことで、損益分岐点に達するレベルまで持っていくまでに膨大な時間と労力をかけ、一歩踏み誤ったら大赤字にもなりかねないというストレスに晒される毎日。
初めは自分でやりたいと強い願望を持って始めたのに、プロジェクトを進めれば進めるほど増えていく業務と責任にどんどん自分の目が死んでいくのがわかった。
その過程では、僕の属するような大企業ならではの「新しいことを阻む組織構造」がある。
また、同時に組織構造の壁にぶつかり続ける中で、わずかながらの光も見えた。
この記事では、そんな「新規プロジェクト」を担当して感じた闇と光についてまとめてみたいと思う。
新しいことを阻む組織構造
大企業のような成熟してしまった組織の仕事においては、明確に「レギュラー業務」と「イレギュラー業務」という2つの業務が存在する。
当然、そこに配置される人間はレギュラー業務を遂行するために存在する。
レギュラー業務とはつまり、評価としてカウントされる仕事だ。
大きな変化のない硬直した組織において、そこで働く人々は年数を重ねるごとに、何が評価の対象で、何が評価の対象ではないかが明確にわかってくる。
すると、いかに「レギュラー業務」を楽で効率的に、いかに「イレギュラー業務」を排除できるか?という心理に支配されて働くようになってしまう人がとても多いように感じる。
そんな全く融通の利かない役所のような働き方をする僕は「社内公務員」と呼んでいる。
これらの「社内公務員」にとって、新規プロジェクトとは、イレギュラー中のイレギュラー認定を受けている。
どれだけ熱心にプロジェクトの目的について語っても、全く関心は持たれない。
それよりも、プロジェクトの一端を担ってしまうことで、業務が増加してしまうことが、彼らにとって、それが一番の心配事なのだ。
そして、それが引き受けられない理由を、非常に論理的かつ丁寧に語ってくれる。
その根拠となる、組織間の人間関係のしがらみや、複雑な役割の構造については、耳にタコができるほど聞かされた。
推進のカギは組織のフリーライド
プロジェクトを進めるにあたって、僕自身にも反省点はあった。
それは、相手の役割や責任を十分に考えないまま、大きなボールを渡そうとしてしまっていた点だ。
組織が大きすぎて身動きがとりづらいという愚痴だけでは何も前に進まない。
むしろ、有り余る人を使わない手はない。
この考えに至ったのは、あまりに多くの部署からお断りとたらい回しをされたことで、ようやく組織間の人間関係や、複雑な役割の構造についての理解を深めることができたからだ。
そこで大切なのは、「仕事を分割してパスする」ということだ。
つまり、それぞれの部署において出来る責任範囲と各人が持つ能力の範囲を見極めて、依頼をするということである。
これを意識するだけで、だいぶ仕事の進み方は変わってきた。
そして、徐々に自分自身で仕事をこなす機会は減り、徐々に誰に任せている状態が増えてきた。
つまり、新しいプロジェクトを推進するカギは、組織を横断しながら仕事をする=フリーライド型の働き方へシフトすることにあると感じた。
まとめ
大企業には、大企業特有の働きづらさがある。
世の中的にも、時代遅れの組織形態のように語られる。
しかし、それはあくまで一面的な見方であって、使い方や立ち回りによっては、その資本力や人材の豊富さから中小企業や個人レベルでは到底できないことも可能になる。
- 組織に使われる人になるか?
- 考え方を転換して、組織を使い倒す人になるか?
僕は、せっか大企業でサラリーマンをやるなら、絶対的に後者の働き方をするべきだと思う。