職場の不満を解消する為に必要なコーチング技術。
- 従業員の休憩所をもっときれいにして欲しい
- もっと自由に休み日を決めたい
- お給料が全然足りない
小売業の現場でマネジメントをしていると、メンバーからは現状に対する不満の声はとめどなく出てきます。
こういったメンバーに対して、果たして自ら前向きに行動をしてもらうことはできるのか?僕はそんな課題感を常に感じていて、コーチングを通じた思考錯誤をしてきました。
コーチングについては、過去の記事でも詳しく触れていますので、ご参照ください。
今回の記事では、職場に不満を抱える部下に対して、僕が非常に有効だと感じたコーチングの手法について、まとめてみたいと思います。
部下のメンバーに認識してもらうべきたった1つのコト
それは、部下が抱える不満や要望に対して、それを会社や上司が解消または達成できない理由。つまり、「ジレンマ」を共有することだと思います。
多くの場合、職場における不満というのは、個人の一面的な目線が中心です。
しかし、ほとんどの物事は、多面的に構成されています。
その中の一面の不満を解消することで、ともすると他の面に多大なストレスや負担を与えるというリスクも抱えています。結果、組織全体にとってはマイナスになるということも十分にあります。
例えば、今期の会社に残された予算でできることは、「客用トイレの修繕」と「従業員休憩所の改修」という2つの選択肢があったとします。
元々従業員の声として多かった「休憩所をもっときれいにして欲しい」という要望を優先して、これを実行したとします。結果的に、従業員の満足度は上がったものの、「客用トイレの修繕」が見送りとなり、顧客満足度は大きく低下してしまった。
少し極端な事例ですが、限られたリソースの中で、こういった一面を優先することで、別の一面がおざなりになる。ということは現実に多くあります。
多面的な視点が持てるようになると、
- なぜそれがすぐにはできないのか?
- そこにはどんなリスクが伴うのか?
ということまで考えることができます。
すると、必然的にいま少なくともいま現状で出来ることが見えてきます。
これが、「ジレンマの共有」の効果です。
しかし、部下に対していきなり「多面的な視点を持て」と言っても、すぐにそれができるわけではありません。
マネージャーの仕事はコーチングを通じて、「視点を与えること」です。
これこそが最も必要な役割だと思います。
まとめ
ここまで「視点を与えるコーチング」について説明してきましたが、これを部下全員に行う必要があるか?ということにも触れたいと思います。
結論、その必要はないと思います。
アルバイトとして短期で働く人や定年が迫っていて助走期間に入っている人、こういった人たちにはどんどん現状の不満を吐いてもらうことも、現場の課題発見には大切だと思います。
しかし、一方で今後キャリアアップを目指すメンバーに対しては、決して不満をこぼすだけではなく、ではその代案としていま何ができるのか?という視点を持たせることが重要だと思います。
そのような視点を持てるだけで、「人の気持ち」を考えられる人材の育成にもつながるのではないかと感じています。